プロが解説!未就学児(3〜6歳)の「食」と「栄養」まるわかりQ&A

プロが解説!未就学児(3〜6歳)の「食」と「栄養」まるわかりQ&A
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未就学児(3〜6歳)の食卓は、喜んだり、むらが出たり、立ち歩いたり……とにかく変化の連続です。SNSには「○○が足りないとこうなる」「この食品さえ食べれば大丈夫」といった極端な情報もあふれ、何を信じ、どう実践すれば良いのか迷う方も多いはず。 そこで本記事では、母子栄養協会 代表理事の川口由美子先生に、未就学児(3〜6歳)の保護者がよく直面する“あるある疑問”をQ&A形式でうかがいました。

監修者川口由美子 プロフィール写真
プロフィール
川口由美子
管理栄養士・母子栄養指導士

離乳食・幼児食アドバイザー他 各種アドバイザー養成の他、保育所給食関係者向け 研修などをおこなう。
Eテレ「すくすく子育て」「まいにちスクスク」他。おもな著書に「まねしてラクラク迷わない! 365日のフリージング幼児食(西東社)」ほか

1.子どもの栄養について

Q1. 風邪をひきやすかったり、さかむけが多かったりすると栄養不足なのか気になります。「必要な栄養が摂れているか」サインで見分けられますか?

A(川口先生):SNSなどで「何かが足りないとこうなる」という情報がよく見受けられるため、悩んでしまう親御さんがいらっしゃるのでしょう。しかし、栄養不足と特定の症状を安易に結びつけることはできません。例えば風邪ひとつ取っても、栄養状態だけでなく、ウイルス感染や睡眠不足、疲れなど様々な要因があります。

何か症状が出ても安易に栄養不足と結びつけず、生活リズムや環境など様々な観点からお子さんの健康状態を見てあげてください。

Q2. 幼児に多い“隠れ貧血”って本当?食事での鉄補給は?

A:「隠れ貧血」という言い方自体が曖昧です。不安な場合は医療機関で検査を。鉄は、肉・魚など鉄を含む食品を摂ることと、鉄の多い野菜や卵黄などは、たんぱく質やビタミンCなどの酸味を組み合わせると吸収が高まります。穀類(主食)・肉魚類(主菜)・野菜類(副菜)がととのった食事で十分に対応できますが、どうしても心配でしたら脂身が多い物よりも赤身の肉を選ぶなど選び方を工夫しましょう。

Q3. 野菜が苦手な我が子。幼児でも食べやすくするコツは?

A:まずお子さんが“食べられる形”を見つけること。トマトが苦手でもトマトソースのピザがOKなら、「トマトが食べられるね」と伝えてあげましょう。それがお子さんに“自分は野菜が食べられる”という意識を持たせ、自信につながります。

生野菜は噛む力と味の薄さが壁になりがちなので、この時期に無理に食べさせる必要もありません。苦手なものは味を濃くしたり、噛む力を少なく(茹でる・刻むなど)したメニューでOK。ブロッコリーやにんじんなどをコンソメと牛乳でポタージュにしたり、ミートソースの中に野菜を細かく切って入れたりすると食べやすくなりますよ。

Q4. 魚は骨やにおいが心配で敬遠しがち。しらすやツナ缶だけで足りますか?

A:しらすやツナ缶だけで栄養が足りるとは言いきれませんが、魚の補給としてはとても便利ですので活用してみましょう。しらすやツナ缶を足がかりとして、「お魚大好きだね!」と声をかけ、サバ缶や鮭フレークなど他の魚にも挑戦していくと良いでしょう。臭いが気になるなら、お酢を加えたりフライにしたりすると食べやすくなります。

Q5. 便秘対策に発酵食品が良いと聞きました。

A:便秘は腹圧が大きく関係しています。幼児期にお腹がぽっこり出ているのは腹筋がうまく使えないから。便秘対策には風船を膨らますなど腹圧をかける練習や、日頃の運動、環境作りが重要です。

トイレの環境でいうと、落ち着ける空間であること、足が便座にしっかりつくことが便秘対策としても効果的です。発酵食品も良いですが、たくさん食べても便秘は改善しないことがあります。サツマイモやゴボウなどの食物繊維が多い食品も、取りすぎると逆に流れにくくなることも。特定の食品で便秘が改善するというものはありません。

Q6. 納豆は早熟を招く?

A:納豆を食べすぎたからといって、早熟になるということはありません。大豆イソフラボンについての話かと思いますが、食べ物として食べる分には問題はありません。

サプリメントとして摂取する場合と食べ物として摂取する場合は大きく異なり、日本では食べ物として摂取する分には問題ないとされています。極端に納豆だけを食べるというのでなければ、1日1〜2パック程度なら全く問題ありません。

Q7. 「あれが良い」「これはダメ」といった情報が多すぎて、何を信じれば良いかわかりません。

A:日本という国は国民が医療費を使わずに元気に過ごすことを重視し、様々な学者の意見をもとに国のガイドラインや食事摂取基準が作られています。それを国民にわかりやすく伝えているのが「食事バランスガイド」です。(※1)

ひとつの食品に頼りすぎると、どんなものでも害があります。例えば牛乳や納豆など「体に良い」と信じて偏ってしまうと、それだけになってしまい、逆に体に負担がかかることも。何でも食べ過ぎず、食べなさ過ぎず、バランスよく食べることが大切です。

Q8. おやつの線引きは?ジュースはどの程度までOK?

A本来おやつは、“菓子”ではなく補食。食事で不足しがちな栄養を補うものです。食事バランスガイドを見て、3食の食事では足りていない栄養素をおやつとして取り入れましょう。

食事の時間帯にあまりご飯を食べないということであれば、逆におやつの時間を有効に活用してはいかがですか。

おはしが苦手だったり、食事がたくさんならんでいると食指が伸びない子どもは多いので、おやつの時間にはポテトフライやフィッシュフライといった手づかみメニューを出すことで、積極的に食べられるようになるかもしれません。

食事であまり野菜を食べないお子さんなら、果物をおやつにするのもおすすめ。ただしジュースはなるべく控えるべき。ジュースはそもそも嗜好品で、食材に含まれません。ちなみに嗜好品の摂取量は1日に必要なエネルギー量の10%が目安とされています。(※2)

2.子どもが“食べない/食べ過ぎる”

Q1. 立ち歩き・遊び食べで進みません。叱らず集中させるコツは?

A:まず大人が食事に集中できる環境を整えましょう。私も思わず食事中に“ピンポン”とインターホン対応をしてしまい「やってしまった」と思うときがありますが、呼び鈴対応・スマホ操作など“大人の中断”は食卓の雰囲気を一層崩します。また、食事が楽しめないと、お子さんは余計に食事に集中しなくなってしまいます。親の眉間にシワが寄っていると、お子さんの食欲もなくなってしまうかもしれませんよ。

Q2. 少食の我が子。必要な栄養を“濃縮”して入れるメニューってある?

A:万能食はありませんが、お好み焼きは主食・主菜・副菜をバランス良くまとめやすいおすすめメニュー。ポイントは「粉を控えめ、野菜は下ゆでしてかさ増し、卵・肉・魚介でたんぱく質を確保」です。ブロッコリーやにんじんなどいろいろな野菜を加えてアレンジできますし、少量でも密度を高められます。

Q3. 菓子パン・甘い飲み物を欲しがる。上手な付き合い方は?

A:いきなりの“禁止”より、まずは置き換えで対応しましょう。合言葉は「少しでも食材に近づける」です。例えば、菓子パン→食パン+チーズ、ジュース→牛乳+フルーツといった具合。牛乳そのままではあまり飲まない、ということであれば、バナナやいちごなどのフルーツを加えてシェイクにするのがおすすめです。

Q4. 味が濃くないと食べないのが心配。

A:濃い味であっても、それで食べてくれるならOKとしませんか。何も食べないと栄養は0ですが、少しでも食べれば何らかの栄養は摂れるわけですから。大前提として、栄養を摂らないことが一番問題なわけです。苦手なものでも味が濃ければ食べられる、好きなものは味が薄くても食べてくれる――トータルの味付けのバランスで考えれば大丈夫です。

3.食事作りの大変さ

Q1. 朝も夕方も時間がなくて…どうしたらいいですか?簡単に作れるものはありますか?

A:先ほどもお話したお好み焼きを含め、焼きそばやチャーハンといった主食・主菜・副菜が全て入ったメニューがあげられると思います。変化をつけたいと思ったら中食・デリバリー併用もOKとしましょう。

もし外食やお惣菜の濃い味が気になるなら、食材を合わせる技がおすすめです。例えば、ひじきの煮物であれば豆腐と和えたり、唐揚げなどの揚げ物を野菜と炒めたりすると味が中和されて、丁度良い塩味になりますよ。惣菜を食材のようにとらえて料理に使うと、時短になります。

Q2. 子どもが“手伝いたい”と言うと進まなくなるジレンマ。任せられる短時間の役割は?

A:子どもがどんなことに興味を持っているのかや、どんなことが好きなのかによってことなりますが、おすすめは「味付け大臣」です。「さすが◯◯くんの味付けはおいしいね!」「◯◯ちゃんが味付けしてくれたおかげで、とってもおいしく仕上がったよ」といった具合で、褒めやすく子どもの自信にもつながりやすいです。

「キャベツの味は?にんじんはどうかな?」と食材ごとに味見を促せば、その場で少量ずつ栄養が入るメリットもありますよ。

Q3. 毎日の買い物が負担。常備して“何とかなる”食材は?

A:私自身よく活用しているのは、カット済みの野菜パック冷凍野菜です。いろいろな野菜がカットされた状態で入っているので調理の時短はもちろん、栄養バランスという意味でも大変重宝します。冷凍野菜は生野菜より日持ちもするうえ、火の通りが早いので子どもの食べやすさにもつながるんです。

よく冷凍野菜は生のものより栄養が減っているのでは?とおっしゃる方もいますが、生だと時間が経つにつれ栄養が減る食材もあり、冷凍したからといって栄養が減るとは限りません。冷凍によって減る栄養を考えるよりも、食べないほうが影響は大きいのです。

Q4. 料理が苦手。外食や惣菜が多い自分を責めてしまいます。

A:親も一人の人間。得意・不得意があって当たり前です。料理が得意な人もいれば、絵本の読み聞かせが得意な人、子どもと一緒に遊ぶのが得意な人、それぞれ得意なことがあれば、不得意なこともあります。

親の仕事は料理だけじゃありません。料理が不得意だからといって、駄目な親なんてことはまったくありませんよ。子どもの健康を願って奮闘しているあなたは、素晴らしいです。あなたは十分にがんばっています。

栄養は一食で完璧を目指すのではなく、数日単位でバランスよく

未就学児の食は、日によって波があって当然です。1食や1日、思ったように食が進まないからといって不安になりすぎる必要はありません。川口先生も「特定の栄養素や食品に偏るのではなく、バランスの良い栄養摂取がもっとも大切だ」と繰り返し強調されています。

  • ・食が進まない日は合体メニューで密度を上げる。
  • ・作る時間が確保できない日は、中食・惣菜に豆腐や野菜を加えて“バランス寄せ”する。
  • ・おやつは補食として上手に活用し、ジュースは嗜好品として控えめに。
  • ・食卓の雰囲気は大人のふるまいから整える。

子どもの“食べる力”は、こうした日々の小さな経験の繰り返しで少しずつ育っていきます。完璧でなくても大丈夫。0より1、昨日より今日を少しだけ整える——その積み重ねが、子どもの健やかな成長をしっかり支えてくれますよ。



【参考文献】

※1. 農林水産省「食事バランスガイド」について

https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/

2. 農林水産省「食事バランスガイド」の適量と料理区分

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kenzensyokuseikatsu/about_b_guide.html#tekiryo

(2025/12/25 参照)

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