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食材との向き合い方を見直し、食品ロスを削減する“もっとカレーだからできること”プロジェクト

食材との向き合い方を見直し、食品ロスを削減する“もっとカレーだからできること”プロジェクト

食べられるのに捨てられる食品、いわゆる「食品ロス(フードロス)」が、世界的な問題となっています。

そこで、ハウス食品グループでは、ご家庭で期限が近づいた食材や、日頃から食品ロスとなりがちな食材を捨てずに、おいしく召し上がっていただく解決策として、2020年5月より「“もっとカレーだからできること”プロジェクト」をスタートしました。そのプロジェクトは、一体、どんなものなのでしょうか?

コラムニストの河崎環さんが、ハウス食品グループ本社株式会社 コーポレートコミュニケーション本部広告統括部企画制作課長の生田幸平さんに話を聞きました。

世界的な問題とされる食品ロス、日本での現状と対策は?

世界的な問題とされる食品ロス、日本での現状と対策は?

河崎環さん(以下、河崎):食べられるのに捨てられる食品が最近では「食品ロス」と呼ばれ、その処理に多額のコストがかかることや、また可燃ごみとして燃やす際のCO2排出、焼却後の灰の埋め立てによる環境負荷などが問題となっています。日本での食品ロスの現状は、どのようになっているのでしょうか。

生田幸平さん(以下、生田):日本における食品ロスの推計値は、約612万トン(2017年度)です。食品ロスは事業活動に伴って発生する「事業系」と各家庭から発生する「家庭系」に分けられ、全体に占める割合はそれぞれ54%、46%となっています。

河崎:食品ロスに関して、すでに法整備も進められていると伺いました。

生田:はい。2019年10月1日に「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」が施行され、食品ロスの削減に関しての国、地方公共団体などの責務を明らかにするとともに、基本方針や施策を定め、食品ロスの削減を総合的に推進することが求められているのです。
もっとも、私ども、ハウス食品グループでは、食品ロス削減推進法が施行される以前から、社会的課題のテーマの一つとして食品ロスに注目し、継続的に調査を行って、解決に向けた取り組みの検討を進めていました。

河崎:やはり、食品ロスは、ハウス食品グループのような食品メーカーにとっても意識せざるをえないほどの大きな問題なんですね。

家庭でも発生しがちな食品ロス、どうすれば減らせる?

家庭でも発生しがちな食品ロス、どうすれば減らせる?

生田:食品ロスの内訳では、今のところ、全体の54%を占める「事業系」が、「家庭系」を上回っています。ただ、事業系の食品ロスは、多くの事業者のさまざまな取り組みによって、かなり減ってきているんです。たとえば、2017年度の事業系食品ロスは、前年度に比べて、24万トンも減少しています。一方、同時期の家庭系食品ロスは、前年比で7万トンの減少にとどまっています。おそらく、ここ数年のうちに、「事業系」と「家庭系」の割合はほぼ同じになるのではないでしょうか。

河崎:そうなると、事業系食品ロスばかりでなく、家庭系食品ロスの削減にもよりいっそう努めなければなりませんね。でも、私自身、昨日も、冷蔵庫の中の傷んだレタスを捨てたばかりで……。お恥ずかしい話ですが、レタスに限らず、ほかの葉物野菜やきゅうりなども、使いきれずに捨ててしまうことが少なくありません。

生田:実は、私どもは、食品ロスに関する調査の一環として、ハウス食品グループの会員サイトにご登録いただいているお客様に2年連続でアンケートを実施しています。そこで「最近捨ててしまった食品・食材」を聞いているのですが、やはり河崎さんが挙げられたような食材・食品が上位にランクインしていますね。

最近捨ててしまった食品・食材 TOP10
ハウス食品グループ本社会員サイト「カモンハウス」調べ

河崎:たとえば、昭和より前の時代なら、「もったいない」という気持ちが働いて、食材を最後まできちんと使い切っていた気がするんです。ところが、今の私たちは、期限を必要以上に意識したり、食べにくい箇所を調理しなかったりして、食材を捨ててしまうことに抵抗感が少なくなっていると感じます。

生田:確かに、時代が進むにつれ、「無理をしてまで食べなくても……」と考える人が増えてきたのかもしれません。ただ、ここ最近、人々の意識や行動に変化が見られるんです。2019年と2020年のアンケート結果を比べると、2020年の食品ロスの発生頻度がガクンと下がっています。理由として考えられるのは、食品ロス削減推進法の施行、そして新型コロナウイルス感染症の影響です。外出・外食を控えざるをえないなかで、家庭内での調理の機会が増え、期限を確認する頻度や回数が増えたり、期限内に使い切ったりしやすくなっているのでしょう。

河崎:生田さんがおっしゃる通り、コロナ禍の影響というのはとても大きい気がします。皆さん、今までは、家の外で忙しく過ごし、いつどんな食材を買って、それがどれぐらい残っているかも、はっきりと覚えてはいられなかったのではないでしょうか。ところが、家にいる時間が長くなり、時間と心にいくらか余裕が生まれました。また、買い物にひんぱんに出かけにくいこともあって、「今、冷蔵庫にあれが残っているから、これと一緒に使って、何か料理をつくろう」などと、料理や食事により真剣に向き合えるようになったというか。とはいえ、アンケートでも上位のきゅうり、レタス、キャベツなどは、買ってからしばらく時間がたつと、どう調理したものかと、やはり頭を悩ませます(苦笑)。

生田:そうなんですよね。きゅうりや一部の葉物野菜は生食のイメージが強く、少し軟らかくなっただけでも食べづらくなってしまいます。そんな時には、加熱調理をするなど、ちょっと発想の転換をしていただくと、よいかもしれません。たとえば、きゅうりは中華料理では炒め物など火を通して使われることがあります。さらにズッキーニの代用品として考えれば、加熱調理の可能性がもっと広がります。

「もっとカレーだからできること」の秘密は、スパイスにあり

「“もっとカレーだからできること”プロジェクト」公式サイト
「“もっとカレーだからできること”プロジェクト」公式サイト

河崎:まさにそれを実践されているのが、ハウス食品グループが取り組む「“もっとカレーだからできること”プロジェクト」ですね。「“もっとカレーだからできること”プロジェクト」のサイトでは、実際にきゅうり、レタス、キャベツを使ったカレーが、レシピとともに紹介されています。そのほかにも、豆腐、もやしを使ったカレーまであります。「きゅうりのキーマカレー」のきゅうりは、本当にズッキーニと同じ切り方です。

きゅうりのキーマカレー
使わずに捨てられることも多い「きゅうり」を使った「きゅうりのキーマカレー」

生田:それだけでなく、一緒に使っている食材には、ラタトゥイユでズッキーニと合わせる玉ねぎ、なす、トマトなどを選んでいます。ほかの食材はカレーにも使われるものなので、この組み合わせなら、食材を1種類ぐらいは置き換えても……冒険しても、大丈夫だろうと。そんなふうにイメージを広げながら、レシピを考案しているんです。

「“もっとカレーだからできること”プロジェクト」では食品ロスになりがちな食材を活用できるカレーレシピを紹介中
「“もっとカレーだからできること”プロジェクト」では食品ロスになりがちな食材を活用できるカレーレシピを紹介中

河崎:普段目にしないようなカレーばかりなのに、それがきちんと成立していて、しかも見るからにおいしそうなことに驚かされます。あらためて、カレーという料理の懐の広さみたいなものを感じました。その理由は、どんなところにあるのでしょう?

生田:カレーに含まれているスパイスが、異なる味わいや食感のさまざまな材料をなじませて、おいしくまとめてくれるんです。それぞれのご家庭に、「わが家のカレー」というものがありますよね?ご家庭によって、具材が違うのはもちろん、何種類かのカレールーを混ぜ合わせたり、隠し味を入れたりするので、「わが家のカレー」はまったく同じものではありません。つまり、カレーには、そもそもご家庭の数と同じだけのメニューのバリエーションがあるんです。そのことが、「もっとカレーだからできること」……カレーというメニューの懐の広さを何よりも表しているのではないでしょうか。

河崎:家庭で料理をつくる人たちは、みんな、「これは、しちゃいけないことなんだろう」、「この食材を入れると、おいしくないと言われるんじゃないか」と考えがちで、定番の料理から大きく踏み出すことができません。その結果、使いきれなかった食材が次から次へと増えて、冷蔵庫の奥や食品棚にたまっていってしまうんですよね。でも、「カレーだから、どんな食材を入れても大丈夫」と言ってもらえると、もっと発想を自由に、余った食材も大胆に使ってみようという気になります。

「きゅうり」「キャベツ」など、余らせがちな食材ごとにワンポイントアドバイスも!
「きゅうり」「キャベツ」など、余らせがちな食材ごとにワンポイントアドバイスも!

生田:余った食材を定期的にチェックする際にもカレーを利用していただけると、うれしいですね。一般的なご家庭では月に2回程度カレーを召し上がっていますから、たとえば月に1日でも、「カレー&冷蔵庫リセットの日」を決め、冷蔵庫や食品棚の食材の状態、期限を確認しつつ、カレーをつくっていただくことで、ご家庭の食品ロス削減につなげられるはずです。もちろん、カレー以外の料理でも、それを実現することはできるでしょう。だからこそ、食材との向き合い方を見直すためのきっかけとして、「もっとカレーだからできること」がお役に立てたらと考えています。

河崎:月に2日の「カレー&冷蔵庫リセットの日」ですか。それは、確かにいいですね。冷蔵庫の中をすっきり整理して、家庭の食品ロスを減らすことができます。

生田:一説では、「食品ロス」をなくしたら、年間約6万円も得をする、とも言われているようです。そう考えると、冷蔵庫のリセットを習慣化して、食材を最後までしっかり食べてあげることは、地球環境ばかりでなく、家計にもやさしいことだといえるのかもしれません。

自治体やほかの企業との協働も積極的に進めていきたい

自治体やほかの企業との協働も積極的に進めていきたい

河崎:“もっとカレーだからできること”プロジェクトでは、サイト内でアンケート調査の結果や食品ロスになりがちな食材を使ったカレーのレシピを紹介していますが、そのほかにどんな取り組みをされているのでしょう?

生田:2020年の10月から、愛知県豊田市と「家庭の食品ロス削減に向けた共同企画」を実施・展開しています。豊田市は以前から食品ロスの対策を検討し、削減に向けた継続的な取り組みを進めているのですが、市民の皆さんになかなか浸透しないという課題を抱えていました。そこで、「毎月ゼロのつく日は、冷蔵庫クリーンアップデー」というスローガンを掲げながら、豊田市民へのアンケート結果をもとに、使い切れず捨てられがちな食材を活用した“豊田市おすすめカレーレシピ”を発表することにしたのです。そのカレーで使う食材、レシピに関して、ハウス食品グループからもご提案させていただいています。
また、ハウス食品グループ本社の社内でも、ご家庭で食品ロス対策のカレーをつくってほしいとお願いしました。それと同時に、カレーを1回つくることでどれぐらいの食品ロスを防げるのか、調べています。集計結果が出れば、食品ロス対策のカレーによって1年間で削減可能な食品ロスの量を推定することができるかもしれません。
今回、社内でこうした取り組みを行って、さまざまな反応があり、より多くの社員に“もっとカレーだからできること”プロジェクトについて理解を深めてもらえたと実感しています。私どもは、その名の通り、食に携わる企業なので、社員一人ひとりが食品ロスの削減に努めるという責任と自覚を持つ意味でも、非常に有意義な試みとなりました。

河崎:“もっとカレーだからできること”プロジェクトの今後の展望を教えてください。

生田:過去2回のアンケート調査はいずれも7月に実施したせいか、春・夏によく使われる食材の名前が多く挙がっていました。シーズンごとの違いがあるのかないのかを把握するうえでも、まずは秋~冬の時期に調査を行いたいと考えています。

人々の意識が変わり、それを実際に行動に移していただくことで、食品ロスの削減は大きく前進します。そのためには、より多くの情報の継続的な発信が必要になるでしょう。さらに多くの情報を皆さんにお届けできるよう、自治体やほかの企業との協働も積極的に進めていくつもりです。

生田 幸平さん

ハウス食品グループ本社株式会社 コーポレートコミュニケーション本部 広告統括部 企画制作課長。2001年ハウス食品株式会社に入社。国内の家庭用営業として各地を転々とした後、マーケティング部、食品事業二部を経て、2019年から現職。カレーと同じくらいラーメンが好き。

河崎 環さん

コラムニスト。子育て、政治経済、時事、カルチャーなど幅広い分野で多くの記事やコラムを連載・執筆。Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、政府広報誌など多数寄稿。2019年より立教大学社会学部兼任講師。


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