フォトグラファーの猪俣慎吾さんは、キャンプコーディネーターとしての顔も持つ一児のパパです。父と子が同じ目線で過ごす父子キャンプの時間を、何よりも大切にしています。後編となる本記事では、猪俣親子のキャンプ飯について、お話を伺いました。息子さんの味覚の成長や、猪俣さんならではの食育に対する考え方。国内外のキャンプで出会った“おいしい体験”なども合わせて、お届けします。

ー今回のキャンプではバーベキューソースを使った料理を作られたそうですね。
猪俣さん:トマトの酸味や旨味、甘みが感じられるバーベキューソースだったので、息子の好きなパスタでアレンジしてみました。フライパンでパプリカとソーセージを炒め、茹でたパスタにソースを和えるだけ。どこか懐かしい洋食屋さんを思わせる味わいで、息子も気に入ってくれたようでした。
ーキャンプでパスタって珍しくないですか?
猪俣さん:我が家は息子がパスタ好きなので結構作るのですが、パスタは工夫次第でキャンプ場での調理を手軽に済ませることができます。今回は小さな鍋で麺を茹でましたが、自宅でフリーザーバッグに水を入れ、その中に乾麺のパスタを入れておくと、キャンプ場に到着する頃には麺が柔らかくなっており、茹でる工程を省くことができます。鍋で茹でた麺と比べても、味の違いはほとんど感じないので、ぜひ一度試してみてほしいですね。

ーお肉は、GABAN®のプロブレンドスパイスで味付けされていましたね。
猪俣さん:肉にかけて焼いただけですが、本格的なステーキの味で、大人にも子どもにも大好評でした。アウトドア用のスパイスって種類がたくさんあるのですが、さすがGABANだなと感じました。フライパンを使って肉を焼くなら、レモンも一緒に焼くと、爽やかな風味が加わってさらに美味しくなりますよ。彩りもよくなりますし!
ーレトルトカレーを使ったホットサンドはどうでしたか?
猪俣さん:実は息子はあまりパンが好きではないのですが、ホットサンドにしたら「カレーパンみたいでおいしい!」と言って、よく食べていました。ホットサンドを作る時は、鉄板があたる面に、たっぷりとバターを塗ります。あとは、中にレトルトカレーを入れて焼くだけ。外はカリッカリで中はしっとりとした、揚げないカレーパンといった仕上がりになります。
焚き火は火力の調整が難しいので、基本的にはガス火がおすすめです。ホットサンドは火力が安定しているほうが、きれいに仕上がりやすいんです。ポイントは弱火でじっくり焼くこと。火加減が穏やかなので、子どもにもお手伝いができると思いますよ。

※掲載パッケージは2026年4月時点のものです。
ーお肉はプロブレンドスパイスで味付けをされていましたが、息子さんはスパイスに抵抗がないのですか?
猪俣さん:ないと思います。自宅の家庭菜園でスパイスやハーブを育てていて、日常的に料理にも使っています。以前聞いた話ですが、スパイスって幼い頃から食べさせていると、味覚が育つのだそうです。味覚の発達は生まれた瞬間から始まっているようで、小さい頃からさまざまな「素材の味」をインプットすることで、食への好奇心を刺激するみたいですね。うちの息子は小さな頃から大人と同じようなものを食べているせいか、スパイスに対しても苦手意識はないと思います。
ーいろいろなキャンプ飯を作られていると思いますが、おすすめのレシピはありますか?
猪俣さん:誰でも簡単に燻製料理ができる、シダーグリルプレートという板材は面白いですよ。例えば、シダーグリルプレートの上にサーモンの切り身を置いて火にかけるだけで、スモークサーモンができあがります。チーズとか肉とか各々が好きな食材を試したりすると、場が盛り上がりますよ。うちの息子はこういった燻製料理も小さい頃から食べていたので、いろんな味を体験させてきたことが自然と食育につながっていたのかもしれません。
ー燻製料理のように、“日常とは少し違う味”に触れることが、食への好奇心を刺激することってありますよね。
猪俣さん:あると思います。僕は、東京の下町育ちなのですが、友人が働いていたこともあり、よく築地へ遊びに行っていました。ある日、大きなスズキとわかめをもらったのです。どうやって食べようかと料理本をめくっていたら、魚をわかめで巻き、アルミホイルで包んで焚き火に入れるというレシピが載っていました。それをキャンプのときに試してみたら、びっくりするくらいおいしくて!そのとき一緒にいた仲間の中に、魚が苦手な2歳くらいの女の子がいたのですが、スズキのわかめ巻きをぱくぱくと食べていたのです。パパもママも驚いていたので僕もよく覚えていますが、非日常の体験が、“おいしい”のきっかけになることってあるんですよね。

ー猪俣さんにもキャンプで出会った“驚きの食体験”があると、伺いました。
猪俣さん:キャンプを始めた、24歳くらいの頃の話です。青森県の野辺地という所でキャンプをしていたら「ホタテ釣り100円」という看板を目にしました。近くに行ってみると、水槽の中でホタテが泳いでいたのです。1回100円だったので試してみたら、2つ釣れました。テントに戻り、さっそく調理をしました。ホタテにしょうゆと酒を垂らして炙って食べてみたのですが、これが絶品!ホタテが口の中でふわっととろけて、なくなったのです。実は僕、ホタテがあまり好きではなかったのですが、野辺地のホタテがおいしすぎて「たった100円でこんなにおいしいものが食べられるなんて…」と、人生観が変わるくらいの衝撃を受けました。ちなみにこの時食べたホタテが、いまなお人生で一番おいしかった食べ物です。
ー生産地の県内で消費されてしまう食材はたくさんありそうですし、そういった食材との出会いもキャンプの魅力なんですね。
猪俣さん:はい。夏に北海道へ行った時の話ですが、道端でとうきび(とうもろこし)を5本500円くらいで売っている方がいたので、購入させてもらいました。食べ方を尋ねたら、「採れたてだからそのまま食べたら?」と言われて。そんな食べ方をしたことがなかったので、最初は驚きましたが、かじりついてみたらまるで果物のようにジューシーで甘くてびっくりしました。
たまに「どうしてそんなにキャンプをしているの?ホテルじゃダメなの?」と聞かれることがあります。自然や絶景といった魅力もありますが、おいしい食材との出会いも、キャンプをする理由のひとつです。もちろん、お金をかければ東京でも同じようなものは食べられるかもしれません。でも、少し足をのばすだけで、その土地ならではのおいしいものに手頃な価格で出会えたりするのです。どこにでも珍しい食材があるわけではありませんが、普段なかなか出会えないものを探すことは意識しています。息子にも、食で感動する体験があるということを、少しずつ伝えられているのではないかと感じています。
ーそういう体験は、食への興味を育むきっかけにもなりそうですね。お話を伺っていると息子さんは好き嫌いや、新しい食べ物に対する抵抗がなさそうです。
猪俣さん:ないと思います。エジプトでキャンプをした時も、何の肉かわからないフライや、一見なんだかわからないメニューがテーブルに並びましたが、躊躇せず口にしていました。韓国でニョロニョロと動いているタコを目の前にした時は少し驚いた様子でしたが、結局普通に食べていました(笑)!

ーキャンプはまだまだハードルの高いイベントというイメージを持たれている方もいます。
猪俣さん:準備も多いですし、道具が必要だったりもしますからね。テントを張るとなると天候も気になりますよね。でも実は、雨の日だからこそ出会える景色もあるんです。例えば、蛍。蛍は、雨が降った直後で、月明かりのない暗い夜、そして湿度が高いという条件がそろって、はじめて姿を見せてくれます。だから、6月の梅雨の時期になると、蛍キャンプというテーマで催しをしているキャンプ場もありますよ。
梅雨や雨をネガティブにとらえるのではなく、「もしかしたら蛍が見られるかもしれない」と思うと、それだけで少しワクワクしませんか。僕も蛍キャンプに何回か行ってますが、日常ではなかなか出会えない特別なものですし、虫好きのお子さんは嬉しいんじゃないかな。テントが濡れるのが心配な方は、バンガローを利用するのもひとつの方法です。
晴れているに越したことはありませんが、雨だからといってキャンプが楽しめないわけではありません。

ーこれまで何百回ものキャンプを行われていると思うのですが、息子さんの成長を感じる瞬間はありますか?
猪俣さん:もちろん、あります。任せられることが徐々に増えてきました。食べ終わったお皿の片づけをしたり、テントの撤収をしたり、いろいろと手伝ってくれます。まだ10歳なので、大きなテントを1人で片付けることは困難ですが、ペグを抜いてしまったり、できることはやってくれるし、どんどん増えていると感じています。
キャンプって「不便さを楽しむ」なんて表現されることもありますが、まさに何もないところに自分たちで環境を整える能動的なレジャーなので、考えることが多いのです。そういった創意工夫の積み重ねが考える力となり、息子の主体性につながったらいいなと思います。
ー猪俣さん自身は、家族をもってからのキャンプと独身時代のキャンプで、変わったことはありますか?
猪俣さん:独身の頃は「無計画で行くのが楽しい」という、いわば冒険のような感覚でしたが、今はまったく違います。父子キャンプに行く時は、奥さんに許可をもらうために、いろいろ調べて計画を立てて、プレゼンをするんです。もちろん山登りをする時も、経路は事前に調べます。今は、子どもを守ることが最優先です。息子とのキャンプを通じて、僕も父親として成長させてもらっていますね。

子どもと過ごす時間は、思っている以上にあっという間に過ぎていきます。だからこそ、同じ場所で、同じものを食べ、「おいしいね」と笑い合えるひとときは、何にも代えがたいものなのかもしれません。
キャンプという非日常の中で出会う、スパイスや燻製の香り、地域ならではの旬の味わい。そうした一つひとつが、子どもにとって新しい発見となり、記憶に残っていくことでしょう。
この週末は、親子で「おいしい」を探す旅に出かけてみませんか。
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