やなせスタジオが描く『リンゴキッド』の誕生秘話と制作の舞台裏

やなせスタジオが描く『リンゴキッド』の誕生秘話と制作の舞台裏

1963年発売のロングセラーブランド『バーモントカレー』。そのオリジナルキャラクターとしてリンゴキッドが誕生したのは、今から30年前、1995年のことでした。

主人公のリンゴキッドをデザインしたのは、『アンパンマン』などで知られる漫画家の故・やなせたかしさん。当初、『バーモントカレー』の雑誌広告として描かれましたが、今ではハウス食品グループのオリジナルキャラクターとして、ハウスが開催するイベントや日本各地の支店での様々なプロモーション活動でリンゴキッドが活躍しています。

また、Web上でも絵本や塗り絵、スパイス研究・行事食の紹介など、子どもたちが楽しく学べる食育ツールとして利用されており、ハウスの社員たちが愛着を持って活用しています。

そんなリンゴキッドがどのように誕生し、どんな想いが込められて成長していったのか、制作の舞台裏も含めてご紹介します。

株式会社やなせスタジオ 越尾 正子(こしお まさこ)

株式会社やなせスタジオ 越尾 正子(こしお まさこ)

株式会社やなせスタジオ代表取締役社長。20代の頃から趣味の茶道を通じてやなせたかしさんの妻・暢(のぶ)さんと交流があり、その縁で1992年に有限会社やなせスタジオ入社。やなせさんが亡くなる2013年まで秘書として寄り添い、作家活動をサポートした。2015年、商号変更に伴い、株式会社やなせスタジオを設立。

株式会社やなせスタジオ 雨宮 尚子(あめみや なおこ)

株式会社やなせスタジオ 雨宮 尚子(あめみや なおこ)

イラストレーター。1994年に「詩とメルヘン」第14回イラストコンクール佳作賞を受賞、1996年にやなせスタジオ入社。長年にわたってやなせたかしさんのアシスタントを務め、『アンパンマン』など数多くの作品をに携わる。『リンゴキッドとなかまたち』のWeb絵本の第1話から、構成・イラスト文章すべてを担当する。2002年、ボローニャ国際児童書展入選。代表作に、絵本『旅館すずめや』『えんぎがいい』(ともに白泉社)など。

『リンゴキッドとなかまたち』が誕生するまで

『リンゴキッドとなかまたち』が誕生するまで

――まず、越尾さんとやなせ先生との出会いについて教えていただけますか?
越尾:実は私の場合、やなせ先生との出会いよりも、奥様の暢(のぶ)さん ー 2025年前期のNHK朝の連続テレビ小説『あんぱん』のヒロインのモデルとなる ー との出会いが先だったんです。20代の頃、事務の仕事をしながら趣味で習っていた茶道を通じて、暢さんと知り合ったことがきっかけでした。その後、20年近く経って、当時お勤めしていた会社を辞めることになり、「だったらうちに来ない?」とお誘いいただいて。そのご縁で、やなせスタジオに入社することになりました。それが1992年のことです。

――では、まったく違う世界から飛び込まれたのですね。
越尾:当時、漫画家さんがどんな仕事をするのかもよく知らなかったんです。それに、ものづくりをする方には繊細なイメージがあって、「私には合わないかもしれないな、でもお断りするとお茶のお稽古に行きづらいし」なんて思っていました(笑)。たぶん長続きせず、1年か2年かなと勤めはじめたのですが、あっという間に33年経ってしまいました。

――リンゴキッドが誕生したのが1995年ですから、越尾さんが入社されて3年目のときですね。当時のことを覚えていらっしゃいますか?
越尾:かなり前のことになりますが、覚えていますよ。最初は、雑誌に掲載する『バーモントカレー』の広告漫画で、『リンゴキッドとハニー』という一編の物語だったんです。やなせ先生はカレーが大好きで、ハウス食品さんからご依頼をいただいたとき、とても喜んでいらっしゃいました。
当時から「バーモントカレーといえば、りんごとはちみつ」というくらい、テレビのコマーシャルがよく流れていましたので、先生もそこからインスピレーションを得て、主人公をリンゴの妖精「リンゴキッド」に、その相棒を「みつばちハニー」に設定されたんだと思います。ひとつ裏話をすると、制作時に先生が判型を間違えて描いてしまって、修正するのに大変苦労したと聞いています(笑)。

『リンゴキッドとなかまたち』が誕生するまで

――リンゴキッドたちのキャラクター設計において、やなせ先生が特に重視したポイントはどんなところだったのでしょうか?
越尾:先生はいつも、キャラクターの性格などの「背景」をしっかり考えていらっしゃいました。ただ「リンゴとはちみつ」という思いつきだけで、パパッとかわいくデザインしているわけではないんです。例えば、バーモントカレーの「これまで辛くて大人の食べものだったカレーが、リンゴとはちみつのおかげで子どもたちにも食べやすく、家族そろって楽しめるようになった」という背景やコンセプトも、納得いくまで噛み砕いて作品に落とし込む。そういう表に出ない部分も大切にされていました。たくさんのキャラクターをデザインしていましたが、先生ご自身が納得するまで時間をかけて制作していたんです。

やなせ先生がリンゴキッドに託した想い

やなせ先生がリンゴキッドに託した想い

――やなせ先生はリンゴキッドたちにどのような想いを込めてデザインされたのでしょうか?
越尾:リンゴキッドたちに接するのはお子さんが多いと思いますが、やなせ先生はいつも子ども向け・大人向けと分けて考えることなく、デザインされていました。むしろ、「子どもだからこそ、自分の持っているものを全力投球して作品を作らなくちゃいけない」と。お話にあまり難しい言葉は使わない、複雑な感情移入が必要な場面を設けないなど、誰にでもわかりやすい表現にもこだわっていました。キャラクターも、例えば「犬なら犬らしく、花なら花らしい絵を描かないとダメなんだ」とよく話していましたね。極端にデフォルメしてしまうと、小さいお子さんにはそれが何かわからない場合がでてきてしまいます。だからリンゴなら赤い色や丸い形、頭にヘタも描いて、何をモチーフにしたキャラクターなのか、ひと目でわかるように心を砕いていました。
やなせ先生は漫画家のイメージがあると思いますが、もともとはデザインの勉強をされていました。なので、例えばリンゴキッドを立体的なぬいぐるみにする場合も、無理のないフォルムに設計されているんです。このぬいぐるみは、お子さんが扱っても危険がないように、ちゃんとリンゴのヘタの先を丸くしてあるんです。そういう配慮をしながら、デザインしていたんです。

――悪役になる「キライダマン」も、ただ意地悪なだけではなく、魅力的な存在として描かれていますね。 越尾:リンゴキッドとキライダマンが、いいバランスになっていますよね。だからストーリーも引き締まるんだと思います。先生が描かれる悪役は、単に「イヤなやつ」ではなくて、いかにも悪役っぽく格好つけたりするんですが、何かちょっと失敗したり、愛らしかったりするんですよね。そういうところも、先生らしいなと思いますね。

やなせ先生がリンゴキッドに託した想い
写真提供:やなせスタジオ

――「先生らしい」とおっしゃいましたが、長年、一緒にお仕事をされていた越尾さんから見て、やなせ先生はどんなお人柄でしたか?
越尾:裏表のない、「やさしい」「穏やか」というイメージそのままの方です。でも、私はひとことで言うなら「真面目な人」だと思っています。おもしろいことをしたり、パーティーで歌を披露したり、エンターテイナー的な面もありましたが、すごく真面目なんです。ものの見方やいろんな表現の仕方を見ていても、本当に真面目なんだなと感じていました。何かをごまかしたりすることが一切なくて、それでいてとてもおもしろいお話を作っていらっしゃる。どんなに荒唐無稽なお話でも、真面目にきっちり書いていらした印象です。

――作品づくりの期間中、先生がピリピリされることはなかったのですか?
越尾:もちろん、何をどう描くかを思いつくまではものすごく真剣に考えているし、近寄りがたい感じがすることもありましたが、「こんな話にしよう」と決めて取りかかってからは、本当に楽しそうでした。先生が色を塗っているときなんて、もう楽しくて仕方がないという感じ。体中でリズムをとりながら、ウキウキして描いているんです。ひとつのお話を生み出すにはかなりの集中力が必要だと思うのですが、その姿を見て、絵を描くのが心底お好きなんだなぁと思いました。

やなせ先生がリンゴキッドに託した想い

――先生が物語を考える際に、越尾さんやアシスタントの方々に意見を求められることもあったのでしょうか?
越尾:作品に関しては、誰の意見も聞かなかったですね。お話は先生の中にありましたから。制作に入る前は、「もう今度の話はできないよ、ダメだ」とよく言っていました。でも私は、「そんなの3日も経てば、『できた』って言っていますよ」なんて冷たくあしらっていたんですけど(笑)、実際にその通りで、「できない」と言っているときにはもう考え始めていて、言わなくなったらもうお話ができているんです。
それよりも、普段の生活の中で、今どんなものが流行っているのか、といったことはよく尋ねていらっしゃいました。先生は新しいものがお好きで、デジタルカメラやタブレット(iPad)なども発売後、いち早く取り入れていました。あるとき、とある用事でデパートへ行ったら、先生がじーっとお掃除ロボットの実演の前で立ち止まって眺めているんです。それで「おい、これ買おう」って(笑)。
でも、お掃除ロボットを使うためには、床に置いたものを片付けないと使えないじゃないですか。それが面倒で、結局初代は使わなくなってしまったんです。現在は、スタジオの床には何も置かない!と決めて、お掃除はロボットに任せています。これも先生のおかげですね。そういう、新しいものはなんでも試してみるとか、好奇心旺盛なところも、きっと先生のお話づくりに活かされていたんだと思います。

“キャラクター創造のプロ”雨宮さんが語る制作の舞台裏

“キャラクター創造のプロ”雨宮さんが語る制作の舞台裏

――雨宮さんはやなせ先生のアシスタントとしてやなせスタジオに入社されたとお伺いしています。現在、『リンゴキッドとなかまたち』は、雨宮さんがおひとりで描かれているのですか?
雨宮:Web絵本の第1話から、構成・イラスト・文章すべてを私が担当しています。スタート当初はアクリルガッシュ(マットな質感で、不透明な絵の具。むらなく均一に作画できる)で描いていましたが、2022年からパソコン(Illustrator)での作画に切り替えました。やなせ先生が生み出した4体のキャラクターと、私がデザインした4体の仲間も加わって、現在は8体のキャラクターがいます。

ハウス劇場 リンゴキッドとなかまたち ©︎やなせたかし/やなせスタジオ

――リンゴキッドのベルトのマークはバーモントカレーの「V」がモチーフになっていたりするとのことですが、雨宮さんが生み出したキャラクターにも意味が込められているのでしょうか?
雨宮:私が制作に携わるようになったときには、すでにやなせ先生が「リンゴキッド」「みつばちハニー」「カレーおじさん」「キライダマン」の4キャラクターを確立されていたので、私はそこにどんな仲間を増やしていくといいかなというところから考えました。
最初に考えたのは、カレーおじさんの助手をしてくれる「ホワイトさん」です。リンゴキッドの絵本では、最後はみんなで一緒においしく食卓を囲むのですが、料理を作る段階から誰かと協力する形にしたいと思ったんです。ハウス食品といえばカレーとシチューのイメージがありましたので、シチューをイメージしたキャラクターにしました。ホワイトさんは星形に切ったにんじんの髪飾りをしているんですよ。

“キャラクター創造のプロ”雨宮さんが語る制作の舞台裏

雨宮:それと、ハウス食品さんから「ビタミンCをイメージしたキャラクターを制作してほしい」とご依頼を受けて考えたのが「レモーナ」です。元気いっぱいの女の子がいいなと思い、モチーフもパッと明るい黄色のレモンを選びました。
Web絵本の第4話から登場する「コーンくん」は、「とんがりコーン」からヒントを得たキャラクターです。コーンくんの緑色の帽子は先端に穴が開いていて、コーンくんがかぶったときだけ先端からとうもろこしの実がぴょこっと飛び出るんです。私自身もコーンが大好きなので、ひと際かわいらしいキャラクターになりました(笑)。
「チョットちゃん」は、はじめて「どんなキャラクターでもいいですよ」とご依頼いただいて考案したキャラクターです。私はずっと、キライダマンにパートナーがいないことを寂しく思っていたんです。
やなせ先生のお話では、例えば『アンパンマン』でもばいきんまんにはドキンちゃんというパートナーがいます。ただ、キライダマンは「おいしさの敵」という設定なので、おいしさの敵を増やしたくないなぁと思って…。だったらいっそ、キライダマンが振りまわされるくらい自由奔放なキャラクターはどうかな?と考えました。お話のスパイス的存在にもなってくれています。

――スパイスといえば、チョットちゃんがカレーにスパイスを加えることで、味がピタッと決まるという描写もありましたね(Web絵本第8話)。
雨宮:チョットちゃんには、「ちょっと何かをする」「ちょっと何かを加える」ことで、雰囲気が変わったり、お話が展開するという意味を込めています。チョットちゃんは「チョット…」としか言わないのですが、この不思議なポジションだからこそ、次は何をするのかな?どうなるのかな?とお子さんたちが想像力をふくらませてくれたらうれしいです。

“キャラクター創造のプロ”雨宮さんが語る制作の舞台裏

――絵本が7ページであることにも理由があると伺いました。
雨宮:お子さんが理解しやすく、飽きないページ数ということを大前提としています。その上で、文章も読みやすく改行するなど、よりわかりやすい構成を心がけています。加えて、奇数にすることで、ちょっと「リズムを崩す」ことも意図しているんです。例えば8ページだと「起承転結」がそれぞれ2ページで単調になってしまうのですが、7ページにするといずれかのボリュームが減って、メリハリがつきます。

――キャラクターを考案される際は、最初に性格などを具体的に決められるのでしょうか?
雨宮:必殺技や決め台詞などはもちろんですが、こういう性格だとか、こういうところに住んでいるとか、設定を最初にしっかり決めておきます。そうすると、キャラクターたちが“お話を転がしてくれる”んです。例えば「この子ならこういうとき、悲しんでいる友だちにこんな言葉をかけるだろう」「こういうことで困っていたら、助けに来てくれるのはきっとこのキャラクターだな」と、自然と目に浮かぶんです。私自身が展開を決めるというより、キャラクターが物語を先に進めてくれるんですね。

――リンゴキッドは誕生当初と比べて絵柄が徐々に変わっていると思いますが、絵柄を変えていった理由があるのでしょうか?
雨宮:大きく変えたというより、少しかわいらしくなっている感じでしょうか。やなせ先生は、ご自身がいらっしゃらないときは、誰にでも描けるよう、できるだけ簡略に、またスケールを使って描けるようにされていたので、その点は意識しています。

リンゴキッドたちを描くときに大事にしていることは“アドベンチャー感”

リンゴキッドたちを描くときに大事にしていることは“アドベンチャー感”

――雨宮さんが『リンゴキッドとなかまたち』を描くときに、大事にしていることはどんなことですか?
雨宮:第一に、「アドベンチャー感」でしょうか。ワクワクする楽しいこと、新しい発見があること。そういうものを大切に、物語を考えるようにしています。
それから、例えば誰かが間違ったことをしてしまったり、いたずらが過ぎて人に迷惑をかけてしまっても、ちゃんとそれを正してくれる人・助けてくれる人が周りにいることと、悪いことをしてしまったほうも反省する機会があるような物語を心がけています。そういう意味で、お話の最後の「いたずらした子もみんなで一緒にごはんを食べて仲直りする」という場面は、とても大事にしていますね。

リンゴキッドたちを描くときに大事にしていることは“アドベンチャー感”

――やなせ先生の理念や制作スタイルが、雨宮さんの制作活動に与えた影響を教えてください。
雨宮:キャラクターの個性を丁寧に描く、ということです。先ほどもお話ししましたが、そうすることで、彼らが自然と話を広げてくれ、キャラクターが物語を作ってくれるんです。それから、先生はアイデアが浮かばないとき、1ページ目に描いた絵を丁寧に、何度もなぞって描かれていました。私も真似することがあるのですが、不思議とそのうちふっとキャラクターが物語を先に進めてくれるんですよ。本当に、いつも彼らに助けられています。

リンゴキッドたちを描くときに大事にしていることは“アドベンチャー感”

――子どもたちに向けた絵本や紙芝居などでリンゴキッドたちが大活躍しています。リンゴキッドたちを通して子どもたちに伝えたい想いなどはありますか?
雨宮:自分が描いたキャラクターたちが絵本の世界から飛び立って、別の世界でも羽ばたいてくれるというのはうれしいです。お子さんたちには、『リンゴキッドとなかまたち』の物語を通して、もしも間違ったことをしてしまっても助けてくれる人がいるし、ちゃんとやり直す機会がある、ということを知ってほしいなと思います。

――雨宮さんから見た、やなせ先生のお人柄を教えてください。
雨宮:やさしい方でした。先生から厳しく指導されたり、先生がアシスタントに対して声を荒げたりする場面は見たことがありません。私にも冗談で「雨宮先生、これ描いてもらえますか」なんて、丁寧な口調でおっしゃって。もちろん、無茶な要求に対してはっきり主張されることはありましたし、締め切り前で先生自身が悩まれたりすることはありましたが、周囲に当たるようなことはありませんでした。皆さんがイメージされる通りの、穏やかで、平和主義で、素直に人を信じる方。だから先生が描かれる物語は、とても平和。先生のお話の中では、変装がなかなかバレないんですよ(笑)。

共通の願いは、“子どもたちを笑顔にしたい”ということ

共通の願いは、“子どもたちを笑顔にしたい”ということ

――ハウス食品グループの企業キャラクターとして活躍しているリンゴキッドたちをご覧になって、どんなことを感じますか?
越尾:スーパーなどでお子さんが、「あ、リンゴキッドだ!」と喜んでいる様子を見かけると、こちらも思わず笑顔になります。やなせスタジオで生まれたキャラクターが独り立ちして、成長した場所で改めて出会う感慨といいますか…。ハウス食品さんがリンゴキッドを育て、多方面で活躍させてくださっていることには本当に感謝しています。
キャラクターの利用にあたっては、デザインを変えずに使っていただくようにお願いしています。そのときどきの流行に合わせて安易に変化させてしまうと、元々のキャラクターのイメージがどんどん崩れてしまって、元に戻れなくなってしまうからです。リンゴキッドたちには、関わってくださる皆さんと一緒に成長していってほしいと願っています。

共通の願いは、“子どもたちを笑顔にしたい”ということ

――やなせスタジオとハウス食品グループには「子どもたちを笑顔にしたい」という共通の想いがありますが、今後、リンゴキッドたちについてハウス食品グループにどのようなことを期待しますか?
越尾:「キャラクターは、育てないと根づかない」と、やなせ先生はよくおっしゃっていました。作っただけじゃダメ。キャラクターが独り立ちして、世界が広がっていくことが大切なんです。そのためにはまず、身内がファンになることが大切だと思います。私たちやなせスタジオとハウス食品さんを、「ファミリー」と言ったら大袈裟かもしれないけれど、まず身内であるハウス食品の社員さんたちに、リンゴキッドを「うちのキャラクターだ」と思っていただきたいですね。
そうすれば、きっと少しずつ外へと広がって、「ハウス食品といえばリンゴキッド」と世の中にも定着していくと思うんです。やなせ先生もそうなることを望んでいらっしゃったし、やなせスタジオとしても、それを切に願っています。

共通の願いは、“子どもたちを笑顔にしたい”ということ

インタビューを通じて、リンゴキッドたちの魅力や、やなせ先生の精神、そして越尾さんと雨宮さんのキャラクターを愛する想いが伝わってきました。
やなせスタジオが生み出すキャラクターたちや、その物語には、思いやりや情熱が込められており、それが作品全体に温かい雰囲気をもたらしています。

これからもリンゴキッドたちが、多くの子どもたちの笑顔を引き出し、豊かな物語を紡いでいくことを楽しみにしています。


取材日:2025年2月
内容、所属等は取材時のものです

▶ハウス劇場『リンゴキッドとなかまたち』
https://housefoods-group.com/tsunagu/ehon/

文:山村奈央子
写真:片桐圭
編集:株式会社アーク・コミュニケーションズ

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