第三者意見

私が幼少の頃、「今夜はハウスバーモントカレーよ」という母のやさしい笑顔が今でも忘れられない。大きなジャガイモが沢山入ったカレーとご飯の甘辛い香りが、今も私にとっての「幸せな家庭」の象徴である。この「バーモントカレー」は1963年に発売され、今もハウス食品グループの主力商品であり続けている。新商品が現れては消えていく変化の激しい食品業界において、永年にわたり成長を維持してこられたことに心から敬意を表したい。

ハウス食品グループは、「コーポレートガイド」と「CSRレポート」の2冊で、CSRに関する情報開示を行っている。この2冊から、ハウス食品グループのCSR経営の特長を紹介し、永年にわたり顧客の信頼を獲得し続けている理由を探りたい。

第一は、グループ経営基盤の強化である。ハウス食品グループは2013年に持株会社制に移行した。持株会社は300人弱の体制で、グループの共通基盤として機能している。その上で、2015年に壱番屋、そして2016年にギャバン、そして2017年にマロニーを子会社として迎えた。

ハウス食品グループが100年を超えてなお、お客様の信頼を獲得し続けている理由のひとつは、食品メーカーとして安全・安心な製品を供給し続けていることにあると思う。今後、買収などにより、さらに関係会社が増えることが予想されるが、いかにグループ各社の製品の品質を維持・向上していくかが成長の鍵になるのではないだろうか。ハウス食品グループでは、グループ品質保証会議などの会議体を中心として、浦上社長が中心となって品質向上に努力している様子が良くわかりとても好感が持てる。

第二は、価値観の共有活動である。関係会社の増加と、グローバル化が進むなか、2016年に「The HOUSE WAY BOOK」、「The HOUSE WAY NOTEBOOK」を作成し、国内ではハウスウェイワークショップを展開し、また中国では浦上社長によるハウスウェイ講習会を開催するなど、価値観を共有するための活動を積極的に行っている。

第三は、本業に根差した社会貢献活動である。「はじめてクッキング」教室などの食育活動や、健康長寿社会の実現のための活動など、食品メーカーとして積極的な社会貢献活動を行っている。国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」は、2030年までに達成すべき17の目標のうち、2番目に「飢餓をゼロに」、3番目に「すべての人に健康と福祉を」という「食と健康」に関するゴールが掲げられており、ハウス食品グループの活躍のフィールドはさらに広がることと思う。

ハウス食品グループはSRIインデックスへの組入が進んでおり、現在でも投資家の評価は高いと思われる。今後は国連の「SDGs」への対応がさらに進むことを期待している。また、従前から真摯に取り組んでこられた品質や食育・健康などの活動も、積極的に紹介をされると良いと思う。「グッドパートナーでありたい」を具現化した真摯な経営は、ハウス食品グループの特徴だと思う。

関西大学
社会安全学部・大学院社会安全研究科
教授・博士(法学)
日本経営倫理学会 常任理事
日本経営倫理士協会 理事
経営倫理実践研究センター 上席研究員

高野 一彦

高野 一彦 Kazuhiko Takano

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