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知っているようで知らないビタミンのこと。「ビタミン博士」に聞いてみた!

知っているようで知らないビタミンのこと。「ビタミン博士」に聞いてみた!

人体と密接な関係を持つビタミン。でも、どうしてビタミンを摂らなければいけないのでしょうか。今回はビタミンに関する基礎知識から意外な事実まで……ハウスウェルネスフーズの「ビタミン博士」こと山本憲朗さんに「ビタミンのキホン」を教えていただきました!

生きるために必要な「ビタミン」のほとんどは、ヒトの体内では作れない

生きるために必要な「ビタミン」のほとんどは、ヒトの体内では作れない

――そもそも人間は、なぜビタミンを摂る必要があるんでしょうか?

山本さん:「ビタミン」とは、ヒトが生きていくために必要不可欠な栄養素のうち、三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)以外の有機化合物の総称です。ミネラルと並んで、微量でもその役割はとても重要で、ヒトの体内で三大栄養素の代謝を助ける、いわば“潤滑油”のような働きをしています。そんなビタミンが不足すると、病気になったり、成長に障害が出たりします。ほとんどのビタミンは体内で作りだすことができません(※)。だから、主に食品から摂取する必要があるのです。
※ビタミンDは日光を浴びると皮膚で作られ、ナイアシンは必須アミノ酸のトリプトファンから作られますが、食事からの摂取も重要なのでビタミンに分類されています。

――そんなに大切なものだったんですね! ビタミンにはどれくらい種類があるのでしょうか?

山本さん:現在ビタミンとして認められているものは全部で13種類あり、水に溶けやすい水溶性のものと、脂に溶けやすい脂溶性のものに分けられます。また、水溶性ビタミンのうち、ビタミンCを除く8種類のビタミンを「ビタミンB群」と総称します。

■水溶性ビタミン(9種類)

ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチン、ビタミンC

■脂溶性ビタミン(4種類)

ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK

水溶性ビタミンの多くは、過剰に摂取しても摂りすぎた分は尿と一緒に排泄されてしまうため、普段からこまめに補給する必要があります。また、水洗いや加熱など調理の過程で失われることがあるので注意が必要です。

脂溶性のビタミンは、油とともに調理して摂取すれば吸収率が高まります。ただし、ビタミンEを除く脂溶性ビタミン(A、D、K)は体内に蓄積されやすいため、摂りすぎると過剰症が起こることがあります。普通の食生活では過剰症になることはめったにありませんが、たとえば身体によいと思って毎日レバーを食べていると、ビタミンA過剰症になるおそれがあります。

「疲れやすさ」や「肌荒れ」はビタミン不足の影響かも?

「疲れやすさ」や「肌荒れ」はビタミン不足の影響かも?

――13種類もあるんですね。ビタミンが人間にとって重要なことはよくわかりましたが、今、自分にビタミンが足りているのか不足しているのか、自覚しづらい場合も多いですよね。たとえば不足するとどんな影響があるのでしょうか。

山本さん:確かに、ビタミンは生きていくために重要な部位で優先的に利用されるので、不足していることには気づきにくいです。不足するとすぐに影響が出やすいのがビタミンB1です。ブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要な栄養素で、不足すると疲れやすくなります。栄養ドリンクを飲むと途端に調子が良くなった経験がある人も多いのではないでしょうか。それは栄養ドリンクの覚醒作用だけではなく、ビタミンB1が足りていなかったのかもしれません。
女性は食生活が乱れると肌荒れが気になる人も多いと思うのですが、そんな時はビタミンCやビタミンB2が不足しているおそれがあります。ビタミンCと肌との関係はひろく知られていますが、ビタミンB2には皮膚や粘膜の機能を正常に保つ働きがあり、皮膚や髪、爪などの細胞の再生に関係しているので、これらを意識して摂取するとよいと思います。

関連記事:美容と健康をキープするために「ビタミンC」がなぜ必要?消費される行動とは?

運動、ストレス、季節も…積極的に摂るべきビタミンは状況によって違う?

運動、ストレス、季節も…積極的に摂るべきビタミンは状況によって違う?

――では、「こんな人にはこのビタミン!」というように状況に応じて気にした方がいいビタミンがあれば教えてください。

山本さん:ビタミンはひとつでも不足したらダメなので13種類全部を気にしてほしいですが、マラソンや筋トレなど日常的に運動をしている人や肉体労働をしている人は、ビタミンB1、B2を特に意識して摂った方がいいですね。食品から摂取した糖質をエネルギーに変換するのにビタミンB群が使われますが、よく体を動かす人は多量のエネルギーを消費するため、より多くのビタミンB1を摂る必要があります。また、抗酸化作用のあるビタミンCは、運動で発生した活性酸素から体を守ってくれるので、こちらも意識して摂りたいですね。

ストレスを受けやすい環境にいる人は、ビタミンCの必要量が高くなってしまいます。海外のある空軍の調査では、地上勤務員とパイロットとが同じ食事内容にもかかわらず、ストレスを多く受けているパイロットだけ血中のビタミンCが不足していた、という結果も出ています(*1)。肉体的・精神的ストレスの多い人は、ビタミンCを意識して摂りましょう。

喫煙者の場合も、喫煙によって生じる活性酸素の影響でビタミンCが失われるため、多くのビタミンCを摂取することが必要です。

最近では「うつ病」と葉酸やビタミンB群不足に関する研究も世界中で行われています。例えば、食物からのビタミンB6摂取量が多い女性と、ビタミンB12摂取量が多い男性は、うつ病の発症リスクが低いことがカナダの研究者から報告されています(*2)。ビタミンとの因果関係をはっきりさせるにはもっと多くの研究が必要ですが、今後の研究に大変期待しています。

運動、ストレス、季節も…積極的に摂るべきビタミンは状況によって違う?

妊娠中の方は、様々な栄養素を普段より多く摂取することが必要になりますが、ビタミンでは葉酸やビタミンD、ビタミンB6などを積極的に摂ることが重要です。

また、夏はビタミン不足に陥りやすい季節です。皆さん積極的にビタミンを摂取しましょう。汗をかくと水溶性のビタミンCが出ていきますし、皮脂からも脂溶性のビタミンEなどが排出されます。さらに日焼けして肌に炎症が起きると、ビタミンCの必要量が上がります。暑さで食欲が落ちると素麺などあっさりした食事が中心になりがちですが、これもビタミンが不足する原因になります。

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バランスのよい食事は基本だけど…昔も今もビタミン摂取は効率的に

バランスのよい食事は基本だけど…昔も今もビタミン摂取は効率的に

――心身ともに健康でいるには、常に我々の身体がビタミンで満たされている状態が理想なんですね。

山本さん:そうです。昔からビタミンを効率的に摂るためにいろんな工夫がされてきました。日本の学校給食では、昔からビタミンB1が添加された「強化米」が使われていて、子どもたちの成長のために効率的にビタミンが摂れるよう工夫がされています。

アメリカなど多くの国では小麦粉へのビタミン添加が義務付けられており、普通に食事をするだけで、ビタミンB1やB2,ナイアシン、葉酸などが摂取できるようになっています。

日本でもインスタントラーメンの原材料を見てみると、ビタミンB1やB2を添加して栄養を強化していることがわかります。これは、1970年代に「インスタントラーメンとコーラ」のような偏った食生活をしていた若年層に、ビタミンB1の欠乏が原因となる「脚気」が多発したことから、各社が対策としてビタミンB1などを添加するようにしたためです。

――昔から工夫されてきたビタミンの効率的な摂り方。それほど、ビタミンを摂ることは大切なんですね。普段の生活で気を付けておくべきことはあるでしょうか。

山本さん:採れたての野菜にはビタミンが多く含まれています。現代人が普段の食事で必要なビタミンを十分に摂るには、新鮮な旬の野菜をたっぷり使い、肉や魚など様々な種類の食材を調理して毎日バランスよく食べるのが理想です。とはいえ忙しい人は食事だけで十分な量のビタミンを摂取するのが難しい場合もあるでしょう。そんな方は栄養機能食品を利用するとよいと思います。

――現代人は十分な栄養を摂取できる環境にあるので、深刻なビタミン不足に陥ることはないのかと思いきや、山本さんによると、実は「一部のビタミンに関しては潜在的な欠乏症に陥っている人も多い」のだそうです。そこで次回は、現代人も油断できないビタミンの「欠乏」とその影響についてお伝えしましょう。

(*1) Taleghani, et al., Biomed Environ Sci., 27(5):371-377 (2014)
(*2) Gougeon, et al., Eur J Clin Nutr., 70(3):380-385 (2016)

山本 憲朗(やまもと のりお)研究員
ハウスウェルネスフーズ 開発研究所 企画運営部 第一グループマネージャー・農学博士。1993年に武田食品工業(現 ハウスウェルネスフーズ)に入社。1997~1998年に農林水産省食品総合研究所(現 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構)にて研修生(会社から派遣)。2011年に神戸大学から学位授与。2013年から現職。所属学会:日本農芸化学会、日本栄養・食糧学会、日本ビタミン学会、日本フードファクター学会、日本食品分析学会、日本香辛料研究会。
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