『フルーチェ』が紡ぐ、家族の時間

『フルーチェ』が紡ぐ、家族の時間

2026年に誕生50周年を迎える『フルーチェ』。
牛乳と混ぜるだけ、というシンプルな工程でできる手作りデザートの『フルーチェ』は、手軽に作れることから、小さなお子さんとの家族時間を持つことから、大人のひとりを楽しむ時間まで、様々なシーンを彩ってきました。

2022年よりフルーチェの製品企画を手がけているハウス食品の馬場崎麻子さんは、そんな『フルーチェ』の歴史を大切にしながらも、新しい『フルーチェ』を見出していこうと挑戦しています。

ハウス食品に入社して以来、多くの方とつながり、経験を積んできた馬場崎さんに、『フルーチェ』についてお話をお聞きします。

馬場崎 麻子(ばばさき あさこ)

馬場崎 麻子(ばばさき あさこ)

2005年ハウス食品入社。量販店営業、コンビニエンスストア営業を経て、2011年より現在の製品企画・マーケティング業務に従事。シチュー、スパイスカテゴリーの製品企画に携わった後、2022年より『フルーチェ』を代表とするホームデザート・メニュー調味料グループを担当。「より世の中に必要とされ、愛されるブランド」をめざし、ブランドを通じた社会課題の解決にも関心を持ちながら取り組みを推進中。プライベートでは、ふたりの子どもと全力で遊ぶことが楽しみ。子どもたちとお菓子作りをしたり、触れ合う体験を大切にしている。

情熱の源泉 – ハウス食品で歩んだキャリア

情熱の源泉 – ハウス食品で歩んだキャリア

――馬場崎さんがハウス食品に入社された経緯について教えてください。
馬場崎:ハウス食品には「カレー」という強いイメージを持っていましたが、調べていくうちに、幅広い製品のラインアップがあり、続々と新しい商品が開発されていて、会社としてのチャレンジ精神を感じました。私は学生時代にマーケティングを専攻しており、卒業論文のテーマは「経済性と社会性の両立について」でした。自分がやりたい「社会課題の解決」において、食を通じて実現していくことができるのではないかという可能性を感じて、入社を希望しました。

――馬場崎さんは2005年に入社され、20年近くハウス食品で働いてきていますが、これまでどのような業務に携わってきたのでしょうか?
馬場崎:入社後は兵庫県でスーパーマーケットなど量販店の営業に配属され、その後東京にてコンビニエンスストアの営業に移りました。2011年には旧・調味食品部へ異動し、シチューや煮込み製品企画を担当した後、スパイス部門へ移ってパウダースパイスやシーズニングスパイスの企画担当となりました。その間、第一子、第二子と産育休を経て、食品事業部の製品企画に復帰しています。2022年より現在のホームデザート・メニュー調味料グループに配属になり、今に至っています。

――営業から企画へ大きく軸足が変わったのは2011年ですが、このときの変化は馬場崎さんにとってはいかがでしたか?
馬場崎:当時コンビニエンスストア営業が所属する広域営業部が東京本社にあったため、部署間の距離が近く、製品企画のメンバーとコミュニケーションをとることはありましたが、まさか自分がその部署に行くとは思っていなかったので、異動にはとても驚きました。営業から製品企画に移り、外から見る業務内容と実際の違いに戸惑いもありましたが、製品についてより深いところで関わるようになって、さらに視野が広がる機会となりました。
自分のなかで一番変化を感じたことは、仕事へのスタンスではないかと思います。特にスパイスの製品企画時代、当時の上司の方々は「自分がやりたいことを好きにやってみて」と、私を信頼して背中を押してくださいました。自分で考え判断し、責任を持ちながら仲間と共に仕事を創りあげていくことの楽しさ、おもしろさを体感することができた数年間だったと振り返っています。本気で、そして全力で夢中になって仕事に挑めた30代前半の経験は、私の中に大きな変化をもたらした時間でした。

情熱の源泉 – ハウス食品で歩んだキャリア

――『フルーチェ』に関わり始めた現在、どのような業務をなさっていますか?
馬場崎:『フルーチェ』に携わり始めた2022年からビジネスユニットマネージャーに昇格しました。今、私が手がけていることは、『フルーチェ』という長く愛されるブランドの未来を描いていくことです。50年間という長い時間をお客様と歩んできたブランドとして、中長期的な目線で「これからも変わらず守っていくべき価値」と、「お客様や時代の変化に合わせてアップデートしていかないといけない価値」を明確にし、ブランドの「ありたい姿」を設定しました。そして、メンバーと一緒に実現するための戦略や戦術について何度も話し合い、関連部署の皆さんに想いを持って伝え、協力いただきながら創りあげています。また、それらの業務を通じて、チーム全体をマネジメントしていく役割を担っています。

ハウスのデザート、『フルーチェ』の価値と広がり

ハウスのデザート、『フルーチェ』の価値と広がり

――2026年には発売されて50周年を迎える『フルーチェ』ですが、長年多くの人に愛されているのはなぜだと思いますか?
馬場崎:「牛乳と混ぜる」というシンプルな工程でありながらも、フルーツのおいしさとプルンとした食感のデザートが楽しめる、やはりそこが皆さんに愛されているのではないかと思います。
一方で、たった1つの材料で簡単に作れるという機能的な一面だけではなく、情緒的な面もあると感じています。小さなお子さんでも簡単に作れるので、お子さんの「できた!」という自信につながること、きょうだいや親子でちょっとした時間にワイワイとチャレンジできること。誰かと一緒に作って「おいしいね」と言い合って時間を共にする…。そんなあたたかな家族の記憶につながるのは『フルーチェ』ならではの価値だと思っています。その人にとって、『フルーチェ』が「家族とのあたたかい思い出」として蓄積され、その人ご自身が家族を持ったときにその思い出を再現したいと手に取ってくれる、そんな商品だからこそ、時代を超えて長く愛されていると思うのです。

ハウスのデザート、『フルーチェ』の価値と広がり

馬場崎:ご紹介している写真のように、「家族の時間を作る」ということに『フルーチェ』が役立っているといった声やSNSなどで楽しそうに笑っている親子の様子を垣間見て、 “『フルーチェ』で家族の思い出を作ってほしい”、“親子のコミュニケーションに一役買いたい”という『フルーチェ』が守り続けたい価値というものが皆さんに届いているのだなと感じます。
一方で、『フルーチェ』のメインターゲットである幼児期の子どもたちの環境にも変化があらわれています。今や共働き世帯が当たり前となるなかで、家庭内の食シーンも多様化しています。これまでのように家族や親子を基点とした価値を伝え続けていくことはもちろんですが、同時に、ブランドとしてのアップデートも必要だと感じています。

――ブランドのアップデートという点では、現在発売されている「濃厚」シリーズは大人をターゲットにした『フルーチェ』ですね。
馬場崎:お子さんに限らず、様々な年代に愛されるブランドであってほしいという願いがありました。お子さんがいない世帯や単身世帯が増加しているなかで、ターゲットを広げていくことを考え、大人向け『フルーチェ』の発売を開始したのは2014年です。
「夢だったボウルでの一気食い!」と大人買いしていただいたり、ホームパーティーなどで使っていただいたり。大人ならではの楽しみ方も広がってきており、実は『フルーチェ』購入者の4割ほどは大人の方が自分用として購入してくださっているんです。

社会課題に対する想いとつながる新製品

――馬場崎さんが製品を企画するときに、大切にしていることや大事にしている想いはありますか?
馬場崎: 2025年に新発売の『ご当地くだものフルーチェ』を企画するにあたって、果物を生産する農家の皆さんが抱えている課題に目を向けました。
今回、企画を通して瀬戸内海のレモン産地にお伺いする機会があり、実際に収穫を手伝いながら現地で悩みなどをお聞きしました。農家の皆さんが時間をかけて大切に育てている果物は、どうしても気候の変動により不作のときもあれば規格外が生じてしまうなどの生産課題が常にあります。また、少子高齢化も伴って農家の担い手が不足しているという深刻な問題も現地で目の当たりにしました。
そういった農家さんたちの状況を知り、少しでも産地に貢献しよりよい関係を築いていきたい、「果物のおいしさに支えられてきたブランド」として私たちにできることは何かという想いを強く持ち、このブランドを発売することで産地の農家さんのお役に立てることをめざしました。

社会課題に対する想いとつながる新製品

――社会課題とつながっていく新製品なのですね。どのような特徴がありますか?
馬場崎:今回この『ご当地くだものフルーチェ』を発売することで、ご当地くだものへの興味喚起を促し、認知を拡大していくことに寄与できたらと思っています。また、購入してもらった金額の一部を、産地を応援する取り組みに活用していく仕組みにしました。内容は様々ですが、例えば今回発売する「福島県産あかつき桃」は、売上1個あたり1円を桃の苗木に換算し、産地へ寄付させていただく予定です。
今、エシカル消費というキーワードが注目されており、産地応援に興味を持たれる方がとても増えてきていると感じています。そういった方へ、『ご当地くだものフルーチェ』を購入してくださったお金がどのような形で産地に貢献されていくのかをしっかりと「見える化」していくことが大切だと感じています。商品を購入することで産地の活性化に少しでも寄与していける、そんなサステナブルな環境づくりにつなげていきたいです。

社会課題に対する想いとつながる新製品

――『ご当地くだものフルーチェ』が多くの方に届くといいですね。
馬場崎:パッケージもこれまでの原色中心で元気いっぱいなイメージの『フルーチェ』から一新しました。『ご当地くだものフルーチェ』は、農家さんの手で一つひとつ丁寧に大切に育てられたご当地くだもののおいしさを表現するため、農家さんの想いや温かみ・優しさが感じられるよう、写真ではなく繊細なイラストを描き起こしています。そういった想いが購入する皆さんにも伝わったらうれしいです。

仕事と家庭を両立する日々を支えてくれるもの

仕事と家庭を両立する日々を支えてくれるもの

――馬場崎さんは2回の産育休を経て働き続けていらっしゃいますが、子どもを持つ親として、仕事と暮らしをどのようにバランスを取っていますか?
馬場崎:とても難しいですね。今でも探り探りの毎日です。昨年、「会社を辞めようか…」、そう思ったときがあって、子どもに尋ねたことがありました。「ママ、お仕事辞めようかな?」と。そうしたら、子どもからは「ダメだよ!ママがお仕事辞めたらお菓子が買えなくなっちゃう。でも…もしお金が無くなっても大丈夫だよ!内緒だけどここにお金があるから!」と、帰宅時に夫が5円玉や10円玉などの小銭を入れているクローゼットのクッキー缶をこっそり教えてくれました(笑)。
仕事をしていることで子どもたちに寂しい想いをさせているのではないか…と深刻に考えていたのですが、子どもの言葉に思わず笑ってしまい、肩の力が抜けて少しだけ心がゆるやかになりました。何気ない言葉をかけてくれる、そんな子どもたちとの日常が私を支えてくれているのだと強く感じた出来事でしたね。
一番は子どもの幸せ。そこを前提にしながら、これからも私自身がやりたいことをやり続けたい-だからこそ、やらないことを潔く決めたり、断ったりすることも大切だと捉え、行動し始めています。

――馬場崎さんを支えている「お子さんたちとの日常」のなかには、一緒に『フルーチェ』を作っている景色もありますか?
馬場崎:はい、昨年アサヒ飲料株式会社のカルピス®さんとコラボさせていただいた商品『フルーチェ×カルピス®』を、自宅で試作を兼ねて子どもたちと一緒に作りました。当時5歳だった娘は『今まで生きてきたなかで一番おいしい!』と言っていました。私は娘に5年間毎日ご飯を作ってきましたけれど、『フルーチェ』には完敗です(笑)。この写真は、お休みの日に子どもたちと一緒にイチゴ味の『フルーチェ』を作ったときのものです。子どもたちもとっても喜んでいましたし、家族の日常のなかに『フルーチェ』がありますね。

仕事と家庭を両立する日々を支えてくれるもの

――お子さんの存在によって『フルーチェ』の企画に与えた影響や印象、気持ちの変化はありますか?
馬場崎:子どもと一緒に『フルーチェ』を作った景色があることで、子どもの笑顔が想像できるようになって、より「自分事」となっているな、と感じています。ブランドの未来を描いていくときにも「子どもたちがもっと喜んでくれるにはどうしたらいいだろうか?」と身近に問いかけられるイメージがあることも心強いです。皆さんに長く愛されていて歴史のあるブランドに携われていることは、私自身とても誇らしいことだと思っています。子どもがもう少し大きくなって理解できるようになったら、『フルーチェ』に携わっていることを自慢したいです。

――馬場崎さんの仕事と暮らしを支えてくれた会社の支援や仕組みはどのようなものがありましたか?
馬場崎:ハウス食品はテレワークやフレックス勤務も積極的に活用しており、働きやすい制度や環境づくりは非常に整っていると感じます。また、仕事を辞めるかどうかを考えたことがあると先ほどお話ししましたが、本当にそうしたいと思ったら一時会社を離れて再び戻ってくることできる「ウェルカムバック制度」があります。「今は働き続けることが難しくても、また戻ってくればいいのでは」、そう思えたことは、自分の心を軽くしてくれました。
また、働くチームメンバー間のコミュニケーションが多いことによって助けられていることも大きいです。私の仕事をメンバーがカバーしてくれ、メンバーの仕事を私がカバーするというような助け合いも、コミュニケーションによって成し得られています。コミュニケーションが増えていると思えるのは1on1のような仕組みができたことも大きいです。会社では個人の働きがいを求めていく目的で、プライベートも含めて社員それぞれが大切にしているものを話せるような1on1の時間を設けています。働きがいを追求する姿勢は制度にもつながっていて、テレワークの働き方を選択するときも、「お互い個々の大切にしたい時間がある」という前提を共有しているように思います。個人の希望やチャンレジを支える制度や仕組みがあることはありがたいですね。

『フルーチェ』の展望と、自身の可能性を信じて

――『フルーチェ』の今後の展望がありましたら教えてください。
馬場崎: この20年ほどでコンビニエンスストアのスイーツなどもとても進化してきており、「おいしいものを身近で当たり前に手に入れられる」という世の中になってきていますよね。『フルーチェ』も「おいしいデザート」という嗜好品の枠を超えて、お客様や社会の変化に合わせてアップデートをし続けていく必要があります。
親子の愛情をつないでいくという守るべき価値だけではなく、今回の新製品のように社会性をはじめとした新しい価値にも積極的にチャレンジしていきたいです。そしてまもなく50周年を迎える『フルーチェ』ですが、50周年を超え、100年続くブランドをめざして、よりお客様に愛されて必要とされる存在にしていきたいと思っています。『フルーチェ』だからできることがまだまだたくさんあると思っていて、その可能性を広げていくことをこれからも楽しみにしています。

『フルーチェ』の展望と、自身の可能性を信じて

――馬場崎さんご自身の目標やこれから挑戦したいことがありましたら教えてください。
馬場崎:私は、「食べること」は、「生きること」そのものだと思っています。五感を豊かにし、心身共に成長させるもの。食べることで、お腹が満たされ、会話が生まれ、笑顔が生まれます。人が生きる上での根源である「食」に対して真摯に向き合ってきたハウス食品グループだからこそ、より「食」の持つ力を、おいしさや健康、機能的な便利さという価値に加えて、人とのつながりや愛情、自然への感謝、大好きな家族との思い出など、目に見えない情緒的な価値を更に加えながら進化させていけると信じていますし、そんな「食」に私はこれからも携わり続けたいなと思っています。そして、学生の頃に学んでいた「経済性と社会性の両立」というテーマが、今『フルーチェ』を通して、仕事につながってきています。「食」を通して困っている人たちの役に立ちたい、社会課題を解決していきたい、という想いの原点を忘れず、これからもチャレンジし続ける自分でありたいです。

馬場崎さんのキャリアの原点でもあった「社会課題を解決したい」という想いが、今、『フルーチェ』の新製品企画を通じて実現し始めています。

およそ20年、積み上げてきた数々の仕事の経験と、子育てというライフイベントを通して、それぞれの点が事業につながっている様子をお聞きしました。

これからも挑戦し続けるという社員一人ひとりの強い想いから、『フルーチェ』がアップデートし続ける原動力が生み出されているように感じました。


取材日:2024年11月
内容、所属等は取材時のものです

▶フルーチェTOP
https://housefoods.jp/products/special/dessert/index.html

▶ご当地フルーチェ
https://housefoods.jp/products/special/dessert/gotouchi.html

文:海野千尋
写真:下林彩子
編集:株式会社アーク・コミュニケーションズ

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