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進化の秘密は「なで肩」と「カラス口(ぐち)」?すべての人に使いやすいパッケージを考え続ける研究員を直撃

進化の秘密は「なで肩」と「カラス口(ぐち)」?すべての人に使いやすいパッケージを考え続ける研究員を直撃

普段手に取る食品や調味料のパッケージ。あまり気づかれないかもしれませんが、実は商品の中身だけではなくパッケージも、「快適に」「ストレスなく」使えるよう、日々進化しています。
ハウス食品グループには、なんとパッケージのことだけを日夜考え続けている部署があるそうです。実際に新しいパッケージができるまでにはどんな工夫や秘密があるのでしょうか。その知られざる裏側を、「容器包装開発部」の小野公裕研究員と田中郁也研究員にお聞きしました。

毎日パッケージのことだけを考え続けて気づいた!「高齢者が使いやすいパッケージは、誰もが使いやすい」

毎日パッケージのことだけを考え続けて気づいた!「高齢者が使いやすいパッケージは、誰もが使いやすい」

――カレーやシチューのルウをはじめ、わさびやしょうがのチューブ、レトルトパウチなど、普段商品を購入して、特に使いづらいと思ったことはないのですが、そもそもどういった視点から「開けやすさ」「使いやすさ」を探求されているのでしょうか?

田中研究員:私たちは毎日、使いやすいパッケージのことを考えて研究活動を続けています。その試みの一つとして、高齢者に様々なメーカーの食品パッケージを開けていただくテストを行ったところ、様々な商品について「開けにくい」と感じている方が多いことが分かりました。たとえばジャム瓶のキャップは、人によってはどんなに頑張っても開けられない。ドレッシングの中蓋リングには指が入らない……。私自身もグローブなど高齢者疑似体験ができる道具を装着して試してみると、多くのパッケージの開封が難しいことを実感しました。

――高齢者の困りごとが実感として得られたのですね。

田中研究員:はい。そして高齢者の方に開けやすいパッケージこそ、誰もが使いやすいパッケージであると定義し、具体的にキャップの開けやすさやチューブの絞りやすさを追求したのです。

気持ちいい開け閉め感!「生わさび」のキャップが使いやすくなったワケ

――今回、実際にパッケージが生まれ変わった例として「特選生わさび」など「ねりスパイス」のチューブをお持ちいただきましたが、どこがどのように変わったのでしょうか?

小野研究員:改良前と改良後のキャップを、実際に開けてみてください。

――うわっ、全然違いますね! リニューアル後のキャップは、ちょっと回しただけでスルッと開きます! 改良前は、キャップを回すのに一度手を持ち替えなければならなかったのが、改良後は持ち替えずに開けられるようになったんですね。小さなことですがストレスが減った気がします。

小野研究員:そうなんです。キャップを開け閉めするのに必要な回転角度を短くして、ワンアクションで開閉できるようにしています。他にも、「閉めた感がもっと欲しい」という声にお応えして、キャップを閉めた際に「カチッ」と感じる手ごたえを強くしました。

――「カチッ」と感じられることで、きちんと閉まった満足感があり気持ちいいですね。他に、内蓋の銀色のシールもつまむのがラクになっています。

小野研究員:つまむ部分を大きくして持ちやすくしています。

気持ちいい開け閉め感!「生わさび」のキャップが使いやすくなったワケ
※写真右がリニューアル後のチューブ。リニューアル前の左の商品より内蓋(銀色のシール)のつまむ範囲が広い。また、チューブの形も「なで肩」になっている。

――リニューアル前後の商品を実際に比べてみて初めて、以前はパッケージの開封に小さなストレスを感じていたことが分かりました。ちなみにチューブの形が「いかり肩」から「なで肩」に変わっていますが、これにも何か意味があるのでしょうか?

小野研究員:自然な動作で最後まで絞り出せるように考えたら、この形に行き着きました。「ちゃんと使い切れる」というのは、非常に重要な価値ですから。

――たしかに中身を最後まで使い切れると気持ちいいですよね。エコなのはもちろん、日々節約に勤しむ家庭の主婦にはうれしいです。こうしてみると、「キャップを開ける」「シール蓋をはがす」「中身を絞り出す」「キャップを閉める」すべての動作で、ストレスがなくなるように工夫されているのですね。ちなみにリニューアルにはどのくらいの期間がかかったのですか?

田中研究員:こちらのチューブは着手から製品化まで2~3年かかりました。

――そんなに! 設計はもちろん、工場で実際に量産するまでにも長い道のりがあったのでしょうか。

小野研究員:はい、特に容器の金型を決定するまでは神経を使います。金型を作製して容器の品質を確認するのですが、目標品質に満足していない場合、金型の修正、容器の品質評価を繰り返し、ようやく製品化にたどり着きます。金型はかなり高額になるのですが、作り直すとなるとその金額がすべて無駄になってしまうので緊張感やプレッシャーがありますね。そうした苦労の末、使いやすさが認められ、ハウス食品の「ねりスパイス」のチューブは「2015日本パッケージングコンテスト」でアクセシブルデザイン包装賞を受賞しました。

開けやすいルウ蓋の決め手は?

――他にも、「バーモントカレー」などカレーやシチュー類のルウを密封している「ルウ蓋」もリニューアルしたんですね。実際に開けてみると、従来品は少し引っかかる感じがしたのが、改良品は力を入れなくてもスルッとしなやかに開くので気持ちいいです。これにはどういった工夫があるのでしょうか?

田中研究員:もともと丸くなっていた開封口の形状を、容器そのものの形が変わらない範囲で角度をつけた「カラス口」形状にすることで、弱い力でも簡単に開けられるようになっています。

開けやすいルウ蓋の決め手は?
※従来品のシールをはがす角の部分は丸みを帯びている
開けやすいルウ蓋の決め手は?
※リニューアル後は開封口(写真右下角)の部分に角度がついている。

――一口に「開けやすい」ルウ蓋と言っても、そこには様々な工夫があるのですね。

小野研究員:ただむやみに開けやすくするだけではダメなのが難しいところです。開けやすくしすぎると、配送中にシールが剥がれてしまい、商品の品質が保てません。「開けやすさ」と「強度」はトレードオフの関係なので、最も開けやすく、かつ品質も保持できるギリギリの弱さにたどり着くまで試行錯誤を重ねました。

――「開けやすくする」という一見当たり前に思える目的ですが、丁寧な「調査」「分析」「実験」「製造」を経て、世の中にお目見えしているのですね。商品がリニューアルされた後、お客様から反響があったりするのでしょうか?

田中研究員:はい。長期にわたって使ってくださっているお客様から、お客様相談センターに「カレールウが開けやすくなった」と喜びの電話があったそうです。そんな言葉を聞いた時は、うれしくやりがいを感じられる瞬間ですね。

毎日パッケージについて考え続ける二人が大切にしている「お客様起点」

――日々パッケージの研究に余念のないお二人ですが、やはりスーパーに行っても、他社のパッケージが気になるのでしょうか?

小野研究員:それはもちろん気になります。スーパーに行った時はもう全商品のパッケージを見て回りますね。棚にある商品を一つ一つ手に取って、どんな工夫がなされているのかじっくり分析するのが癖になっています。パッケージを見つめていたら、いつの間に長い時間が過ぎていた……という経験も少なくありません(笑)。

――そんなお二人は、「お客様起点」という言葉を大切にしているそうですね。

田中研究員:お客様が本当に望んでいることを把握し、お客様と同じ目線に立って同じように体験する必要があると思っています。その意味では、高齢者テストで消費者の生の声を直接聞けたのは貴重な体験でした。仕事の成果も、研究所の中だけでなく、実際にお客様に評価されてこそ価値があるのだと思っています。

小野研究員:多くの商品が世の中にあふれている現在、中身での差別化は難しくなっていて、「使いやすさ」が重要なポイントになってきます。そういう意味では、お客様にとって少しでも使いやすいパッケージを作ることで、商品のブランド価値を高め、ひいてはハウス食品グループのブランド価値を上げていければと思っています。

――「使いやすい」という「当たり前」を進化させる。そこには、お客様に対する強い想いとこだわりがあったのですね。

【プロフィール】
小野 公裕(おの きみひろ)研究員
小野 公裕(おの きみひろ)研究員
ハウス食品グループ本社 研究開発本部 容器包装開発部 グループ長。包装専士。1996年に入社し、入社以来、容器包装一筋。ウコンの力やカレー容器などの開発に携わる。趣味は食べ飲み歩きと運動。
田中 郁也(たなか ふみや)研究員
田中 郁也(たなか ふみや)研究員
ハウス食品グループ本社 研究開発本部 容器包装開発部 チーフ研究員。包装管理士。今年で入社10年目。研修期間に容器開発の仕事に興味を持ち、希望叶い現職場に。瓶スパイスの容器開発に携わる。趣味はカヤックフィッシング。
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