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経営成績

1.経営成績等の概況

(1)当期の経営成績の概況

当連結会計年度における経営環境は、雇用・所得環境の改善が続くなかで緩やかな回復基調にありましたが、国際経済の不確実性の高まりを背景に、全体では先行き不透明な状況が続きました。

食品業界におきましては、国内市場の成熟化の進展や生活者の食行動の変化、提供価値の多様化などにより、まだら模様の状況が一層進んでまいりました。

このような環境下におきまして、当社グループは第五次中期計画の2年目である連結会計年度において、“「食で健康」クオリティ企業への変革”をテーマに、国内既存事業の収益力強化と新規需要の創出、海外事業の成長加速に向けた施策を進めました。

売上面につきましては、㈱壱番屋および㈱ギャバンの新規連結効果が寄与したことに加え、既存の香辛・調味加工食品事業も好調に推移、海外食品事業も進出エリアで着実に成長した結果、当連結会計年度の売上高は2,838億12百万円、前期比17.3%の増収となりました。

利益面につきましては、㈱壱番屋の連結子会社化に伴うのれん等償却や退職給付費用の増加影響を受けましたが、増収効果やグループ各社の収益基盤強化による筋肉質な企業体質への転換を進めたことで、営業利益は123億12百万円、前期比14.3%の増益となりました。経常利益は139億51百万円、前期比14.8%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に㈱壱番屋の連結子会社化に伴う特別利益を計上した影響から、86億83百万円、前期比61.6%の減益となりました。


セグメント別の業績の概況(セグメント間取引消去前)は、次のとおりであります。


<香辛・調味加工食品事業>

当事業セグメントは、「食の外部化」などの事業を取り巻く環境変化に対し、「より健康、より上質、より簡便、より適量」にフォーカスした製品・サービスの提供を通じて、「既存領域の強化」および「新規領域の展開」に取り組んでおります。

カレー製品は、ルウカレーが主力製品を中心に堅調に推移するとともに、レトルトカレーも新製品の「プロクオリティ」がお客様のご支持を頂いた結果、売上を伸ばしました。また、ねりスパイスやシーズニングの取扱いを伸ばしたスパイス製品、業務用製品も着実に拡大いたしました。

以上のほか、第2四半期連結会計期間より㈱ギャバンを連結業績に組み入れたこともあり、結果、香辛・調味加工食品事業の売上高は1,320億59百万円、前期比10.0%の増収、営業利益は98億85百万円、前期比24.7%の増益となりました。

<健康食品事業>

当事業セグメントは、主力製品の収益改善と成長に向けた仕込みに取り組んでおります。

「ウコンの力」は、お客様の飲酒シーンが多様化する中、高付加価値製品「レバープラス」は底堅く推移したものの、ミドル・ライトユーザーを対象とした製品群が伸び悩み、シリーズ全体の売上は前期を下回りました。

ビタミン製品は、PET製品が低調な推移となりましたが、ビタミンの提供領域拡大に向けて重点ブランドとして位置付ける「1日分のビタミン」が大きく伸長したことで、全体では前期並みの売上を確保いたしました。

以上の結果、健康食品事業の売上高は332億81百万円、前期比3.6%の減収、営業利益は13億34百万円、前期比4.5%の減益となりました。

<海外食品事業>

当事業セグメントは、重点3エリア(米国・中国・東南アジア)における事業拡大のスピードアップと収益力強化に取り組んでおります。

米国事業は、アジア系人口の増加を着実に取り込むとともに、米系マーケットに対して付加価値製品の提案を強化したことが奏功し、事業規模を拡大いたしました。

中国事業は、平成30年秋頃を予定する第3工場の稼働を見据え、当期を販売体制再構築の年と位置付け、着実に事業基盤を強化いたしました。

東南アジア事業は、タイ機能性飲料事業においてブランド認知が進み事業規模を拡大したほか、日本式カレーの拡大に向けてインドネシアでハラル認証カレー事業を開始するなど、事業領域を拡大いたしました。

以上の結果、海外食品事業の売上高は201億11百万円、前期比8.3%の増収、営業利益は16億81百万円、前期比21.7%の増益となりました。

<外食事業>

当事業セグメントは、国内外でのカレーレストランの運営を通じて、カレーの世界をさらに広げるべく取り組んでおります。

㈱壱番屋および当社の役割分担を明確にし、経営資源の最適配分を推進するため、これまで当社国際事業本部主導で㈱壱番屋のフランチャイジーとして展開しておりました中国、台湾におけるレストラン事業は、不採算店の整理、立て直しを進めるとともに㈱壱番屋主導の体制へ移管いたしました。

以上の結果、外食事業の売上高は、㈱壱番屋の連結効果が寄与し513億75百万円、前期比180.5%の大幅増収となりました。利益面では、連結効果とのれん等の償却がほぼ相殺されたほか、再編に伴う一時的なコスト発生により4億24百万円の営業損失(前期は営業利益44百万円)となりました。

<その他食品関連事業>

当事業セグメントは、各社の機能強化とグループ間シナジーの追求によるグループ総合力の向上に努めております。

運送・倉庫事業を営むハウス物流サービス㈱は、事業構造の見直しやコスト競争力の強化に取り組み、収益構造の改善に一定の成果をあげております。

コンビニエンスストア向けの総菜等製造事業を営む㈱デリカシェフは、総菜新工場稼働に伴う初期コストが解消したほか、生産能力強化と生産効率向上による収益力の改善に努めました。

平成28年4月に㈱堀江大和屋を吸収合併した㈱ヴォークス・トレーディングは、経営資源の集約化、調達・販売力の強化に取り組んでおります。

以上の結果、その他食品関連事業の売上高は621億23百万円、前期比0.9%の減収、営業利益は7億19百万円、前期比611.3%の大幅増益となりました。

(2)当期の財政状態の概況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて44億61百万円増加し3,538億88百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べて166億66百万円増加し1,356億12百万円、固定資産は、前連結会計年度末に比べて122億5百万円減少し2,182億75百万円となりました。

流動資産の増加の主な要因は、債券の減少により有価証券が25億73百万円減少した一方、現金及び預金が134億55百万円、受取手形及び売掛金が22億29百万円増加したことなどによるものです。

固定資産の減少の主な要因は、㈱ギャバンを連結子会社化した影響等により土地が15億43百万円増加した一方、投資有価証券が69億29百万円、のれんが35億79百万円、長期預金が20億円減少したことなどによるものです。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて18億25百万円減少し872億73百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べて6億78百万円増加し514億92百万円、固定負債は、前連結会計年度末に比べて25億3百万円減少し357億81百万円となりました。

流動負債の増加の主な要因は、未払金が9億84百万円増加したことなどによるものです。

固定負債の減少の主な要因は、運用益の改善等の影響により退職給付に係る負債が19億47百万円、取崩等により繰延税金負債が10億33百万円減少したことなどによるものです。

当連結会計年度末の純資産は、為替換算調整勘定が減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べて62億86百万円増加の2,666億15百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の65.5%から66.5%となり、1株当たり純資産が2,231円86銭から2,289円43銭となりました。

(3)当期のキャッシュ・フローの概況

当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー212億98百万円に対し、「子会社株式の取得」「有価証券の取得」「有価証券の売却」などの投資活動によるキャッシュ・フロー21億69百万円、「短期借入れ」「短期借入金の返済」「配当金の支払」などの財務活動によるキャッシュ・フロー73億88百万円を減じました結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は555億94百万円となり、期首残高より114億38百万円増加いたしました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は212億98百万円(前期比+87億80百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益144億70百万円などによるものであります。

また、前連結会計年度に比べての増加は、段階取得に係る差損益の減少(前期比+134億3百万円)、投資有価証券売却損益の減少(前期比+29億86百万円)、のれん償却額の増加(前期比+25億62百万円)、減価償却費の増加(前期比+24億37百万円)、税金等調整前当期純利益の減少(前期比136億31百万円)などが主な要因であります。

投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は21億69百万円(前期比+61億38百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出69億72百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出44億58百万円、投資有価証券の取得による支出21億14百万円、有価証券の取得による支出10億円、有価証券の売却による収入105億円などによるものであります。

また、前連結会計年度に比べての増加は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の減少(前期比+120億98百万円)、投資有価証券の取得による支出の減少(+43億87百万円)、有価証券の売却による収入の減少(前期比79億98百万円)、投資有価証券の売却による収入の減少(前期比43億18百万円)などが要因であります。

財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は73億88百万円(前期比36億45百万円)となりました。これは主に配当金の支払額30億76百万円、非支配株主への配当金の支払額11億75百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社出資金の取得による支出9億41百万円、子会社の自己株式の取得による支出9億2百万円、子会社の所有する親会社株式の売却による収入10億9百万円などによるものであります。

また、前連結会計年度に比べての減少は、短期借入れによる収入の減少(前期比94億84百万円)、連結の範囲の変更を伴わない子会社出資金の取得による支出の増加(前期比9億41百万円)、子会社の自己株式の取得による支出の増加(前期比9億2百万円)、非支配株主への配当金の支払額の増加(前期比5億13百万円)、短期借入金の返済による支出の減少(前期比+80億11百万円)、子会社が所有する親会社株式の売却による収入の増加(前期比+5億38百万円)などが要因であります。

(4)今後の見通し

当社グループを取り巻く経営環境は、国内成熟市場における世帯構成や食スタイルの変化、また国際情勢の不確実性の高まりや新興国の需要増などを背景に原材料の動向にも注意を要するなど、今後も予断を許さない状況が続くものと想定しております。

このような見通しの中で当社グループは、平成27年4月からの3年間を対象とした第五次中期計画において、“「食で健康」クオリティ企業への変革”をテーマに、国内既存事業の収益力強化と新規需要の創出、海外事業の成長加速に取り組んでおります。

国内においては、川上領域の調達から川下領域の外食まで、バリューチェーンの幅を広げてグループ内各社の協働を進め、既存事業の収益力を高めるとともに、新たな価値の提供に向けたシナジーの創出に注力してまいります。

海外においては、参入マーケットの成長を確実に取り込み、食文化の壁を超え新たな価値を市場に定着させることで、着実な事業規模の拡大に努めてまいります。

同時に、当社グループの理念である「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」の実現に向けて、グループ共有の価値観「ハウスウェイ」の体内化やダイバーシティの推進など、一企業市民として社会との調和を一層深めるべく取り組んでまいります。

以上をふまえ、次期連結会計年度の売上高は2,928億円(前期比+3.2%)、営業利益は135億円(前期比+9.6%)、経常利益は145億円(前期比+3.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は、当期に発生した㈱ギャバンの連結子会社化に伴う特別利益が次期には無くなることから77億円(前期比11.3%)を予定しております。

(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当

当社グループでは従来より、連結配当性向30%以上を基準とした安定的な配当をめざすことを、利益配分の基本方針としておりました。しかし、㈱壱番屋および㈱ギャバンを連結子会社化したことに伴い、平成28年3月期より段階取得株式に係る損益やのれん償却等の現金の動きを伴わない損益の変動が発生しております。

このため、利益配分の基準となる原資からこのような変動要因を除いた方が「安定的配当」を具現化できるものと考え、平成28年3月期より利益配分の基本方針を「企業結合に伴い発生する特別損益やのれん償却等の影響を除く連結配当性向30%以上を基準とした安定的な配当を継続する」ことに修正しております。

内部留保金につきましては、将来を見据えた製造設備・研究開発などの投資や新たな事業展開のために活用してまいりたいと考えております。

当期の期末配当につきましては、1株当たり17.00円(前期末比+2.00円)を予定しており、中間配当15.00円と合わせて、年間配当は前期に対し2.00円増配の1株当たり32.00円を予定しております。これにより連結配当性向は37.9%となりますが、上記に記載の段階取得株式に係る損益やのれん償却の影響を除いた場合の連結配当性向は30.4%となります。

次期の配当につきましては、1株当たり年間34.00円(中間配当17.00円)を予定しております。

(6)事業等のリスク

当社グループの経営成績および財政状態などに影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、当社グループは、これらのリスク発生(顕在化)の可能性を認識し、発生の抑制・回避および発生時の対応に努めてまいります。

①食品の安全性の問題

食品業界におきましては、消費者の品質に対する要求は一段と高まってきております。当社では、製品品質を保証する専門部署である品質保証統括部を中心にしたトレーサビリティの仕組みの構築をはじめ、外部有識者を交えたグループ品質保証会議の開催など品質保証体制の強化に努めております。しかしながら、社会全般にわたる品質問題など、上記の取組の範囲を超えた事象が発生し、当社グループ製品のイメージが低下するなどの事態が発生した場合、または当社グループ製品に直接関係がない場合であっても、風評などにより当社グループ製品のイメージが低下するなどの事態が発生した場合、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

②天候や自然災害・重篤な感染症の大流行

当社グループの事業は、冷夏・猛暑・暖冬などの天候要因や、大規模な自然災害の発生・重篤な感染症の大流行により、業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

大規模災害発生・重篤な感染症の大流行に際しては、直ちに対策本部を設置し、全社的な対応体制を構築するとともに、食品企業の使命として製品支援・製品供給を第一に考え、生産・供給体制を整備いたします。また、当社グループで災害発生による損害が発生した場合に、いち早く事業を復旧するため、毎年、事業継続計画を見直しております。

③原材料の調達および価格の変動

当社グループ製品の主要原材料は、小麦粉・香辛料などの農産物および材に使用する石油化学製品などであり、原産地での異常気象や紛争の発生、法律または規制の予期しない変更などにより安定調達が困難になるリスクや、さらに需給関係や相場の変動などによる価格高騰で製造コストが上昇し、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

④海外事業におけるリスク

当社グループは、米国・中国・台湾・韓国・タイ・ベトナムなど海外において、豆腐製品、カレー製品などの製造・販売、レストランのチェーン展開など食品関連の諸事業を行っております。これらの国々での景気後退・政治的問題、食品の安全性を脅かす事態の発生などにより、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

⑤外食事業におけるリスク

外食事業は、マーケット規模の横ばい傾向が続く中、外食の店舗間だけでなく、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどとの業態の垣根を越えた競争が激しさを増してきております。当社グループが、お客様のニーズにあったメニューや付加価値の高いサービスを提供できない場合には売上高は減少し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥保有資産の価値変動

当社グループは、事業用設備、不動産や企業買収などにより取得したのれんをはじめとする様々な有形・無形の固定資産を保有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待通りのキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなどその収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合があり、減損処理した場合、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

⑦法的規制などの影響

当社グループは、食品衛生法、製造物責任法、不当景品類及び不当表示防止法、環境・リサイクル関連法規などの各種規制や、海外進出先における現地法令などの適用を受けております。当社グループといたしましては各主管部門と法務部門が連携し、関連諸法規の順守に万全の体制で臨んでおりますが、法的規制の強化、新たな規制などによって事業活動が制限される可能性があり、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

情報・システム管理におけるリスク

当社グループは、開発・生産・物流・販売などの情報や、販売促進キャンペーン、通信販売などによる多数のお客さまの個人情報をコンピュータにより管理しており、システム上のトラブルなど、万一の場合に備えて最大限の保守・保全の対策を講じるとともに、情報管理体制の徹底に努めております。しかしながら、災害によってソフトウェアや機器が被災した場合のシステム作動不能や内部情報の消失、想定を超えた技術による不正アクセスや予測不能のコンピュータウィルス感染などによって、システム障害や情報漏洩、改ざんなどの被害を受ける可能性があります。このような事態が発生した場合、当社グループの業績・財政状態や社会的信用に影響を及ぼすリスクがあります。

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