おいしさのヒミツ
きっかけはレトルトカレーの製造。
誕生には10年以上の歳月
ハウス食品グループの主力商品の一つであるレトルトカレー。この製造時にタマネギとニンニクを炒めるとアメ色にならずに、まれに緑色になってしまう現象が発生し、この原因解明の研究が1990年代から行われました。
この過程で、アミノ酸がアリイナーゼという酵素と、新たに発見した催涙因子合成酵素と2段階で反応することで、涙の出る原因となる辛み成分が生成されることを解明しました。そこからこの仕組みを応用した辛みのないタマネギ作りがスタートし、品種改良を重ねてアリイナーゼの量が非常に少ないタマネギが誕生。辛みがほとんどないタマネギの開発は世界初※ということで特許も取得しました。
※タマネギやネギの辛味の指標であるピルビン酸生成量が約1.0マイクロモル/グラムという既存品種と比べて著しく低い辛みがほとんどないタマネギを商品化したこと
ハウス食品グループ本社株式会社 アグリビジネス推進部
正村 典也
長年の研究から生まれた、まったく新しいタマネギ
なぜタマネギを調理すると涙が出るかご存知ですか?実はタマネギの中に催涙成分が入っているわけではなく、包丁で切ることによって成分が作られて涙が出るのです。この成分は涙を出すだけではなく、口に入るとヒリヒリとした辛味になります。ハウス食品グループではこの仕組みを10年以上研究。科学誌「Nature」に論文が掲載されたこともあります。
株式会社植物育種研究所
岡本 大作
世界の食卓を変えるタマネギを、まずは日本に広めたい。
タマネギはこれまで「涙が出なければいいね」、「辛みがなければいいね」と言われ続けてきました。スマイルボールはそんな願いを叶えるタマネギ。タマネギの風味と食感があるのに辛みがないため、本来のおいしさと甘みを感じることができます。このユニークな特徴を強みに、スマイルボールを世界の食卓に並ぶタマネギにしたいと思っています。
おいしさのヒミツ
タマネギ研究でイグ・ノーベル賞化学賞を受賞
2002年に世界的な科学誌「Nature」で催涙因子合成酵素の発見についての論文を発表しました。また、催涙因子合成酵素の発見は、「タマネギが人を泣かせる生化学的なプロセスは、科学者が考えていたより複雑であることを明らかにした」と評価され、2013年にイグ・ノーベル化学賞を受賞。
このタマネギ研究を元に、2005年より(株)植物育種研究所と協働で、涙の出ない・辛みのないタマネギの開発に着手し、2012年スマイルボールが新しいタマネギの品種として初めて収穫されて、2015年よりテスト販売をスタートしました。