ハウス食品グループ本社株式会社 平成30年3月期 第3四半期決算短信
1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
当第3四半期連結累計期間における経営環境は、引き続き国際経済の不確実性や地政学的リスクに留意する必要がある一方、国内においては、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が続きました。食品業界においては、市場の成熟化が進展する中、多様化する食ニーズへの対応、新しい価値の提供が求められております。
当期は、当社グループにとって第五次中期計画の最終年度にあたり、“「食で健康」クオリティ企業への変革”に向けて、国内既存事業の収益力強化と新規需要の創出、海外事業の成長加速に向けた施策を推進しております。その一環で、平成29年8月にはマロニー㈱の株式を取得し、同社を連結子会社としており、当第3四半期連結会計期間より連結業績に組み入れております。
グループ全体の売上高は、健康食品事業が苦戦したものの、香辛・調味加工食品事業、海外食品事業の伸長などにより、2,221億39百万円、前年同期比3.6%の増収となりました。
利益面では、増収効果やグループ各社の収益力向上の取組が寄与し、営業利益は143億86百万円、前年同期比27.3%の増益となりました。経常利益は151億70百万円、前年同期比23.7%の増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前連結会計年度に㈱ギャバンの連結子会社化に伴う特別利益の計上や税制改正に伴う㈱壱番屋の繰延税金負債の取崩しの影響もあり、87億83百万円、前年同期比1.3%の減益となりました。
セグメント別の業績の概況(セグメント間取引消去前)は、次のとおりであります。
<香辛・調味加工食品事業>
当事業セグメントは、「食の外部化」などの事業を取り巻く環境変化に対し、「より健康、より上質、より簡便、より適量」にフォーカスした製品・サービスの提供を通じて、「既存領域の強化」および「新規領域の展開」に取り組んでおります。
カレー類は、「食の外部化」の影響からルウカレーは前年を下回りましたが、複数パック製品「プロクオリティ」が力強い成長を続けたレトルトカレーや業務用製品が伸長し、トータルでは前年を上回りました。加えて、ルウシチュー、スパイス、スナックも売上を伸ばしております。
以上に加え、㈱ギャバンやマロニー㈱の新規連結効果が寄与し、香辛・調味加工食品事業の売上高は1,064億62百万円、前年同期比6.0%の増収、営業利益は98億43百万円、前年同期比21.0%の増益となりました。
<健康食品事業>
当事業セグメントは、主力製品の収益改善と成長に向けた仕込みに取り組んだものの、依然厳しい状況が続いております。
機能性スパイス事業では、主力の「ウコンの力」がお客様の飲酒シーンが多様化する中で苦戦が続いており、セグメント業績を押し下げる大きな要因となりました。
ビタミン事業では、「C1000」シリーズは前年を下回りましたが、ビタミンの提供領域拡大に向け注力する「1日分のビタミン」が着実に拡大し、全体では底堅く推移いたしました。
以上の結果、健康食品事業の売上高は257億37百万円、前年同期比5.4%の減収となりました。営業利益は減収やブランド育成コストの増加影響から、13億86百万円、前年同期比29.0%の減益となりました。
<海外食品事業>
当事業セグメントは、重点3エリア(米国・中国・東南アジア)における事業拡大のスピードアップと収益力強化に取り組んでおり、それぞれ事業拡大を進めました。
米国では、豆腐および豆腐関連製品が主力のアジア系マーケットで堅調に推移する中、米系マーケットや業務用製品も好調を維持し、売上を伸ばしました。
中国では、前期の販売体制再構築に加え、当下期より家庭用製品の価格改定を実施し、「カレーの人民食化」に向けた事業基盤の更なる強化に取り組んでおります。
東南アジアでは、タイ機能性飲料事業において「C-vitt」の市場浸透が着実に進みました。また前期事業化したインドネシアでのハラール認証カレー事業は業務用市場へのアプローチを開始しております。
以上の結果、海外食品事業の売上高は169億26百万円、前年同期比28.5%の増収、営業利益は22億53百万円、前年同期比81.3%の増益となりました。
<外食事業>
当事業セグメントは、国内外でのカレーレストランの運営を通じて、カレーの世界をさらに広げるべく取り組んでおります。
㈱壱番屋は、国内では全店ベースの売上高は前年同期比2.6%増、既存店ベースの売上高は同1.3%増と堅調に推移いたしました。一方利益面では、店舗アルバイトの時給アップや米を中心とした食材原価上昇等により前年同期から微減となりました。
海外では、これまで当社が㈱壱番屋のフランチャイジーとして展開しておりました中国、台湾におけるレストラン事業を㈱壱番屋へ移管し、収益力並びに競争力の強化に努めております。
以上の結果、外食事業の売上高は386億21百万円、前年同期比2.2%の増収、営業損失は1億18百万円(前年同期は営業損失1億58百万円)となりました。
<その他食品関連事業>
当事業セグメントは、各社の機能強化の追求によるグループ総合力の向上に努めております。
運送・倉庫事業を営むハウス物流サービス㈱は、厳しい物流環境の中、食品企業6社での共同取組「F-LINE」の全国展開を見据え、事業の最適化、再構築に継続して取り組んでおります。
コンビニエンスストア向けの総菜等製造事業を営む㈱デリカシェフは、総菜事業を中心に開発力強化・効率化に取り組み、収益性を改善しております。
㈱ヴォークス・トレーディングは、引き続きグループ協働の推進、調達・販売力強化に注力しております。
以上の結果、その他食品関連事業の売上高は462億85百万円、前年同期比2.4%の減収、営業利益は各社の収益力改善の成果が表れ、16億75百万円、前年同期比112.4%の増益となりました。
(2)財政状態に関する説明
当第3四半期連結会計期間末の財政状態は以下のとおりであります。
総資産は、3,743億10百万円となり、前連結会計年度末に比べて204億22百万円の増加となりました。
流動資産は、現金及び預金が減少した一方で、受取手形及び売掛金や商品及び製品が増加したことなどから、89億1百万円増加の1,445億14百万円となりました。固定資産は、のれんが減少した一方で、投資有価証券や建設仮勘定が増加したことなどから、115億21百万円増加の2,297億96百万円となりました。
負債は939億38百万円となり、前連結会計年度末に比べて66億65百万円の増加となりました。
流動負債は、未払金が減少した一方で、支払手形及び買掛金が増加したことなどから、25億14百万円増加の540億5百万円となりました。固定負債は、繰延税金負債や長期預り保証金が増加したことなどから、41億51百万円増加の399億32百万円となりました。
純資産は、保有する投資有価証券の時価上昇によりその他有価証券評価差額金が増加したことや、親会社株主に帰属する四半期純利益により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べて137億57百万円増加の2,803億72百万円となりました。
この結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は66.4%(前連結会計年度末は66.5%)、1株当たり純資産は2,420円41銭(前連結会計年度末は2,289円43銭)となりました。
(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
平成30年3月期の連結業績につきましては、平成29年11月2日発表の業績予想からの変更はありません。
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