赤城智美さんコラム日々の生活と、食物アレルギーについて

40若者たちの経験に学ぶ

公開日:2021年4月23日

先日、食物アレルギーのある10~20代の若者たちとおしゃべりをする機会がありました。その若者たちの中には、緊急時補助治療薬の「エピペン」を処方されている人も多く、アレルゲンとなる食物も様々でした。若者たちに「小さい頃のおやつは何を食べていたの?」と質問してみました。

今、30代の我が子は、卵、乳成分、キウイフルーツがアレルゲンで、未就学の頃は、小麦も食べられませんでした。小学生になってから小麦は解除になりましたが、小麦を含む市販のお菓子を沢山食べると胸の音がゼロゼロヒューヒューすることがあったので、食べる量をコントロールしていました。そんな状態でしたから、当時、市販のお菓子で食べられるものは、米で作られた煎餅ぐらいでした。

しかし、現在の若者たちは市販のお菓子を上手に選んでいました。「お母さんと一緒に色々探して辿り着いた、限られた数種類のお菓子を食べていた」という人もいれば、「果物ざんまいの日々だった」という人もいましたが、「色々なものをそれなりに選んでいた」と答えた人が多かったのです。

若者たちが今「それなりに」選べる理由は、多くの食品企業の努力によって、アレルギーに関する食品表示が正しく運用されるようになったことと無縁ではないと思います。アレルギー表示が義務化されて20年。我が子が、出汁昆布、野菜スティック、煮干し、果物、煎餅、団子などの米粉で作る和菓子を食べていた時代は、もう昔のことなのだと感じました。当時そうした食品を選んでいた理由は、たとえお菓子のパッケージに卵や乳などのアレルゲンが書かれていなくても、食べてみるとじんましんが出たり息が苦しくなったり思わぬ出来事が起こるため、安心して購入できるものが極端に少なかったからでした。

若者たちが今、気になっている主な出来事は「ちゃんと表示されていたのに見落とした」「一般的に入っているものだということを知らなかった」の2つでした。例えば、ピーナッツがアレルゲンの人は「友達の家で一緒に作ったカレールウにピーナッツが入っていた」、また胡麻がアレルゲンの人は「稲荷ずしを買って食べたら中のご飯に胡麻が入っていた」と話していました。若者たちが自宅で食べる時には、アレルゲンを含むものが入っていないので、「その食べ物には一般的にアレルゲンの入っている可能性が高い」ということについて「知らなかった」と驚いていたのです。
こうした子ども自身の経験を親子で語りあい新しい発見ができると、誤食は減るのではないかと感じました。