「毎日の食事づくり、正直大変…」と感じている方は多いのではないでしょうか。——独自に行った“食に関するお悩みアンケート”では、食費のやりくりや子どもの好き嫌い、忙しさからくるイライラなど、子育てをしながら働くママたちのリアルな声が多数寄せられました。とはいえ、解決策を探す時間も、他の家庭の工夫を知る余裕もなかなかないもの。そこで本記事では、フルタイムで働きながら子育てをする小林さん(以下、こばもえ)にインタビューを実施。実際にどんな工夫で日々を回し、どこでつまずき、どう折り合いをつけているのか、等身大の暮らしの様子を伺いました。“リアルな台所”の声から、今日から真似できるヒントをお届けします。

ーまずはご家族のこととライフスタイルを教えてください。
こばもえ:夫(35)、私(36・こばもえ)、長女(3)、次女(1)の4人家族です。娘2人は保育園。私はWEBメディアで働く出社とリモートのハイブリッド勤務、夫は週6日、建築業の仕事で外で勤務しています。平日は18時過ぎに帰宅して、お風呂→夕食→就寝の順。夕食は19時までに始めるのが目標です。
ーお料理の担当は決まっていますか?
こばもえ:料理は私の趣味でもあるので、平日も休日も基本は私が担当します。食後の食器洗いは夫が担当してくれることが多いですね。最近は休日の朝、夫と長女で朝食を用意してくれることもあります。長女はキッチンに立つ時間が楽しみのひとつになっているようです。
ー食へのスタンスはありますか?
こばもえ:「その日に私が食べたいものを食べる」が基本です(笑)。ただ、季節感は大事にしています。寒い時期はおでんやクリームシチュー、暑くなると枝豆やとうもろこし、そうめんといった具合ですね。食卓の会話から、子どもたちにも自然と季節や食材に親しんでほしいと思っています。
ーこばもえさんと同じように子育てをしながら働くママさんに“食に関するお悩みアンケート”をおこないました。そこでは〈物価高騰による食費のやりくり〉や〈子どもの食べムラ・野菜嫌い・遊び食べ〉、〈時間がなくて食事づくりがしんどい、イライラする〉といったリアルな声がたくさん挙がったのですが、こばもえさんはいかがですか?
こばもえ:アンケートの内容を見て、「わかる〜!」と共感の連続でした。物価高騰で食費は上がる一方だし、日々のごはん作りの時間は限られているし……そんななかで毎日ごはんを作り続けるのは本当に大変ですよね。
私も料理は好きですが、仕事と子育ての合間のごはん作りはプレッシャーに感じる日もあります。私の場合は、完璧を目指すのはやめて「楽しく食べられたらOK」と考えるようにしたら、少し気持ちがラクになりました。だから同じように頑張っているママやパパの声を聞くと“自分だけじゃない”と思えて励まされますし、私の体験談で少しでも気持ちが楽になってくれる人がいたら嬉しいです。

ー物価高騰の影響もあって家計管理が大変とのことでしたが、食費はどれくらいを目安にしていますか?
こばもえ:以前はUberなどの宅配を使うことが多くて、そこが膨らみがちでした。今は極力控えています。理想は月6万円以内ですが、現実はなかなか…(苦笑)。
ーアンケートでは「食材を無駄にしてしまう」というお悩みも多く挙がっていました。こばもえさんはいかがでしょうか?
こばもえ:食材を無駄にするときの「やってしまった!」という感覚、すごくわかります。仕事や子どもの予定でバタバタしているうちに、気づけば賞味期限切れ……なんてことも。食材が高騰しているから、余計に悔しいというか悲しいというか……。
私もできるだけ減らしたいので、夜寝る前に翌日の献立をざっくり考えて「これとこれを使い切ろう」と決めるようにしました。それでも時々失敗しますが、その時は自分を責めすぎず「そんな日があってもいいかな」と思うようにしています。
ー食材を無駄にすると落ち込みますよね。ほかにも、こばもえさん流の“やりくり”があったら教えてください。
こばもえ:できる範囲で、安いスーパーを使う、お米は備蓄米やカルローズ(アメリカ・カリフォルニア州を中心に生産されている中粒種のお米)にする、おかずを1品減らすなどですかね。買い物はできるだけ週末にまとめ買いするようにして、予算は1〜1.5万円/回ほど。ネットで食品を買うことはないですね。ただ在庫管理が正直できていなくて……使うときに、「あ、ない」と思ったら買い足す方式です。
また、やりくりとは少し異なりますが、食材を無駄にしない工夫として食材は1回で使い切るようにしています。例えば、きのこ類なんかは「もったいない」と半分だけ残しがちですが、使いきるのを忘れて冷蔵庫の奥で化石化してしまったり(笑)。1回で1袋使うのがマイルールです。

ーこばもえさんのお子様も食べムラがあると仰ってましたね。親としてどのように向き合っていますか?
こばもえ:大人の“当たり前”を押し付けないようにしています。私だってお腹が空かない日は食べないし、気分が乗らない日もある。子どもたちも保育園という“社会”をがんばって帰ってくるので、「完食」に必死にならないと決めました。
長女のときは完食を目指していたこともありましたが、振り返ると親子共々つらい時期だったなと思います。今は「とりあえず、ひと口食べてみよう」に切り替えています。……といいつつ、テレビを見せてしまったり、手が止まると叱ってしまったり、日々反省ですね。
ー最近“お困りごと”はありましたか?
こばもえ:次女(1歳)が食事中に立ってしまう、口から出す、そもそも食べる前から拒否…が続くことですかね。わが家では暴れたとき、長女と「スティッチみたいだね〜」と言って笑いに変えて、まず心を落ち着かせています。
ーお子様がしっかり食べるように、調理や提供で工夫していることはありますか?
こばもえ:普段は子どもと大人は別メニューですが、肉じゃがやクリームシチューなど同じものを食べる日は、器によそってからキッチンバサミで一口大にしています。子ども向けの平日ごはんは具だくさんスープ+丼(うどんのことも)が基本。スープは朝イチで仕込み、野菜をくたくたに柔らかくしておくのがポイントです。
環境づくりとしては、ごはんを食べるテーブルには食事に関係ないもの(おもちゃやパソコンなど…)は置かないようにしています。
ーお子様のお気に入りメニューはありますか?

こばもえ:バーモントカレー甘口は子どもたちの鉄板。冷蔵庫のものでさっと作っただけで、よく食べてくれます。デザートはフルーチェにお世話になりっぱなし。キッチンに興味を示している長女には革命的なアイテムですよね。自分で作った達成感を味わえるし、最後にフルーツをのせるだけで大満足のようです。
ー食育的な取り組みはされていますか?
こばもえ:理想のようには…正直まだ余裕がなくて(小声)。手づかみをしたらすぐ手を拭いてしまうし、食べ遊びは止めがちです。ただ食べ物に関する絵本はよく読み聞かせています。ピーマンやにんじんなど子どもが苦手になりやすい野菜は、絵本を見せることで興味を持ちました。絵本をきっかけに「食べてみる!」と前向きに食べた野菜も多く、ありがたいことに好き嫌いは今のところないですね。

ー「料理のストレスで子どもと笑顔で遊ぶ時間が減った」というお悩みもアンケートには多く見られましたが、こばもえさんはこの問題とどう向き合っていますか?
こばもえ:料理中、キッチンに子ども達が張り付いて「あれが食べたい!」「それは何?」と言われることが料理のペースを乱されてストレスに感じることもありましたね。私の場合は「このわちゃわちゃも今だけ」と捉え直すよう心がけて、味見のつまみ食いで感想を聞いたり、卵を混ぜるところを見せる・お米の手触りを体験させるなど、キッチンにちょっとずつ招くようにしています。……が、現実は「テレビ見てて!」と言う日も多々あります(笑)。
ー段取りで工夫していることはありますか?
こばもえ:前の日に翌日の献立を考えることが時短にも繋がっていると思います。平日の子どもごはんは「丼+具だくさんスープ」を型にすることで、ムダな迷いも減らせます。品目は増やしすぎず、1皿にいろいろ入れる意識ですね。
ーストレス軽減のために夫婦で役割分担をするご家庭も多いですが、小林家はいかがですか?

こばもえ:役割分担は、できなかったときにギクシャクするので、あえてルールを作らないのがわが家の平和のコツですね。極々ゆるーい分担で、なんとなく「私=作る/夫=洗う」で落ち着いています。私は食後に食卓で寝落ちしがちなので……夫には感謝です。期待は“いい意味で”しない。その分、何かしてくれたらすごく感謝できるんです。
ー“子ども時間”を作るために工夫していることはありますか?
こばもえ:特別な工夫はできていないけれど、寝る前にじゃれ合ったり、絵本を読んだりする時間はなるべく確保するようにしています。ここが整うと、1日がやさしく終われるんですよね。

ー小林家が食卓で大切にしているモットーはありますか?
こばもえ:まず大きな声で「いただきます!」と言ってからごはんをスタートし、完食にはこだわらず、どんな味か?どんな食感か?何の野菜が入っているかな?など、食事の時間を大切にしたいと思っています。ただ、食わず嫌いはNG。「ひと口は挑戦しよう」を合言葉に、仕切りのあるお皿を使っておかずの中のどれかひとつを完食すればOKとしています。
ーそのモットーが生まれた背景は?
こばもえ:一時期、完食にこだわりすぎて毎回の食事づくりがつらくなったことがあるんです。毎回残されるので「せっかく作ったのに…」と本気で落ち込んでしまって、長女にも「ママ顔こわい」「どうして悲しい顔なの?」と言われてしまいました。
でも、ある番組でタレントさんが「自分の美味しいを他人に押し付けるのが嫌だ」と言っているのを聞いて、ふと思ったんです。「せっかく作った」のは私の都合で、子どもたちにその気持ちを押し付けているな……と。保育園ではしっかり食べられているし、今は“食べる楽しさ”を知る時期だと気持ちを切り替えました。フードロスの観点は大事にしつつ、まずは笑顔で食卓に座ることを優先しています。
ーとても素敵な発想ですね!最後に、同じように食事の悩みを抱える働くママさん・パパさんへメッセージをお願いします。
こばもえ:毎日、一生懸命に頑張るママさん・パパさん、本当にすごいと思います。子どもは想像を超えた行動をしてくるので、日々忍耐の連続ですよね。食卓は時に“戦場”、でも気持ちひとつで雰囲気は変えられると感じています。
自分のご機嫌を優先して選ぶことも、立派な家事スキル。2〜3日分をバーモントカレーや北海道シチューで作り置きして、しんどい日は無理しない。余裕のある日は子どもとフルーチェやプリンを作って楽しむ。その日その日の“できる”範囲で、肩の力を抜いていきましょう。

小林さんの言葉で特に印象に残ったのは、特別なテクニックよりも「決めすぎない」「まずひと口」「笑顔で座る」といった、“自分のハードルを下げる”ことでした。完璧は目指さず、自分が苦しくならない丁度良い決め事を設けることで、日々の自分を身軽にしているように感じます。
常備の食材を使い切る小さなルールや、子どもとキッチンを行き来する余白、品目は増やさず一品にたくさん食材を使う。どれも今日から真似できる、“続けられる”ヒントです。明日の夕方、あなたの台所にも「できた!」がひとつ増えますように。
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