部活や塾で生活リズムが揺れ、勉強やスポーツ、体の変化などさまざまな面で周囲を意識する機会が増える中学生期。食の悩みは「体型や成長が気になる」「朝食を抜きがち」「夜が遅い」など、現実の生活と理想のはざまで複雑になりやすい時期です。 本記事では、母子栄養協会 代表理事の川口由美子先生に、中学生の子どもを持つ保護者が抱きやすい疑問をQ&A形式でうかがいました。幼児期・小学生期と共通する基本を踏まえつつ、思春期ならではの実践ポイントを押さえていきます。

離乳食・幼児食アドバイザー他 各種アドバイザー養成の他、保育所給食関係者向け 研修などをおこなう。
Eテレ「すくすく子育て」「まいにちスクスク」他。おもな著書に「まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング幼児食(西東社)」ほか
A.(川口先生):まず強調したいのは、特定の栄養素を足せば身長が伸びるわけではない、ということです。身長は遺伝の影響も受けますが、それだけで決まるわけではありません。思春期の体づくりに必要なのは、十分なエネルギーとたんぱく質を含むバランスの良い食事、そして適度な運動と十分な睡眠です。健康は「食事・運動・睡眠」の三位一体で成り立ちます。
1つの栄養に偏るよりも、主食・主菜・副菜・乳製品・果物を毎日まんべんなく摂っていく配分が大切です。丼もの・具だくさんスープ・焼きそば・チャーハンのような“合体メニュー”は、時間がない日でも栄養をまとめて取りやすいので有効。1食ごとの完璧さにこだわるより、3日単位で帳尻を合わせる発想がおすすめです。

A:月経に伴って鉄は実際に失われますから、鉄とたんぱく質を十分に摂ることは大切です。肉・魚・卵・豆腐などの主菜食品をきちんと食べるだけで、鉄は自然とついてきます。さらに野菜などに含まれる非ヘム鉄には、ビタミンC(柑橘、いちご、じゃがいも、ブロッコリーなど)やたんぱく質を一緒に摂取すると鉄の吸収率が上がります。
お茶のタンニンによる鉄の吸収阻害は、日常の食事量が確保できていれば中学生では過度に気にしなくて大丈夫。あまりにも量をたくさん飲んでいて、すべて水分はお茶というようなことがあれば、量を見直してもいいですが、それよりも「食事量が足りない」ことのほうが影響は大きいので、まず“しっかり食べる”ことを優先してください。極端なダイエットは禁物です。また、コーヒーは、カフェインもあるので、あまり多くは飲まないようにしたほうがいいでしょう。
A:過度にSNSなどの誇張されたメッセージに影響されすぎないことが大切です。しかし、どうしても気になるようであれば、動物性食品を食べるように心がけましょう。亜鉛は肉・魚介・豆類・乳製品などに広く含まれます。具体的には、牛肉・豚肉などの肉類や卵やチーズなどがおすすめです。特に卵や乳製品は日々の食卓にとり入れやすいのがおすすめポイントです。朝ごはんに乳製品や卵を足してみるといいですね。
食欲や集中力はエネルギー不足でも落ちます。まずは普段の食事量を切らさないことが重要です。
A:病気などの事情がなければ、食品から多様な栄養素をバランスよく摂ることが体づくりの近道。プロテインやサプリの過剰摂取によるリスクや食品から得られる栄養の取りこぼしの可能性を考えると注意が必要です。
思春期は心身ともに大きく変化する時期であり、食事のとり方もその影響を受けやすくなります。よく噛んで食べる行為は満腹感を得やすくするだけでなく、気持ちの安定や満足感にもつながります。どうしても足りないと医師や管理栄養士に指摘された場合のみ、“不足分の補助”として最小限にとどめましょう。

A:過度なダイエットは自分の体型への不安から起こりやすく、とくに中学生で顕著に見られます。親子でBMIを一緒に計算して、痩せすぎが病気リスクを高めることを冷静に共有しましょう。
普通体重の範囲内で、健康的な体型を目指すことが大切です。日本はやせ型体型を好む傾向が見られますが、普通体重を保ち、しっかり食べて動いて眠ることが将来の体にも一番であることをお子さんに伝えてほしいですね。

A:朝は内容にこだわりすぎず、何かエネルギーを入れることが最優先です。夜遅くなる日は、分食が現実的。たとえば塾の前におにぎりやパンで糖質を入れておき、帰宅後は具だくさんの豚汁・白菜スープ・雑炊・うどんなど温かく消化の良いひと皿で不足分を補います。
空腹は集中力を落としますから、学習前に軽食を。温かい汁物は気持ちを落ち着かせ、睡眠への移行にも役立ちますよ。良い睡眠は成長ホルモンの分泌に良い影響があります。
A:まず前提として、補食は食事の一部であって“余計に食べさせること”ではありません。「これさえ食べれば大丈夫」という固定解を求めるより、まずは食事バランスガイド(※1)を見て、普段の食事で何が不足しているかを確認しましょう。
また運動量が多いと保護者の意識はどうしても糖質やたんぱく質に向きがちですが、これらはふだんの食事で十分に摂れている場合が多い一方で、ビタミン(=野菜)不足が目立つお子さんも少なくありません。とはいえ、野菜を補食で入れるのは現実的に難しいですよね。そこでおすすめなのが、補食は“入れやすいたんぱく質をさっと”(例:サラダチキンバー、豆腐バーなど)、野菜は帰宅後の夕食でしっかり回収という方法です。
要するに、補食は量より運用、内容より継続。前後の合計で必要量がとれていれば十分ですし、野菜は夜にまとめて整えれば大丈夫です。

A:二段階食のコツは補食設計でも述べましたが、準備のしやすさという視点で考えると、活動前には手早い糖質、活動後には温かい主菜・汁物といった構成がおすすめです。活動前はおにぎりやロールサンド、果物、乳飲料などで先にエネルギーを補給。特に運動のあとは、タンパク質をとるようにできるといいでしょう。部活帰りにすぐ食べたいということであれば、牛乳などを飲んだり肉まんなどでタンパク質をかんたんに摂取し、帰宅後は具沢山のみそ汁・白菜スープなどの消化がよい温かいひと品を用意するといいでしょう。揚げ物の連続は脂質過多になりやすいので控えめに。
学習前は空腹を避け、睡眠前は温かい汁物で体を落ち着かせる――この流れがお子さん本人としても続けやすいでしょう。ただし「軽い夕食」という言葉は栄養不足を招きやすいので注意。脂質過多(揚げ物の連続)を控えつつ、必要量はしっかり摂ることが基本です。

A:「高たんぱく至上主義」になりすぎず、バランスを重視してください。一般的な食事をとっていれば、たんぱく質が極端に不足することは少なく、主食にもたんぱく質は含まれています。コスパを考えるなら旬の食材を軸にするのがおすすめです。
旬の野菜は味が良く、下ごしらえが簡単なうえ調味料も少なくて済むので、結果的に家計にもやさしいんですよね。たとえば冬の大根は茹でただけでおいしく、少量の味噌で満足感が出ます。豆腐や卵、鶏むね、缶詰(サバ・ツナ)も回しやすい食材です。まとめ買い+冷凍でムダを減らしましょう。
A:中学生は成長期ですから、まず早い時間におにぎりなどでエネルギーを先に入れておくこと。そのうえで帰宅後は豚汁・白菜スープなどの消化がよい温かいひと品を用意するといいでしょう。揚げ物の連続は脂質過多になりやすいので控えめに。
ただし「軽さ」を優先するあまり必要量まで削らないよう注意してください。個人差はありますが、中学生は消化能力が高いので不足分はしっかり補うほうが体のためです。

中学生になると、勉強やスポーツ、体型などさまざまな面で周囲を意識する機会が増え、食に対して“理想と現実のギャップ”が生まれがちです。だからこそ保護者が大切にしてほしいのは、正しい原則を“今のわが家”のリズムに落とし込むこと。背を伸ばす魔法のひと品はありませんが、食事・運動・睡眠を3日単位で整えていくことが、体づくりにつながっていきます。
理想との差に焦るより、目の前にいるお子さんの一歩を大切に。今日できる“小さなひとつ”の積み重ねが思春期のからだと心の土台になります。食卓は評価の場ではなく、心と体を回復し、エネルギーを補う場。家族のリズムに寄り添いながら、無理なく続く“わが家の最適解”で、中学生の「食べる力」を育てていきましょう。
【参考文献】
※1. 農林水産省「食事バランスガイド」について
https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/(2026/1/14 参照)
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