ハウス食品でのキャリアをめざす人にとって「出発点」となる人事の仕事は、一年を通して多様な人に出会い、「共に働くことができるか」を考え、人と組織をつなぎ続けることです。
新しく社会に飛び込む新卒の学生、新しいキャリアを描く転職希望者、共に働く未来の仲間が続々とあらわれる人事の最前線で、どのように人と向き合っているのか、ハウス食品人事総務部の中田さんにお話をお聞きしました。
目次
ハウス食品株式会社 中田 和毅(なかた かずたか)
2010年ハウス食品入社。
名古屋支店に配属され、静岡営業所にて5年間営業に従事。その後、広報・IR部で社内外に向けた広報業務を経て、2024年から人事総務部 東京本社人事課へ。趣味は、サウナ・テニス・キャンプ。料理も好きで、スパイスから作るスパイスカレーを振る舞うことも。
-中田さんの学生時代や就職活動で印象に残っていることを教えてください。
中田:現在は人事として学生の皆さんに「学生時代に何を成し遂げましたか?」と何かを成し遂げたような顔で聞いていますが、自身の学生時代を振り返ると、皆さんがイメージするような一般的な大学生活を楽しんでいたように思います。文系の大学に入学し、学業と共にバイトやサークル活動に勤しんでいましたね。人数の多いサークルだったのですが、自分なりにいろいろ考えてやっているなかで、同期からの推薦もあって部長を務めることになったりして…。部長という役割になったことで、使命感が芽生え、「参加してくれたメンバーがいかに楽しむことができるか」について運営メンバーと共に考え動いていました。とはいえ、振り返ってみると、自分自身が一番活動を楽しんでいたので、うまく周りを巻き込んでいけたのではないかと思います。
就職活動は大学3年の冬から始めました。周りより少し遅いスタートだったのですが、追いつめられると力を発揮するタイプなので、短期間で集中して情報収集や自己分析を行っていました。大学のキャリアセンターなどは使わず、マイペースに、自分の思うように活動を進めていました。
-ハウス食品に入社したきっかけは何でしたか。
中田:「自分の生活において身近なものを扱いたい」、「自ら商品を企画して世の中に広めたい」という想いがあったので、ものづくりをするメーカーを中心に就職活動を進めていました。ハウス食品に決めた理由は、採用を通して出会った方々の対応や印象の良さでした。特に覚えているのは、最終面接終了後、人事担当の方が会社のエントランスまで送ってくれた際、姿が見えなくなるまでお辞儀をしてくれていたことです。学生であっても、礼節をもって真摯な対応をしてくれる会社だなと強く印象に残っています。
-ハウス食品入社後はどのようなキャリアを歩んでいますか?
中田:新入社員研修後、静岡営業所に配属され営業として働き始めました。自社商品の知識を学び、商流・取引の流れ、仕事の進め方など、静岡営業所では仕事の基礎を覚えていきました。静岡営業所は、当時8名という少人数体制だったため、様々な仕事をしていました。例えば担当しているスーパーの本部でチラシ掲載などの商談や店舗を回っての販売交渉、展示会での試食提供、レシピカードやPOP(Point of Purchaseの略。お客様が商品を購入する際に目にする情報やディスプレイ)の作成作業など、挙げればきりがありません。
3年目になり、少しずつ任される仕事が増え大きな企業との取引にもつながっていきました。4、5年目には若手リーダーとして営業所を取りまとめるような動きもしており、仕事の広がりと手応えを感じていましたが、「もっと挑戦してみたい」と思い、社内公募や研修など会社でチャレンジができる場には積極的に手を挙げるようにしていました。
入社6年目にハウス食品グループ本社の広報・IR部へ異動となりました。配属されたマスコミチームは、様々なメディア関係者に会社の取り組みや商品の情報を伝えることがメインの仕事でした。次々と新商品が出てくるなかで、商品を市場背景やコンセプトから理解し、ニュースリリースの発信や商品説明会の企画・運営などを担当しました。社内では取材を受けるブランド担当者や責任者とやり取りをして、社外では多くのメディア関係者とつながり、社内外で情報の輪を広げていきました。営業時代にはやったことのない仕事の連続で、はじめの2年間は苦しく思うこともありました。しかし、“何もかもが初めての仕事”だったからこそ、これまでの仕事の進め方からバージョンアップできたのではないかと感じています。9年間広報を務めてから、2024年に人事総務部へ配属されました。
-営業と広報の仕事、それぞれからどのようなことを学び、何を得ましたか?
中田:営業では、お客様との関係性をつくっていくための折衝や合意形成の方法など、仕事をスムーズに進めるためのスキルを身につけていきました。はじめの1、2年は自分の立場を理解しておらず「お客様の役に立ちたい」という一心から、お客様視点に立ち過ぎていたところもあったんです。そこから「ハウス食品としてどうすべきか」という視点をもって、お客様との間に立ち、Win-Winになるためにはどうしたらよいか、ということを学んだように思います。
広報では、国内外の関係会社を含むハウス食品グループすべての活動を見ている場所だったこともあり、様々な部署と連携し仕事や商品について把握する領域が広がり、グループ全体の視点を得られたことは大きいですね。商品情報はもちろんですが、会社の状態や取り組みを把握する必要性が増し、広い視野をもつ経験を積めました。
-人事の仕事について詳しく教えてください。
中田:新卒採用とキャリア採用の2種類があり同時並行で進めています。新卒採用は、3月頃からエントリーが始まり、書類選考、面接、そして6月末には内定者が確定し、夏以降はインターンシップやセミナーなど来期採用の準備、という1年のサイクルがおおよそ決まっています。
キャリア採用は、基本的に年間を通して動いています。社内では異動が発表され各部署の体制が整っていく4月以降で「部署に人が必要」という要望が来ることが多いです。戦略的に人を増やす部署では時期に限らず採用活動を行っています。
現在、東京本社人事課には私を含め7名が在籍しており、2024年度の新卒で入社した社員もいれば、子育て中のママ社員も在籍しており、多様なメンバーで構成されています。メンバーそれぞれに新卒・キャリア採用を担当してもらっています。私は2024年から管理職につき、東京本社人事課全体を統括しています。
-新卒採用・キャリア採用、それぞれどんな人と出会いますか。
中田:新卒の傾向として、これまでは比較的ベンチャー企業を検討している学生も多い印象でしたが、今は会社に対して安定を求めているように思います。また、自己成長に重きを置く人も増えています。ただ、「この会社に骨をうずめる」という考えをもっている人は減ってきており、自分の成長のために働く場所を変えていく、という仕事観をもつ人が増えていますね。
学生数の減少で売り手市場が加速し、より学生が会社を選ぶ時代になっています。会社としても「あなたが成長できる場である」ということを伝える必要性を感じています。
キャリア採用の方々は、すでに「働く場所を変える」という決断をされているため、自分がより活躍できる場を求めている人やスキルをもってチャレンジしたいという人が多いです。
-近年の傾向が見えるなかで、中田さんが採用時に気をつけていることや抱いている想いはありますか。
中田:一番気をつけていることは、会社を良く見せようとし過ぎないという点です。組織としての特長や魅力は提示するのですが、マイナスに見える点においても、オブラートに包むのではなく率直にお伝えするようにしています。例えば、営業では「最初は地道な仕事が多いと思いますよ」ということも伝えて、そこを理解したうえで入社を決めてほしいと思っています。
採用のマッチングにおいてお互い取り繕ってしまうと、実際の入社後「採用時に聞いていたことと違う」となってしまい、双方において不幸な結果につながってしまいます。
情報開示だけではなく、面接の場でもなるべく素を見せ合い理解し合うために、最初はアイスブレイクとして相手の緊張をほぐして話しやすい状態をつくることは意識しています。そうすることで、素を見せやすくなり、お互いにとって「この会社いいな」「この人だな」という確信をもって進められるのではと思っています。
-中田さんが就職希望者に向き合う意識や工夫によって、採用というマッチングの要になっているのですね!日々、多様な人と向き合ってきていると思いますが、そのなかでも印象的な採用エピソードはありますか。
中田:様々な人が採用希望の手を挙げてくれるため印象的な人を選ぶというのは難しい質問ですが…、学生時代アプリ開発をしたという新卒採用希望者のエピソードが印象深く残っています。
その学生はスキルや専門性はいうまでもなく素晴らしいのですが、自分がこれまでに「おもしろい」と思うことに時間・労力・スキルを使ってきた方で、面接で話をしていて「熱量があるな」と感じました。その方の向上心の高さに感化されて、私自身も会社の考え方について相手と同じような熱量をもって伝えていました。その方からはハウスに入りたいという想いも感じましたし、私もこういう人に入社してもらいたい!という気持ちになりましたが、熱意もあり、とても主体性のある学生だからきっと他企業からも内定をもらっていて難しいのではないか…と正直思っていました。
結果として「面接での話がとても印象的でハウス食品に決めました」と言ってくれて。自分が面接官をやったことに意味があった!とうれしい気持ちになったことを覚えています。
このエピソードだけに限りませんが、人事をやっていて「この人と一緒に働いてみたい」と思える人に入社してもらえるきっかけとなる場を、自分がつくれていることは大きなやりがいにつながっています。
ハウス食品株式会社 渡邊実南(わたなべ みなみ)
2024年ハウス食品入社。新卒入社で東京本社人事課に配属。現在はおもに新卒採用の業務に携わる。学生時代は、外国語学科で東欧地域の言語を専攻し、避難民支援の通訳ボランティア活動にも積極的に取り組んでいた。同期のメンバーとは仲が良く、仕事帰りに食事に行ったりプライベートで遊んだりすることも多い。
-渡邊さんは2024年度の新卒入社とのことですが、入社前と入社後でハウス食品グループの印象は変化しましたか?
渡邊:そうですね、想像以上にチャレンジの機会が多く、社員一人ひとりが熱意をもって取り組んでいることに驚きました。社員同士が成功例を積極的に共有し合い、切磋琢磨しながら共に成長している姿勢が印象的です。
成長を支援する体制や風土が整っていることは、会社全体が「社員の成長を大切にしている」というメッセージとして伝わってきます。若手社員も裁量権が大きく自分自身で考えて決めることができ、自分の意見やアイディアが組織に反映されやすい環境であることも魅力的だと感じています。
このような社員の姿勢と組織の環境とが組み合わさることで、会社の変革を推進する強力な原動力になっていると思いますし、私自身も働きやすさを感じ挑戦する意欲が高まっています。
-入社後、東京本社人事課に配属されたそうですね。現在どんな業務を担当していますか。また、就職希望者と向き合い感じたことや気づき、課題などを教えてください。
渡邊:東京本社人事課では新卒採用を担当しています。セミナー登壇やインターンシップの企画・運営を通じて、ハウスに応募してくださる学生さんを集めたり、選考運営や内定者フォローにも携わっています。そのほかに、広報活動や採用活動の振り返り、来期の施策検討なども担当しています。
配属が決まったとき、学生の皆さんの人生の岐路に立つことの大きな責任を感じると共に、最善を尽くしたいという強い気持ちが芽生えました。初めて学生の応募者と向き合ったときは正直少し緊張しましたが、それ以上に期待と喜びが大きかったです。私自身が新入社員で学生に最も近い立場にあり、就活の記憶が鮮明なことは強みだと思いますし、学生が必要としている情報や疑問に思っていることを理解しやすかったです。
学生の皆さんと接するなかで、一人ひとりの個性やバックグラウンドを知り、その熱意や意欲に触れることで、彼らが未来に対して無限の可能性を秘めていると感じました。だからこそ、学生を迎える「人事」という立場として、成長をサポートする重要性を改めて実感しています。
-ご自身が新卒採用時に人事や会社から受けたサポートはどのようなものでしたか。それは現在の人事の仕事にどのように生かされているのでしょうか。
渡邊:印象に残っていることは選考過程での丁寧で誠実なコミュニケーションです。内定後人事から面接のフィードバックを受け、自分の強みや特性を再認識することができました。入社前には役割や期待される業務内容について、明確かつ親身に説明いただき、理解を深めることができました。学生が感じる疑問や不安に対しても積極的にフォローをしてもらったことで、入社後の業務へスムーズに移行することができたように感じています。
このようなサポートを受けて、私自身も学生に対して、丁寧かつ誠実なコミュニケーションを行うよう心がけています。対面セミナーや職種別説明会を実施した際には説明を丁寧に行い、学生の皆さんの疑問や不安に寄り添ってきました。その結果、学生の皆さんから、「渡邊さんが丁寧に説明し学生の疑問を解消してくれたおかげで、ハウス食品の魅力を深く理解できた」「ハウス食品の志望度が上がった」といった言葉を伝えてもらえ、それは大きな励みとなっています。
-一緒に働く中田さんは渡邊さんにとってどのような存在ですか。中田さんのお人柄など、渡邊さんから見た印象を教えてください。
渡邊:中田さんは、私たちのチームにとって欠かせない存在です。メンバーをよく観察し、それぞれの強みを最大限に引き出してくれる方です。常にチームの雰囲気を明るく活気づけ、士気を高めてくれています。また、アンテナを高く張り、豊富なアイディアを共有してくださるので、日々新しい視点や学びを得ることができます。メンバーの意見にも柔軟に耳を傾け、目標に向かってチームをしっかりと導いてくれるため安心感があります。社会人1年目の私にとって、中田さんが上司で本当に良かったと感じています。
-ハウス食品グループで「一緒に働きたい」と感じるのはどのような人でしょうか。
中田:ハウス食品の採用サイトの「求める人物像」に4つのイメージがあり、そこに紐づくような、目標達成力や好奇心、発想力などキーワードとなる言葉があります。
それらを前提としたうえで、その人の本質を知りたいと強く感じます。自分で考え、主体性をもって何を為してきたのかということや、どのような経験をもっているか、それをご自身でどのように語るのかということに、その人らしさが表れると思っています。
-新卒採用とキャリア採用、それぞれ求めることに違いがあるとしたらどのような点でしょうか。
中田:新卒採用では、面接時、準備してきた言葉を一言一句間違わずに話そうとしている人もいます。伝えたいことを伝えるという点でその姿勢は大切ではありますが、それでは「その人らしさ」が分かりにくいと感じます。その人が経験してきたことを、その人がもつ熱量で、その人の言葉で語ってくれることに魅力を感じます。
キャリア採用は、これまで働いてきた経験や実績をもって面接に臨む方が多いため、その人の本質が伝わってきやすいです。ハウス食品の価値観とマッチする人間性や、これまでの経験や実績・スキルがあり、高い専門性をもつ方はもちろんですが、今までハウスにはなかった専門性をもっている方も大歓迎です。
-ハウス食品で働きたいと思っている方に向け、中田さんから伝えたいことや想いがありましたら教えてください。
中田:皆さん「この会社で自己成長ができるか」を考えると思います。ハウス食品は社員それぞれの自律的なキャリア開発を推進しています。めざすキャリアに向かってどのように成長していくか、そんな道筋を支援する制度が増えてきており、現在その制度を活用している社員も増加中です。
自分のキャリアは与えられるだけではなく「自らつかみ取っていくもの」として、チャレンジできる体制があるのは、ハウス食品で働くメリットとして感じていただけると思います。
ただ一方で、私自身は、明確に強い目的意識をもってキャリアを歩んできたというよりも、会社から渡される期待や役割、そこでの新たな業務に対し、その都度楽しさを見出して、点と点がつながって振り返ってみると意味のある線になっているようなキャリアを歩んできました。
強い志をもってキャリアを構築していく人がいる一方で、どんな場であっても自分の見方次第で楽しさややりがいを見つけて自己成長していくことができるという視点も、自分だからこそ皆さんに伝えられるのだと思います。様々なキャリアのつくり方があっていい-そんな想いでいます。
-現在会社としてどのような採用のビジョンをもっていますか?
中田:ハウス食品グループの人材部門では第八次中期計画において「ダイバーシティを力に変える」というスローガンを掲げてスタートしています。採用という面からみると、様々な属性・経験・適正をもった人たちがいるということが大切だと思っています。多様な人たちが共に働くことでシナジーを生み出していく、という考えが基盤となっています。この方針のもと、新卒採用・キャリア採用の割合もここ数年で大きく変わってきており、キャリア採用の割合が増加しています。
-キャリア採用が増えることは、現場においては「新しい風を取り入れる」という面と「異分子を受け入れる」という面と双方あると思いますが、中田さんはどのようにお考えでしょうか。
中田:新しい人が入ってきたときに「ハウス食品の色に染まってもらう」ということが答えではないと思っています。もちろんハウス食品にはこれまで積み上げてきたブランドイメージや価値観がありますので、互いに理解し合うことは必要だと思います。仕事のやり方や考え方など、一度受け止めたうえで、やはり違和感として感じるならば、ぜひフィードバックしてもらいたいです。それが組織としての成長につながると捉えています。
-まさに「ダイバーシティを力に変える」というビジョンを体現するようなイメージですね!最後に、中田さんにとって、“人事の仕事”はどのようなものかを教えてください。
中田:営業、広報とこれまで経験してきたどの仕事にもやりがいや楽しさを感じてきましたし、人事に配属されて2年目を迎えますが、それらは年々アップデートし続けている感覚です。
2024年よりポジションが管理職に変わったことによって、またひとつやりがいを更新しています。チーム全体が一丸となって前進できるよう、メンバーがどうしたら楽しく仕事ができるか、どうしたら成長につながるかを考えるのは、難しいですが楽しいです。また会社の進むべきビジョンを理解し、物事を広い視野から考えつつより良い施策を考え、チームとして成果を出すことにはとてもやりがいを感じます。
どんな仕事にも一長一短があると思いますが、人事という仕事も管理職という立場も、自分に合っていると感じており、これまでのキャリアのなかで一番好きな仕事です。これからも忙しいなかでも充実感をもちながら楽しく働いていきたいと思います。
気負わず、ありのままの姿でインタビューに答えてくださった中田さん。これまでの仕事を通じて多様な人々と様々な関わりをもったからこそ、中田さんからはポジティブなエネルギーを感じました。
社会状況や市場動向によって採用の動きは刻々と変わっていきます。そのようななかで多様な人と向き合い続ける人事という仕事は、未来の仲間をつなぐ大切な場であること、そして組織のダイバーシティを生みだす一歩にもつながっています。
▶ハウス食品新卒採用サイトTOP
https://www.i-note.jp/housefoods/recruit/index.html
取材日:2025年3月
内容、所属等は取材時のものです
文:海野千尋
写真:下林彩子
編集:株式会社アーク・コミュニケーションズ
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