ハウス食品グループは、ポストコロナ時代の生活様式や価値観の変化、ウクライナ情勢の長期化といった予測困難な社会情勢においても、持続可能な社会の実現に向けて取組を進めております。サステナビリティ分野における企業の対応については、気候変動への対応、人権の対応など様々な社会課題においてグローバルな視点での要請、対応が模索されています。
ハウス食品グループは「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします」というグループ理念を掲げています。これは、P.ドラッカー先生が著書「企業とは何か」の中で説かれている内容を私たちなりに整理した「3つの責任」を念頭において制定したものです。一企業市民として「お客様への責任」「社員とその家族への責任」「社会への責任」という「3つの責任」を果たし、全てのステークホルダーの方々にとって「グッドパートナー」になることをめざして行くという考え方が根幹になっています。
ハウス食品グループの中期計画は、グループ理念、すなわち“to be” に近づくための行動計画“to do”として、バックキャストの視点で策定しています。
2024年から開始した八次中計の大テーマは、「『食で健康』クオリティ企業への変革〈第二章〉グローバルなバリューチェーン構築で成長をめざす」です。七次中計から引き続き、「『食で健康』クオリティ企業への変革〈第二章〉」というタイトルを置き、八次中計からは「グローバルなバリューチェーン構築で成長をめざす」というサブタイトルを新たに設定しました。グループ理念の基盤にもなっている「3つの責任」のそれぞれに対して“to do”である行動計画を策定して、グループ全員で取り組んでいます。財務資本政策の強化も含め、これらの計画を実行することで、グローバルにプレゼンスのあるクオリティ企業をめざしていきます。
「お客様への責任」においては、4つのバリューチェーンである「スパイス系」「機能性素材系」「大豆系」「付加価値野菜系」にて、「バリューチェーン(川上~川下)をつないで新たな価値をつくり、グローバルに『食で健康』を届ける」ことをめざしています。お客様への価値の提供力を強めるためには、製品開発だけを見つめるのではなく、強みを発揮すべきバリューチェーンをいくつか特定し、そのバリューチェーン自体を強化する必要があると考えました。結果、私たちは4つのバリューチェーンを特定し、各バリューチェーンで保有する知見・技術を強化させ、新たな価値を提供できるよう努めています。各組織体制もバリューチェーン経営に適した構えに移行し、そのなかで、グローバル視点でお客様との接点を広げ、成長を加速させていきたいと考えています。また、お客様への新たな価値提供にも力を注ぎ、グループ全体でチャレンジする人材の育成を継続しながら、CVCファンドのような外部連携の仕組みを強化し、共創を加速させ、外部パートナーにも選ばれる「食で健康」のグッドパートナーをめざしてまいります。
「社員とその家族への責任」では、「ダイバーシティを力に変える」をテーマに掲げています。「『食で健康』 クオリティ企業への変革」を掲げた五次中計以降、ハウス食品グループは様々な文化とビジネスモデルを持つ事業会社を迎え入れ、事業会社の多様性を広げてきました。しかし、多様性という「状態」を「力」に変えていくのは簡単なことではないというのが私の実感です。どうすれば多様性を「力」に変えていけるのか。「自分自身を知る」ためには、「相手のことを理解する」ことから始める必要があります。相手の立場で考えてみること、あるいは「利他の精神」といったものが、「ダイバーシティを力に変える」ための大きな要素となるのではないかと感じます。そこで、「他者への理解を深めて、自分と組織の固定観念を打破し、イノベーションを創出する」というサブタイトルのもと、実現に向けて5つの取組テーマを設定し取り組んでいきます。
「社会への責任」では、「人と地球の健康 『循環型モデルの構築』への取組」をテーマに掲げています。企業に求められる環境への取組に対する要請は多岐にわたってきていますが、八次中計から新たに掲げた「ハウス食品グループ長期環境戦略2050」の実現をめざし、「気候変動への対応」と「資源循環社会の実現」の2つを重点課題として設定しました。「気候変動への対応」では「Scope1、2」「Scope3」、「資源循環社会の実現」では「廃棄物・副産物」「プラスチック」「水」の計5つのテーマに重点的に取り組んでいきます。これらの取組は1社で進めるには難しく外部との共創なくしては実現できないと考えておりますが、最近の事例では2024年4月に導入した「多拠点一括エネルギーネットワークサービス」のようなJFEエンジニアリング様をパートナーとした具体的な事例も出てきています。グローバルな企業活動で生じる環境負荷低減に対して、このような自社取組にとどまらない共創事例を増やしていくことで目標達成をめざし、「社会への責任」を果たしてまいります。
また、サステナビリティの情報開示についても様々な活動を進めております。2024年4月には人権に関するページを開設し、人権尊重に対する当社の姿勢を示しています。更に部署名をCSR部からサステナビリティ推進部へ変更しており、10月には、CSRのホームページサイト名をCSRからサステナビリティへ変更しました。人間、社会、地球の持続可能な発展に必要なあらゆることを視野に入れ、ハウス食品グループの経営課題を明確にし、本業での取組を推進するという意味をこめて、CSRからサステナビリティへ変更し、積極的な情報発信をしてまいりたいと考えております。
ハウス食品グループはこれからも食を通じて、お客様の笑顔を、社員とその家族の笑顔を、そして笑顔あふれる社会を、共に創るグッドパートナーをめざします。また、ステークホルダーの声に耳を傾け、新たな社会課題をとらえ、未来に向けた歩みを続けてまいります。
2024年11月