経営成績

1.経営成績に関する分析

(1)当期の経営成績

当連結会計年度における経営環境は、各種政策効果が下支えするなか、株式市場の好転や行き過ぎた円高の是正により輸出産業を中心とした企業業績の回復基調が鮮明になる一方、内需産業である食品業界におきましては、期末にかけて消費税増税に伴う駆け込み需要が一部で発生したものの、全体では円安による原材料・燃料コストの上昇や、生活防衛意識の高まりを背景とした消費動向の不透明感など、予断を許さない経営環境が続きました。

このような環境下におきまして、当社グループは創業100周年の節目を迎える当連結会計年度を次の100年に向けた変革の年と位置づけ、各事業が成長戦略を描くための最適な組織体制を構築すべく昨年10月に持株会社体制に移行し、前連結会計年度からスタートした第次中期計画で掲げる「国内コア事業の収益力強化および海外コア育成事業の展開加速」「開発力・コスト競争力の強化推進」に向けた取組を進めてまいりました。

売上面につきましては、香辛・調味加工食品事業が堅調に推移したことに加え、海外事業の伸長や連結子会社の増加などにより健康食品事業の減収を吸収した結果、当連結会計年度における連結売上高は2,326億10百万円、前期比10.9%の増収となりました。

利益面につきましては、コストダウン効果やのれん償却額の減少がありましたが、国内市場成熟による競争激化により、収益の柱である香辛・調味加工食品事業、健康食品事業の収益力を落としたことや海外事業へのマーケティングコスト先行投下に加え、持株会社体制移行や100周年事業に伴う今期特有の一時的なコストの発生により、連結営業利益は95億89百万円、前期比16.2%の減益となりました。連結経常利益は109億62百万円、前期比18.5%の減益、連結当期純利益は、特別利益が大幅に増加しましたことから87億92百万円、前期比6.5%の増益となりました。


セグメント別の業績の概況は、次のとおりであります。


<香辛・調味加工食品事業>

ルウ製品は、価格帯別のフルライン戦略の推進や製法刷新を伴うリニューアルなど、ブランド価値をさらに高めるための取組を進めた結果、売上は伸長しシェアも高まっております。

レトルト製品では、本格的な味わいを追求した中価格帯の「ザ・ホテル・カレー」「ザ・ホテル・ハヤシ」がお客様のご支持をいただきましたほか、スパイス製品では取扱い拡大に向けた営業活動が一定の成果を上げており、売上は堅調に推移いたしました。

また、時短・簡便調理などのお客様ニーズを捉えた「三ツ星食感」シリーズなどがご好評を、売上に寄与いたしました。

以上の結果、香辛・調味加工食品事業の売上高は1,255億18百万円、前期比1.3%の増収となりました。

利益面では、ルウカレー生産拠点再編などの収益力向上に向けた取組を進めましたものの、競争激化によるマーケティングコストの増加や今期特有の一時的なコストの発生などにより、営業利益は69億36百万円、前期比15.0%の減益となりました。

<健康食品事業>

持株会社体制移行に伴い、従来2社で展開しておりました健康食品事業をハウスウェルネスフーズ㈱に統合し、事業展開力を一層強化する体制を整備いたしました。

これまで市場を創出・牽引してまいりました「ウコンの力」は、他社製品との競合が激化し、実績を大きく落とす結果となりました。一方、育成ブランド「メガシャキ」は、需要期に応じた販売促進活動が奏功し、販売規模を拡大しております。

C1000」シリーズは、激しい競争環境のなか、瓶製品「ビタミンレモン」が取扱いを拡大し堅調な推移となりましたが、PET飲料「レモンウォーター」が苦戦し、全体では減収となりました。

以上の結果、健康食品事業の売上高は395億32百万円、前期比7.6%の減収、営業利益は15億85百万円、前期比16.7%の減益となりました。

<海外事業>

米国豆腐事業は、市場の拡大による事業伸長に加え、10月にった価格改定が下期の利益押し上げ要因となりましたが、上期の大豆価格高騰の影響が大きく、通期では増収減益となりました。

前期に黒字化した中国カレー事業は、新規エリアおよび新規企業での取扱い拡大とコストダウンによる損益構造の改善が進み、増収増益となりました。また、事業統括会社であるハウス食品(中国)投資社を昨年11月に設立しており、今後事業成長をさらに加速してまいります。

カレーレストラン事業は、今後一層の拡大が見込める中国において、上海に加え華北(北京)・華南(広州)に管理会社を設立し、店舗展開の加速に向けたエリア毎の体制を整備いたしました。

東南アジアでは、前期に事業を開始したタイのビタミン機能飲料事業が、バラエティ製品の発売などにより売上を伸長いたしましたことに加え、今期はベトナムでホームメイドデザート事業を立ち上げております。

以上の結果、海外事業の売上高は197億33百万円、前期比34.2%の増収、営業利益は6億17百万円、前期比8.8%の減益となりました。

<その他食品関連事業>

運送・倉庫事業を営むハウス物流サービス㈱は、グループ外企業の物流業務の受託拡大に取り組みましたが、傭車コストの上昇により減益となりました。加えて、コンビニエンスストア向けの総菜等製造事業を営む㈱デリカシェフも、中食需要の拡大を受け増収となりましたものの、お客様の嗜好多様化に対応した供給体制の整備に伴うコスト増により、減益となっております。

また、昨年5月に食材の輸入・販売等を営むヴォークス・トレーディングの株式を追加取得し、新たに連結対象としたことが当セグメントの増収要因となっております。

以上の結果、その他食品関連事業の売上高は478億27百万円、前期比68.2%の増収、営業利益は4億51百万円、前期比35.6%の減益となりました。

(2)次期の見通し

海外景気の下振れが懸念されるなか、原材料・燃料コストの上昇に加え、消費税増税に伴う消費減速懸念など、当社グループを取り巻く環境は依然不透明な状況が続くものと思われます。

当社グループにおきましては、このような状況のなか、グループ理念“食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします”のもと、より良き企業市民としての責任を果たすべく、「安全・安心」「コンプライアンス」への取組をさらに強化すると共に、新しい価値の創造に向けた取組を一層進めてまいります。

国内においては、2つのコア事業である香辛・調味加工食品事業と健康食品事業のブランド価値とコスト競争力をさらに高めていくと共に、新しい需要の創造に向け、事業視点での研究開発や新規事業に積極的に取り組み、国内マーケットでの成長と収益力拡大を実現してまいります。

コア育成事業である海外事業においては、3つのエリア(米国・中国・東南アジア)ごとに独立した事業推進体制のもと、事業展開をさらに加速させてまいります。

米国では、健康志向の高まりにより需要増が見込まれる豆腐事業の関連商材として、大豆関連製品の拡充とコスト競争力強化に取り組んでまいります。

中国では、中国事業を統括するハウス食品(中国)投資社を中心とした事業競争力強化、および今秋の第2生産拠点稼働に向けた準備を進め、日本式カレーのさらなる浸透に取り組んでまいります。

東南アジアにおいては、タイでは機能性飲料事業のブランド力向上を、事業開始2年目を迎えるベトナムでは販売体制を強化し、事業基盤構築に注力してまいります。

カレーレストラン事業は、展開エリア毎に事業規模の拡大と収益基盤の構築に取り組んでまいります。

以上により、次期連結会計年度の連結売上高は2,380億円(前期比+2.3%)、連結営業利益は115億円(前期比+19.9%)、連結経常利益は129億円(前期比+17.7%)、連結当期純利益は85億円(前期比3.3%)を予定しております。

2.財政状態に関する分析

(1)資産、負債および純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて225億89百万円増加し2,733億68百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて104億16百万円増加し1,175億51百万円、固定資産は、前連結会計年度末に比べて121億73百万円増加し1,558億17百万円となりました。

流動資産の増加の主な要因は、譲渡性預金の減少により有価証券が58億14百万円減少した一方、現金及び預金が72億78百万円増加したほか、商品及び製品が31億58百万円増加したことなどによるものであります。

固定資産の増加の主な要因は、長期預金が35億円減少したものの、投資有価証券が時価評価等により57億61百万円増加したほか、退職給付に関する会計基準等の適用により退職給付に係る資産が増加したことなどによるものであります。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて118億19百万円増加し632億72百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べて97億16百万円増加し492億30百万円、固定負債は、前連結会計年度末に比べて21億4百万円増加し140億41百万円となりました。

流動負債の増加の主な要因は、短期借入金が67億14百万円増加したことなどによるものであります。

固定負債の増加の主な要因は、退職給付に関する会計基準の適用等により繰延税金負債が14億86百万円増加したほか、長期借入金が9億78百万円増加したことなどによるものであります。

当連結会計年度末の純資産は、当期純利益により利益剰余金が増加したことや為替変動により為替換算調整勘定が増加したこと、また退職給付会計基準等の適用等により退職給付に係る累計調整額が計上されたことなどから、前連結会計年度末と比べて107億69百万円増加の2,100億97百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の79.2%から76.4%となり、1株当たり純資産が1,879円06銭から1,974円31銭となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー88億18百万円に対し、「有形固定資産の取得」「投資有価証券の取得」などの投資活動によるキャッシュ・フロー74億71百万円、「短期借入金の返済」「短期借入れ」「配当金の支払」などの財務活動によるキャッシュ・フロー68百万円を減じました結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は495億86百万円となり、期首残高より18億71百万円増加いたしました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は88億18百万円(前期比40億66百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益134億24百万円によるものであります。

また、前連結会計年度に比べての減少は、仕入債務の増減額(前期比44億83百万円)、固定資産売却損益の増加(前期比29億72百万円)、貸倒引当金の増減額(前期比12億29百万円)、法人税等の支払額の減少(前期比+19億76百万円)などが主な要因であります。

投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は74億71百万円(前期比56億30百万円)となりました。これは主に定期預金の預入による支出120億40百万円、有形固定資産の取得による支出96億20百万円、投資有価証券の取得による支出75億33百万円、定期預金の払戻による収入151億41百万円などによるものであります。

また、前連結会計年度に比べての減少は、定期預金の預入による支出の増加(前期比50億36百万円)、有形固定資産の取得による支出の増加(前期比47億49百万円)、投資有価証券の売却による収入の減少(前期比32億6百万円)、有形固定資産の売却による収入の増加(前期比30億25百万円)、定期預金の払戻による収入の増加(前期比27億89百万円)などが主な要因であります。

財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は68百万円(前期比48億74百万円)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出387億44百万円、配当金の支払額31億71百万円、短期借入れによる収入425億32百万円などによるものであります。

また、前連結会計年度に比べての増加は、短期借入れによる収入の増加(前期比401億13百万円)、自己株式の取得による支出の減少(前期比13億6百万円)、短期借入金の返済による支出の増加(前期比362億23百万円)が主な要因であります。

3.利益配分に関する基本方針および当期・次期の配当

当社グループは、株主のみなさまへの利益還元を経営の最重要課題の一つと位置づけ、収益性の向上と財務体質の強化に努めるとともに、業績・事業計画などを総合的に勘案し、安定的な配当を継続することを基本方針としております。

この方針のもと、配当金につきましては連結ベースで配当性向30%以上を基準とした安定的な配当をめざしてまいります。

内部留保金につきましては、将来を見据えた製造設備・研究開発などの投資や新たな事業展開のために活用してまいりたいと考えております。自己株式取得につきましては、事業環境や資金需要、株価・市場動向などを勘案するなかで、機動的に実施してまいります。

当期の期末配当につきましては、1株当たり15.00円の普通配当に加え、5.00円の創業100周年記念配当を予定しており、中間配当15.00円と合わせて、年間配当は前期に対し5円増配の1株当たり35.00円となる予定です。

次期の配当につきましては、1株当たり年間30.00円(中間配当15.00円)を予定しております。

4.事業等のリスク

当社グループの経営成績および財政状態などに影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、当社グループは、これらのリスク発生(顕在化)の可能性を認識し、発生の抑制・回避および発生時の対応に努めてまいります。

(1)食品の安全性の問題

食品業界におきましては、消費者の品質に対する要求は一段と高まってきております。当社では、製品品質を保証する専門部署である品質保証統括部を中心にしたトレーサビリティの仕組みの構築をはじめ、外部有識者を交えたグループ品質保証会議の開催など品質保証体制の強化に努めております。しかしながら、社会全般にわたる品質問題など、上記の取組の範囲を超えた事象が発生し、当社グループ製品のイメージが低下するなどの事態が発生した場合、または当社グループ製品に直接関係がない場合であっても、風評などにより当社グループ製品のイメージが低下するなどの事態が発生した場合、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

(2)天候や自然災害・重篤な感染症の大流行

当社グループの事業は、冷夏・猛暑・暖冬などの天候要因や、大規模な自然災害の発生・重篤な感染症の大流行により、業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

大規模災害発生・重篤な感染症の大流行に際しては、直ちに対策本部を設置し、全社的な対応体制を構築するとともに、食品企業の使命として製品支援・製品供給を第一に考え、生産・供給体制を整備いたします。また、当社グループで災害発生による損害が発生した場合に、いち早く事業を復旧するため、毎年、事業継続計画を見直しております。

(3)原材料の調達および価格の変動

当社グループ製品の主要原材料は、小麦粉・香辛料などの農産物および包材に使用する石油化学製品などであり、原産地での異常気象や紛争の発生、法律または規制の予期しない変更などにより安定調達が困難になるリスクや、さらに需給関係や場の変動などによる価格高騰で製造コストが上昇し、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

また、当社グループは、原材料の一部を海外から調達しており、為替変動の影響を受ける可能性があります。中長期的な為替変動は、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

(4)海外事業におけるリスク

当社グループは、米国・中国・台湾・韓国・タイ・ベトナムなど海外において、豆腐製品、カレー製品などの製造・販売、レストランのチェーン展開など食品関連の諸事業を行っております。これらの国々での景気後退・政治的問題、食品の安全性を脅かす事態の発生などにより、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

5)保有資産の価値変動

当社グループは、様々な資産を保有しておりますが、土地や有価証券などの資産価値が下落することにより減損処理が必要となる場合があり、減損処理した場合、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

(6)法的規制などの影響

当社グループは、食品衛生法、製造物責任法、不当景品類および不当表示防止法、環境・リサイクル関連法規などの各種規制や、海外進出先における現地法令などの適用を受けております。当社グループといたしましては各主管部門と法務部門が連携し、関連諸法規の順守に万全の体制で臨んでおりますが、法的規制の強化、新たな規制などによって事業活動が制限される可能性があり、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

(7)情報・システム管理におけるリスク

当社グループは、開発・生産・物流・販売などの情報や、販売促進キャンペーン、通信販売などによる多数のお客さまの個人情報をコンピュータにより管理しており、システム上のトラブルなど、万一の場合に備えて最大限の保守・保全の対策を講じるとともに、情報管理体制の徹底に努めております。しかしながら、災害によってソフトウェアや機器が被災した場合のシステム作動不能や内部情報の消失、想定を超えた技術による不正アクセスや予測不能のコンピュータウィルス感染などによって、システム障害や情報漏洩、改ざんなどの被害を受ける可能性があります。このような事態が発生した場合、当社グループの業績・財政状態や社会的信用に影響を及ぼすリスクがあります。

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