タマネギ成分を使った催涙成分生成キット

タマネギ成分を使った催涙成分生成キット

ハウス食品グループのタマネギに関する研究は、製造現場でタマネギとニンニクのペーストを混合した時に、まれにペーストが緑色に変色してしまう現象の原因解明から始まりました。製造現場で生じた問題について、起きている現象を科学的に理解しようとした結果、「催涙因子合成酵素」の発見につながり、2002年にイギリスの科学雑誌Natureにその研究論文が掲載されました。その後も、タマネギに含まれる酵素と基質の研究を続け、2013年にイグノーベル賞を受賞しました。
また、タマネギの催涙成分の生成に関わる2つの酵素(アリイナーゼと催涙因子合成酵素)のうち、アリイナーゼの働きが極めて弱く、催涙成分の生成が抑えられた全く新しい涙の出ないタマネギ『スマイルボール』の作出に至り、2015年より販売を開始しています。

一方で、ハウス食品グループは、タマネギそのものの価値を高める研究だけでなく、タマネギの特徴でもある催涙成分(propanethial S-oxide)の活用方法にも着目し、その応用可能性について研究しています。タマネギの催涙成分は、タマネギが切られて細胞が破壊された際に生成し、揮発しやすいために空気中に拡散します。これが眼の表面に触れると刺激を感じ涙が出てしまうのです。我々は、催涙成分の生成に関わる基質と2種類の酵素(アリイナーゼと我々の見出した「催涙因子合成酵素」)の特性を研究することで、タマネギの催涙成分を、生成量をコントロールしつつどこでも簡便に調製できる『催涙成分生成キット』を開発しました。

タマネギから催涙成分が生成するメカニズム
タマネギ成分を使った催涙成分生成キット

タマネギの催涙成分は、角膜への刺激性と、高い揮発性という2つの特性を有しており、眼を傷つけることなく、一時的に刺激を与えることができます。この特性を利用し、大学との共同研究でドライアイの検査への応用に取り組んできました。近年、涙液中に様々な疾患関連バイオマーカーが含まれていることが明らかになってきており、将来的には、タマネギを切った時の刺激で出てくる「涙」で自身の健康を把握できる時代が訪れるかもしれません。

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