日々の生活と、食物アレルギーについて
37柔軟な対応が実現することを願っています
公開日:2020年10月29日
一部修正:2024年8月7日
80人、45人、40人、120人。これはある給食センターが受け持っていた小学校3校と中学校1校の全生徒数です。この中に食物アレルギーの児童は我が子1人だけ。そんなことが数年間だけありました。
その当時、我が子は小麦と卵を少量ずつ「食べ慣らし」をしていて、小麦は除去の必要がない状態で、卵は「15分茹でたものを2/3個くらい食べられる」ようになっていた頃でした。ヨーグルトとバターはもう何年も前にクリアしているのに、その他の乳成分は一進一退で、チーズまではとても進めそうにない状態で足踏みしていました。
「食べ慣らし」というのは、医師の指導のもと自宅で一定量を食べながら、少しずつアレルゲンタンパク量を増やすやり方で、近年の食物経口負荷試験よりも少しゆっくりした方法です。
我が子の場合は、給食の献立を他の子どもたちよりも2週間早くもらい、献立ごとの「食べる、食べない」の判断を私と我が子で一緒に確認し、その内容を学校に伝えるというやり方をしていました。
我が子は当時、食べ慣らしによって小麦と卵をほぼ解除できていたので、献立に書き込む内容は「牛乳を飲まない」「おやつチーズ(4cm×3cmくらいの個包装されたチーズ)を食べない」くらいでした。自宅なら分量を決めて食べてその後の様子を見ることができますが、学校ではそうした細かいことを本人に任せざるを得ず不安だったので、献立が「野菜入り厚焼き卵」の日と「ホワイトシチュー」の日だけは、代わりの食べ物を持参するようにしていました。
しかしある時、学校の給食担当の栄養士が代わり、突然ウインナーやベーコン、他にもいくつかの食品がその栄養士の指示で「食べない対処」になるという、突然の変更がありました。
その新任の栄養士に除去の理由を聞くと「ベーコンには卵白が含まれているから除去の対象にした」という回答が来ました。我が子は前日まではベーコンに限らず、卵白を含むちくわやかまぼこ、焼きそばの麺など、給食に出されている様々なものを普通に食べていて、あと少しで卵が使われている全てのものが食べられるようになるという状況でした。今になってなぜ後戻りになってしまうのか、医師や学校と今まで話し合ってきてそのような形になったのに、給食センターの栄養士はなぜそんな方針転換をしたのか、私は納得がいきませんでした。
その後、栄養士と話し合う中で分かったのは「栄養士が以前勤めていた学校では加工食品に含まれる微量なアレルゲンも全て除去する方針だったので、今の赴任先でもそうしなければいけないと考えていた」ことでした。
「受け持つ生徒数が300人足らずのセンターの中で食物アレルギーの児童はたった1人なのだから、大方針も大切かもしれないけれど『1人の児童の現状』についてどう対処するかも一緒に考えてもらえないでしょうか。」と養護教諭を通じてその栄養士に私たち親子の気持ちを伝えた結果、翌日からは今まで通りのやり方に戻りました。
この出来事はずいぶん前のできごとですが、2015年に文部科学省から「学校給食における食物アレルギー対応指針」が出されて以降、同様の議論が各地で起こっています。
児童数が多い場合、一律の方法で対処しなければ安全が確保できないこともあり「除去」は徹底されるべきだと思います。しかし我が子のケースのようにアレルギー対応の必要な児童がほぼいない場合、今まで柔軟に対処出来ていたのであれば、ある日を境に対処しなくなるのではなく「対処が必要な児童に対してどのようにすべきか」を皆で考える機会が増え、柔軟な対応が実現することを願っています。