経営成績

1.経営成績に関する分析

(1)当期の経営成績

当連結会計年度における経営環境は、海外経済の不確実性の高まりなどを背景とした景気下振れが懸念されたものの、全体では緩やかな回復基調が続きました。食品業界におきましては、消費マインドの停滞や原材料価格の上昇など、依然として先行き不透明な状況が続くなか、安全・安心への取組、お客様の生活スタイルの変化への対応などが求められております。

このような環境下におきまして、当社グループは、当連結会計年度より開始した第五次中期計画において“「食で健康」クオリティ企業への変革”をテーマに、国内事業の収益力強化と新規需要の創出、海外事業の成長加速に向けた施策を進めております。

売上面につきましては、香辛・調味加工食品事業、健康食品事業の国内コア2事業が減収となりましたが、海外食品事業の伸長や平成27年12月に㈱壱番屋を連結子会社化した影響などにより、当連結会計年度の売上高は2,418億93百万円、前期比4.5%の増収となりました。

利益面につきましては、各事業が収益力強化に向けた取組を進めたことで、営業利益は107億75百万円、前期比24.0%の増益となりました。経常利益は121億52百万円、前期比10.9%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は、㈱壱番屋株式の追加取得に伴って発生した段階取得に係る差益を特別利益に計上いたしましたことなどから226億32百万円、前期比224.6%の増益となりました。なお、当第4四半期連結会計期間より㈱壱番屋のれん等の償却を開始しております。


セグメント別の業績の概況(セグメント間取引消去前)は、次のとおりであります。


<香辛・調味加工食品事業>

当事業セグメントは、「食の外部化」などの事業を取り巻く環境変化に対し、「より健康、より上質、より簡便、より適量」にフォーカスした製品・サービスの提供を通じて、「既存領域の強化」および「新規領域の展開」に取り組んでまいりました。

当期は、平成27年2月に実施したルウカレーなどの主力製品における製品価格改定後の新しい値ごろの早期浸透、および国内成熟市場におけるマーケティングコストの効率的運用、コスト削減などの収益基盤の維持強化に注力いたしました。

以上の結果、香辛・調味加工食品事業の売上高は1,200億18百万円、前期比2.2%の減収、営業利益は79億24百万円、前期比19.0%の増益となりました。

<健康食品事業>

当事業セグメントは、コストコントロールの徹底による主力製品の収益改善と成長に向けた仕込みに取り組んでまいりました。

当期は、「ウコンの力」シリーズの再構築、「C1000」シリーズのチャネル対応強化に注力し、「ウコンの力」は通期減収となりましたものの、お客様の飲用シーンに近づいたプロモーションが奏功した下期は前年同期を上回るなど回復傾向にあります。

当事業セグメントの売上高は、販売受託製品の大幅減や一部製品の終売影響もあり345億23百万円、前期比7.2%の減収となりましたものの、営業利益は、新製品・バラエティ製品の市場導入に伴うコストが嵩んだ前期に対して、当期は経費の効果的運用を徹底したことなどから、13億98百万円、前期比94.9%の増益となりました。

<海外食品事業> ※海外事業から名称変更

当事業セグメントは、重点3エリア(米国・中国・東南アジア)における事業拡大のスピードアップと収益力強化に取り組んでまいりました。なお、外食事業セグメント新設に伴い、当事業セグメントに含まれておりました海外で展開するレストラン事業を外食事業へ移管しております。

米国事業は多様な販売チャネルに応じた製品展開を着実に進めたことで「HOUSE TOFU」ブランドの浸透が進み、増収増益となりました。

中国事業は、家庭用・業務用の両面から力強い成長を続けておりますが、日本式カレーライスの一層の定着に向けて積極的なコスト投下を図っており、増収減益となりました。

東南アジア事業は、タイにおける機能性飲料事業を中心に事業基盤の構築に注力しております。なお、東南アジアのグループ会社は決算日の変更により、当期は9カ月の変則決算となっております。

以上の結果、海外食品事業の売上高は185億77百万円、前期比4.4%の増収、営業利益は13億81百万円、前期比38.1%の増益となりました。

<外食事業>

平成27年12月に㈱壱番屋株式の51%を取得して連結子会社化したことに伴い、当第4四半期連結会計期間より新たに連結に組み入れております。

(平成28年3月期連結対象期間)
新規連結組み入れ   ㈱壱番屋    2015年12月~2016年2月(3か月)

レストラン事業のうち、当社が㈱壱番屋のフランチャイジーとして運営するアジアレストラン事業は、中国都市部を中心に競争環境が激しさを増すなか、着実な店舗展開と店舗品質の向上に努め、増収増益となりました。

以上の結果、外食事業の売上高は、㈱壱番屋の新規連結効果が大きく寄与し、183億12百万円、前期比172.9%の増収、営業利益は連結効果が寄与した一方、のれん等の償却を開始したことにより、44百万円となりました。

<その他食品関連事業>

当事業セグメントは、各機能の強化とグループ間シナジーの追求による、グループとしての総合力の向上に努めてまいりました。

運送・倉庫事業を営むハウス物流サービス㈱は、事業構造の見直しと製品輸送力のアップ、抜本的コストダウン活動の推進などによる収益構造の再構築に取り組んだ結果、前連結会計年度に発生した営業損失を解消し、黒字に転換しております。

一方、コンビニエンスストア向けの総菜等製造事業を営む㈱デリカシェフが、総菜新工場稼働に伴う初期コストが当初想定以上に嵩んだことから営業損失となり、当事業セグメントの利益を押し下げております。

以上の他、食材の輸入・販売等を営む㈱ヴォークス・トレーディングにおいて、前期は決算日変更に伴う10カ月の変則決算であった影響もあり、その他食品関連事業の売上高は627億18百万円、前期比7.0%の増収、営業利益は1億1百万円(前期は営業損失7億80百万円)となりました。

(2)次期の見通し

当社グループを取り巻く経営環境は、国内成熟市場における世帯構成の変化、生活者の食スタイルの変化、消費マインドの低下傾向の懸念、新興国の需要増を背景とした原材料価格の高騰など、不透明感が増してくるものと予想されます。

このような環境下におきまして、当社グループは平成27年4月よりスタートした第五次中期計画の2期目を迎え、“「食で健康」クオリティ企業への変革”をテーマに、国内事業の収益力強化と新規需要の創出、海外事業の成長加速に向けた施策をさらに推進してまいります。

香辛・調味加工食品事業、健康食品事業は、収益の柱を担うコア事業として、マーケティング戦略の遂行により主力製品のブランド価値を高め、収益力のさらなる強化を図るとともに、確かな技術をベースにして成熟市場における新たな需要の創造に取り組んでまいります。

海外食品事業は、米国・中国・東南アジアの重点3エリアにおいて、参入マーケットの成長を確実に取り込み、食文化の壁を超え、事業規模の拡大に努めてまいります。

外食事業は、グループ一体となった連携を推し進め、国内外でのカレーのメニュー価値向上に取り組んでまいります。

以上により、次期連結会計年度の売上高は2,890億円(前期比+19.5%)、営業利益は㈱壱番屋のグループ化に伴うのれん、商標権、契約関連無形資産の償却負担や退職給付費用の増加が避けられないこともあり102億円(前期比5.3%)、経常利益は112億円(前期比7.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は53億円(前期比76.6%)を予定しております。

2.財政状態に関する分析

(1)資産、負債および純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて632億78百万円増加し3,494億27百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べて41億87百万円減少し1,189億47百万円、固定資産は、前連結会計年度末に比べて674億64百万円増加し2,304億80百万円となりました。

流動資産の減少の主な要因は、㈱壱番屋を子会社化した影響等により現金及び預金が172億22百万円、受取手形及び売掛金が24億46百万円増加した一方で、有価証券が245億68百万円減少したことなどによるものです。

固定資産の増加の主な要因は、㈱壱番屋の連結子会社化により既保有の同社株式について連結消去したことや売却等により投資有価証券が114億41百万円減少したほか、金利の影響等で退職給付に係る資産が68億18百万円減少した一方で、㈱壱番屋を子会社化した影響等により契約関連無形資産が287億53百万円、商標権が263億50百万円、のれんが160億66百万円、建物及び構築物が46億72百万円、土地が30億9百万円増加したことなどによるものです。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて244億5百万円増加し890億98百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べて45億11百万円増加し508億14百万円、固定負債は、前連結会計年度末に比べて198億94百万円増加し382億84百万円となりました。

流動負債の増加の主な要因は、㈱壱番屋を子会社化した影響等により未払金が14億56百万円、未払法人税等が12億53百万円増加したことなどによるものです。

固定負債の増加の主な要因は、㈱壱番屋を子会社化した影響等により繰延税金負債が139億47百万円増加したほか、金利の影響等で退職給付に係る負債が37億7百万円増加したことなどによるものです。

当連結会計年度末の純資産は、金利の影響等により退職給付に係る調整累計額が減少したほか、保有する投資有価証券の時価下降によりその他有価証券評価差額金が減少した一方で、㈱壱番屋を子会社化した影響等により非支配株主持分が増加したことや、当期純利益により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べて388億73百万円増加の2,603億29百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の76.9%から65.5%となり、1株当たり純資産が2,140円27銭から2,231円86銭となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー125億18百万円に対し、「子会社株式の取得」「有価証券の取得」「有価証券の売却」などの投資活動によるキャッシュ・フロー83億8百万円、「短期借入れ」「短期借入金の返済」「配当金の支払」などの財務活動によるキャッシュ・フロー37億43百万円を減じました結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は441億56百万円となり、期首残高より3億23百万円増加いたしました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は125億18百万円(前期比+40億90百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益281億2百万円、段階取得に係る差益138億51百万円などによるものであります。

また、前連結会計年度に比べての増加は、税金等調整前当期純利益の増加(前期比+162億8百万円)、たな卸資産の増減額(前期比+16億79百万円)、段階取得に係る差損益の増加(前期比138億51百万円)、投資有価証券売却損益の増加(前期比18億22百万円)などが主な要因であります。

投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は83億8百万円(前期比36億29百万円)となりました。これは主に連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出165億56百万円、投資有価証券の取得による支出65億1百万円、有形固定資産の取得による支出55億1百万円、有価証券の取得による支出34億24百万円、有価証券の売却による収入184億98百万円、投資有価証券の売却による収入57億88百万円などによるものであります。

また、前連結会計年度に比べての減少は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の増加(前期比165億56百万円)、定期預金の払戻による収入の減少(前期比57億20百万円)、有価証券の売却による収入の増加(前期比+108億68百万円)、有形固定資産の取得による支出の減少(前期比+32億9百万円)、定期預金の預入による支出の減少(前期比+30億9百万円)などが要因であります。

財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は37億43百万円(前期比+68億45百万円)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出752億69百万円、配当金の支払額30億76百万円、短期借入れによる収入753億60百万円などによるものであります。

また、前連結会計年度に比べての増加は、短期借入れによる収入の増加(前期比+164億70百万円)、自己株式の取得による支出の減少(前期比+54億89百万円)、短期借入金の返済による支出の増加(前期比157億14百万円)などが要因であります。

3.利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当

当社グループでは従来より、連結配当性向30%以上を基準とした安定的な配当を目指すことを、利益配分の基本方針としておりました。しかし、当期より㈱壱番屋を連結子会社化したことに伴い、当期を含めて当面の間、段階取得株式の特別利益の発生、のれんや無形固定資産の償却により、現金の動きを伴わない損益の変動が大きくなることが見込まれます。

このため、利益配分の基準となる原資からこのような変動要因を除いた方が「安定的配当」を具現化できるものと考え、当期より利益配分の基本方針を「企業結合に伴い発生する特別利益やのれん償却の影響を除く連結配当性向30%以上を基準とした安定的な配当を継続する」ことに修正いたします。

内部留保金につきましては、将来を見据えた製造設備・研究開発などの投資や新たな事業展開のために活用してまいりたいと考えております。

当期の年間配当は、1株当たり30.00円(中間配当15.00円)を予定しており、これにより連結配当性向は、13.6%となりますが、上記に記載の段階取得株式に係る損益やのれん償却の影響を除いた場合の連結配当性向は、32.0%となります。

次期の配当につきましては、1株当たり年間30.00円(中間配当15.00円)を予定しております。

4.事業等のリスク

当社グループの経営成績および財政状態などに影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、当社グループは、これらのリスク発生(顕在化)の可能性を認識し、発生の抑制・回避および発生時の対応に努めてまいります。

(1)食品の安全性の問題

食品業界におきましては、消費者の品質に対する要求は一段と高まってきております。当社では、製品品質を保証する専門部署である品質保証統括部を中心にしたトレーサビリティの仕組みの構築をはじめ、外部有識者を交えたグループ品質保証会議の開催など品質保証体制の強化に努めております。しかしながら、社会全般にわたる品質問題など、上記の取組の範囲を超えた事象が発生し、当社グループ製品のイメージが低下するなどの事態が発生した場合、または当社グループ製品に直接関係がない場合であっても、風評などにより当社グループ製品のイメージが低下するなどの事態が発生した場合、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

(2)天候や自然災害・重篤な感染症の大流行

当社グループの事業は、冷夏・猛暑・暖冬などの天候要因や、大規模な自然災害の発生・重篤な感染症の大流行により、業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

大規模災害発生・重篤な感染症の大流行に際しては、直ちに対策本部を設置し、全社的な対応体制を構築するとともに、食品企業の使命として製品支援・製品供給を第一に考え、生産・供給体制を整備いたします。また、当社グループで災害発生による損害が発生した場合に、いち早く事業を復旧するため、毎年、事業継続計画を見直しております。

(3)原材料の調達および価格の変動

当社グループ製品の主要原材料は、小麦粉・香辛料などの農産物および材に使用する石油化学製品などであり、原産地での異常気象や紛争の発生、法律または規制の予期しない変更などにより安定調達が困難になるリスクや、さらに需給関係や場の変動などによる価格高騰で製造コストが上昇し、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

また、当社グループは、原材料の一部を海外から調達しており、為替変動の影響を受ける可能性があります。中長期的な為替変動は、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

(4)海外事業におけるリスク

当社グループは、米国・中国・台湾・韓国・タイ・ベトナムなど海外において、豆腐製品、カレー製品などの製造・販売、レストランのチェーン展開など食品関連の諸事業を行っております。これらの国々での景気後退・政治的問題、食品の安全性を脅かす事態の発生などにより、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

5)保有資産の価値変動

当社グループは、様々な資産を保有しておりますが、土地や有価証券などの資産価値が下落することにより減損処理が必要となる場合があり、減損処理した場合、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

(6)法的規制などの影響

当社グループは、食品衛生法、製造物責任法、不当景品類および不当表示防止法、環境・リサイクル関連法規などの各種規制や、海外進出先における現地法令などの適用を受けております。当社グループといたしましては各主管部門と法務部門が連携し、関連諸法規の順守に万全の体制で臨んでおりますが、法的規制の強化、新たな規制などによって事業活動が制限される可能性があり、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

(7)情報・システム管理におけるリスク

当社グループは、開発・生産・物流・販売などの情報や、販売促進キャンペーン、通信販売などによる多数のお客さまの個人情報をコンピュータにより管理しており、システム上のトラブルなど、万一の場合に備えて最大限の保守・保全の対策を講じるとともに、情報管理体制の徹底に努めております。しかしながら、災害によってソフトウェアや機器が被災した場合のシステム作動不能や内部情報の消失、想定を超えた技術による不正アクセスや予測不能のコンピュータウィルス感染などによって、システム障害や情報漏洩、改ざんなどの被害を受ける可能性があります。このような事態が発生した場合、当社グループの業績・財政状態や社会的信用に影響を及ぼすリスクがあります。

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