経営成績
(1)経営成績に関する分析
1.当期の経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、米国に端を発する世界的な金融危機の拡大や為替相場の急激な変動の影響などから、景気の後退感が一段と色濃く出てまいりました。個人消費におきましては、企業収益の悪化に伴う雇用調整の動きが広がり、消費マインドの冷え込みは一層進んでおります。生活関連分野では、小売店による低価格帯の独自商品の販売強化や生活防衛意識の高まりから、厳しい選別消費の傾向が続いております。
このような状況のなか、当社グループは、平成18年4月よりスタートした3ヵ年の第二次中期計画の最終年度にあたる当連結会計年度において、その完遂に向けた様々な取組に注力してまいりました。
カレー、シチュー、スパイス、レトルトなどのコア事業では、内食・米飯回帰傾向のなか、“ファイトカレープロジェクト”や野菜ソムリエとのタイアップ企画などのプロモーション活動を展開し、市場の活性化を推し進めてまいりました。また、多様化するお客さまのご要望に対応すべく、カップタイプ製品をはじめとする即食・個食型製品のラインナップを拡充するなど、新しい需要の創造に取り組んでまいりました。
健康食品、飲料、米国豆腐事業のコア育成事業では、機能性飲料製品の販売機会アップのためのキャンペーンを積極的に行いましたほか、購買層を広げるべく、製品ラインナップの充実を図ってまいりました。また、子会社ハウスウェルネスフーズ(株)では、新製品の投入による“C1000ブランド”の一層の拡充に努めるとともに、製品開発やマーケティング活動における当社との連携強化により、グループとしてのシナジーの発揮にも注力してまいりました。さらに米国における豆腐事業では、大豆価格の高騰による厳しい経営環境のもと、価格改定を行いましたことに加え、引き続き重点攻略エリアを設定し、取扱促進を含めた新規顧客の開拓に努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の連結売上高は2,225億4,900万円と前期比4.8%の減収となりましたが、平成20年4月1日より、従来、販売費及び一般管理費に計上しておりました経費の一部を販売価格から差し引くよう販売制度を改定いたしましたため、同一条件で比較した場合、連結売上高の前期比は0.05%の微増収となります。
一方利益面では、「ウコンの力」やルウカレーなどの主力製品の増収に加え、コストダウン活動の継続的取組やマーケティングコストの効率的運用などが奏効し、連結営業利益は102億100万円、前期比15.3%の増益、連結経常利益は109億9,300万円、前期比22.6%の増益、連結当期純利益は47億2,600万円、前期比32.2%の増益となりました。
【事業の種類別販売の状況】
<食料品>
カレー製品は、パンをはじめとする小麦関連商品の値上がりに対し、値ごろ感から米食が見直されるなか、「こくまろカレー」などのルウ製品が好調に推移しましたことに加え、季節限定発売の新製品「カレー鍋つゆ」がお客さまから大きなご支持をいただきましたこと等から、前期実績を上回りました。
スパイス製品は、「ねりスパイス」が好調な伸びを示しましたこと等から、増収となりました。
シチュー製品は、主力の「北海道シチュー」が堅調に推移しましたほか、ラインナップの充実を図りました「北海道チャウダー」が好調に売上を伸ばしました。また、カップ製品では、「カップシチュー」が競合激化により苦戦いたしましたものの、「スープdeおこげ」がその食感の目新しさから女性を中心に支持され、売上拡大に寄与しました結果、全体では前期を上回る売上となりました。
袋麺製品は、ロングセラー製品の「うまかっちゃん」がお客さまから底堅いご支持をいただきましたことから、売上を伸長いたしました。
レトルトカレー製品は、「ククレカレー」が低調に推移いたしましたものの、“新ヘルシーブレンド製法”を採用し、従来よりカロリーを低減させた「」が好調であったこと等から、増収となりました。
健康食品は、「ウコンの力<カシスオレンジ味>」、「黒ニンニクの力」の発売により、健康機能飲料のラインナップの強化と購入層の拡大が図れましたものの、ハウスウェルネスフーズ(株)の健康飲料「レモンウォーター」などが競合激化により厳しい状況にありましたことから、全体では前期実績を下回りました。
飲料製品「六甲のおいしい水」は、厳しい価格競争の影響から減収となりました。
スナック製品は、主力の「とんがりコーン」や「オー・ザック」が順調に推移しましたことから、前期並みの実績を確保いたしました。
デザート製品は、前期好調でありました「フルーチェ<ハンディータイプ>」の売上が一巡しましたこと等により、減収となりました。
海外事業におきましては、米国の豆腐事業が、東部・中西部地区での売上拡大によりドルベースで増収となりましたほか、中国のルウカレー事業は、日本式カレーの認知・浸透が進み、家庭用製品に加え、業務用製品も着実に取扱いが拡がりました。また、東アジア圏や米国におけるカレーレストラン事業も、積極的な店舗展開に努めましたことから、業容拡大を図ることができました。
業務用製品では、フレーク・デザート製品が順調に売上を伸ばしましたものの、レトルト製品が今ひとつの状況にありましたことから、全体では前期並みの実績となりました。
※上記の前期実績との比較に関する記述は、前期実績を販売制度改定後の数値に置き換え、同一条件で比較した結果をもとに行っております。
当連結会計年度の食料品の売上高は2,115億1,200万円、前期比5.0%の減収(前期実績を販売制度改定後の数値に置き換え、同一条件で比較した場合は、前期比0.1%の増収)、営業利益は137億8,700万円、前期比24.2%の増益となりました。
<運送・倉庫業他>
物流事業のハウス物流サービス(株)は、当社グループの飲料製品の苦戦によりグループ内取引が軟調に推移したことに加え、比較的堅調でありましたグループ外取引も前年実績を確保できず、減収となりました。
食品分析事業のハウス食品分析テクノサービス(株)は、グループ内外ともに取引を拡大いたしました結果、増収となりました。
当連結会計年度の運送・倉庫業他の売上高は110億3,600万円、前期比0.3%の減収、営業利益は3億2,400万円、前期比59.1%の減益となりました。
2.次期の見通し
今後の見通しでございますが、原材料価格は高騰前の水準に近づきつつあるものの、不透明感が払拭できないなか、世界的な景気後退局面を迎え、企業環境の悪化には回復の兆しが見られず、一層の下振れリスクも残されております。生活関連業界におきましては、景気悪化への不安感から消費者マインドも一段と落ち込みを見せ、製品の価格と価値のバランスを重視する購買行動がより鮮明になると思われます。
当社グループにおきましては、新しい経営体制のもと、本年4月より第三次中期計画をスタートしており、成長事業と収益事業を明確に区分するなかで、それぞれの事業計画にこだわることにより、成長シナリオの実現をめざしてまいります。
次期連結会計年度の業績につきましては、連結売上高は2,330億円(前期比104.7%)、連結営業利益は110億円(前期比107.8%)、連結経常利益は120億円(前期比109.2%)、連結当期純利益は62億円(前期比131.2%)を予定しております。
【事業の種類別販売の見通し】
<食料品>
カレー製品では、「バーモントカレー」をはじめとする主力製品の売上の確保に加え、健康志向の新価値製品「プライムカレー」などの一層の定着をめざし、引き続き積極的なマーケティング活動に注力するほか、「めざめるカラダ朝カレー」の発売により、新しい食シーンを提案するなど、カレーメニューの登場頻度アップにも努めてまいります。
シチュー製品では、バラエティ製品の発売や野菜の効率摂取をテーマとした販売促進活動を実施し、市場の活性化を図ってまいります。また、カップタイプ製品では、即食・個食需要に対応すべく新しいおいしさをご提案するとともに、今後の需要増加を見込んだ安定供給体制を整備してまいります。
健康食品では、「ウコンの力」の自動販売機ルートでの販売を進めるほか、香辛料抽出物などを配合した炭酸飲料「メガシャキ」の発売など、新たな購入層の開拓に努めてまいります。ハウスウェルネスフーズ(株)ではグループシナジーをより発揮すべく、当社との連携を深めてまいります。
海外事業では、米国の豆腐事業は、引き続き販路の拡大と業務用チャネルの開拓を最重要課題として取り組むとともに、新しい大豆関連製品の開発を含めた事業領域拡大にも注力してまいります。カレーレストラン事業では、既存エリアでの店舗展開をより一層加速させ、あわせて将来の事業拡大を視野に入れたフランチャイズ展開などにも着手してまいります。
<運送・倉庫業他>
物流事業は、外部企業からの受託事業を拡大するため、積極的な投資を行うほか、エリア拠点の集約・拡充を進めてまいります。食品分析事業では、グループ外の分析事業の拡大を図り、検査機関としての地歩を固めてまいります。また、グループ内のスタッフ業務のサービスレベル向上と効率化をめざし、子会社ハウスビジネスパートナーズ(株)を設立し、間接部門の機能強化に取り組んでまいります。
(2)財政状態に関する分析
1.資産、負債および純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて3,500万円減少し2,282億2,600万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて91億1,000万円増加し、999億1,600万円、固定資産は、前連結会計年度末に比べて91億4,500万円減少し、1,283億1,000万円となりました。
流動資産の増加の主な要因は、譲渡性預金の取得等により有価証券が238億7,800万円増加したことなどによるものであります。
固定資産の減少の主な要因は、株式相場が下落しましたことや、1年内償還予定債券を投資有価証券から有価証券へ振り替えましたことなどにより投資有価証券が90億8,800万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて23億8,300万円増加し、497億400万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べて8億9,700万円減少し、403億5,700万円、固定負債は、前連結会計年度末に比べて32億8,000万円増加し93億4,700万円となりました。
流動負債の減少の主な要因は、未払金が26億5,500万円減少したことによるものであります。
固定負債の増加の主な要因は、リース取引に関する会計基準の適用に伴いリース債務が46億9,900万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、その他有価証券評価差額金が28億1,400万円減少したことや、為替換算調整勘定が10億5,800万円減少したことなどにより、前連結会計年度末と比べて24億1,800万円減少の1,785億2,200万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の78.8%から78.1%となり、1株当たり純資産が1,639円23銭から1,623円36銭となりました。
2.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー165億2,500万円に対し、「有形固定資産の取得による支出」等の投資活動によるキャッシュ・フロー33億4,300万円、「配当金の支払」等の財務活動によるキャッシュ・フロー24億3,200万円を減じました結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は416億8,000万円となり、期首残高より102億9,100万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は165億2,500万円(前期比+55億6,200万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益98億6,200万円、減価償却費61億1,800万円によるものであります。
また、前連結会計年度に比べての増加は、仕入債務の増減額(前期比+22億8,000万円)などが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は33億4,300万円(前期比+81億6,200万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出66億9,000万円によるものであります。
また、前連結会計年度に連結子会社ハウスウェルネスフーズ(株)の子会社株式取得による支出(108億500万円)がありましたことが前連結会計年度に比べての主な増加要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は24億3,200万円(前期比+15億9,900万円)となりました。これは主に配当金の支払い24億1,500万円によるものであります。
また前連結会計年度に比べての増加は、当社の中間配当実施の開始による配当金の支払いの減少(前期比+12億500万円)が主な要因であります。
(3)利益配分に関する基本方針および当期・次期の配当
当社グループは、株主のみなさまへの利益還元を経営の最重要課題の一つと位置づけ、収益性の向上と財務体質の強化に努めるとともに、業績・事業計画などを総合的に勘案し、安定的な配当を継続することを基本方針としております。
この方針のもと、配当金につきましては連結ベースで配当性向30%以上を基準とした安定的な配当を実施してまいります。
内部留保金につきましては、将来を見据えた製造設備・研究開発などの投資資金や新たな事業展開のために活用してまいりたいと考えております。
当連結会計年度の期末配当につきましては、1株当たり11円を予定しており、中間配当11円と合わせまして1株当たり年間22円となる予定です。
次期の配当予想につきましては、1株当たり年間22円(うち、中間配当11円)を予定しております。
(4)事業等のリスク
1.食品の安全性の問題
食品業界におきましては、食の安全・安心に係わる問題が多発するなか、消費者の品質に対する要求は一段と高まってきております。当社では、製品品質の保証を専門部署とする品質保証部を中心に、トレーサビリティの仕組みの構築にも注力するなど、品質保証体制の強化に努めております。しかしながら、社会全般にわたる品質問題など、上記の取組の範囲を超えた事象が発生した場合は、当社グループの業績・財政状況に影響を及ぼすリスクがあります。
2.天候や自然災害
当社グループの食料品事業は、冷夏や猛暑などの天候要因もリスクとなる可能性があります。また、地震・台風など大規模な自然災害の発生により、製造設備が損害を受け、当社グループにおける生産など事業活動に支障をきたすリスクがあります。
3.原材料の調達および価格の変動
当社グループ製品の主要原材料は、小麦粉・香辛料などの農産物および包材に使用する石油製品などであり、原産地での異常気象などによる不作や、紛争などの発生により、安定調達が困難になる可能性があり、また、そのことで価格が高騰した場合に製造コストが上昇し、当社グループの業績・財政状況に影響を及ぼすリスクがあります。
4.保有資産の価値変動
当社グループは、様々な資産を保有しておりますが、土地や有価証券などの資産価値が下落することにより、当社グループの業績・財政状況に影響を及ぼすリスクがあります。
5.法的規制等の影響
当社グループは、食品衛生法、製造物責任法、不当景品類および不当表示防止法や環境・リサイクル関連法規など、各種法的規制の適用を受けております。当社グループといたしましては各主管部門と法務部門が連携し、関連諸法規の順守に万全の体制で臨んでおりますが、法的規制の強化、新たな規制などによって事業活動が制限される可能性があり、当社グループの業績・財政状況に影響を及ぼすリスクがあります。
6.情報・システム管理におけるリスク
当社グループは、開発・生産・物流・販売などの情報をコンピュータにより管理しており、システム上のトラブルなど、万一の場合に備えて最大限の保守・保全の対策を講じるとともに、情報管理体制の徹底に努めております。しかしながら、想定を超えた技術による不正アクセスや予測不能のコンピュータウィルス感染などによって、システム障害や情報漏洩などの被害の可能性があり、当社グループの業績・財政状況や社会的信用に影響を及ぼすリスクがあります。
7.海外事業におけるリスク
当社グループは、米国・中国・台湾・韓国において、豆腐事業、ルウカレー並びにレトルトカレーの製造・販売および、カレーレストランのチェーン展開を行っております。これらの国々での景気後退・政治的問題などが当社グループの業績・財政状況に影響を及ぼすリスクがあります。
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