イベントレポート Vol.05 ハウス食品を含む4社協同によるメニュー開発 ~「食物アレルギー」をテーマにした講演も~
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実施日 : 2019年4月12日
実施場所 : ホテルニューオータニ
2019年4月12日(金)、ホテルニューオータニにて、マスコミ関係者向けの試食会が開催されました。これは1月に発表された、ハウス食品を含む4社が協同開発した「食物アレルギー配慮レシピ」6品をお召し上がりいただき、メーカーの垣根を超えたレシピ協同開発の目的や意義について情報発信を行うイベントでした。4社は、いずれも「食物アレルギー配慮商品」を展開している、オタフクソース株式会社、株式会社永谷園、日本ハム株式会社、そしてハウス食品株式会社です。
4社が共に活動を行うようになったきっかけは、ある専門誌の企画による座談会でした。4社は、「食物アレルギーという社会課題に食品メーカーとして貢献する」というテーマで想いを語り合い、各社が「食物アレルギーの研究商品開発に10年以上取り組んできたこと」、「消費者や患者会、医師の先生方と積極的なコミュニケーションをとってきたこと」、「一緒に活動を行えば、より多彩な活動ができる」という認識から、食物アレルギーという社会問題に一緒に取り組んでいきたいという相互の意思統一に繋がりました。
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4社の協同プロジェクトが始動したのは2018年9月。4社の展開する商品カテゴリーは多岐に渡り、多種多様な商品を持っている特性を活かし、食品業界初の試みとなる「4社商品を使用したレシピ開発」に取り組むことにしました。「家庭におけるメニューバリエーションの豊かさ」「加工食品を使用することによる調理の利便性」の提供を目指しました。まず春の卒業・新学期のシーズンにお役に立てる「家庭料理でもてなすパーティーメニュー」の考案からスタートしました。
そして、食物アレルギーを持つ患者家庭の日常をマスコミの方々に理解していただくため、「NPO法人アレルギーっこパパの会」の理事長を務める今村慎太郎さんをお招きし、講演会を開催しました。テーマは“想像してみる。考えてみる。”長女の食物アレルギーをきっかけに活動をはじめた今村さんは、「ある日、学校側のミスにより、娘がアレルギー除去食ではなく、みんなと同じ給食を食べてしまった」という実例を挙げ、「あなたなら、どうしますか?」と語りかけます。出席者からはさまざまな回答がありましたが、今村さんは「この問題は難しく、正解はない。しかしこの4社は、こうした私たちの悩みを理解しているからこそ垣根を超えられたのだろう」と話していただきました。
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その後の試食会で試食いただいたメニューは「パリパリサラダ&ふりかけマヨディップ」、「かわいい小さな花むすび」、「選べるプチオープンサンド」、「くり抜きカレーパン」、「みんなでワイワイ プチオコ&プチピザ」、「米粉でつくる白いパンケーキ」の6品。患者家族から特に多かった「使用できる食材が少ないので、メニューやレパートリーが限られてしまう」という声を受け、レシピを考案しました。「くり抜きカレーパン」では揚げたパンにカレーを後から詰めるだけ、「米粉でつくる白いパンケーキ」のように生地に豆乳を混ぜて焼くだけといった簡便性にこだわりました。試食された方々からは「意外にもバリエーションが豊富で驚いた」「どれも食べやすい味で、ボリュームがある」「これならアレルギー配慮食であることを意識せず、パーティーの参加者や家族全員で楽しく食べられる」と好評でした。
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イベント終了後には、4社のプロジェクトメンバーと今村さんが集まり、振り返りを行いました。「今日のようなイベントを通じて、メディアにも食物アレルギーについて考えていただくことは大事」と意見が一致しました。「今や食物アレルギーは10人に1人と言われる時代だが、周囲からの理解を得られない患者も多く、誤解も受けやすい。だからこそ私たちが協力し、食物アレルギーに対する正しい理解・共感を醸成するような活動をしていきたい」という想いもより強くなりました。
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今後も4社が連携して継続的な情報発信や啓発活動をすることで、食物アレルギーをお持ちの方だけでなく、その周囲の方々にも食物アレルギーについて一緒に考えていただく機会を作りたいと考えています。イベントの出席者からは「WEBや小売店の店頭など、販売チャネルを増やして欲しい」「離乳食の後に食べられる商品も必要」「もっと簡単に調理できる、加工度の高い商品も開発して欲しい」などの意見をいただく貴重な機会となりました。
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