第三者意見

私は、2012年からハウス食品グループCSRレポートの第三者意見を担当させて頂いている。この間、同社は大きな経営変革を行い、CSRを基軸とした経営を明確にした。これに呼応するように、ハウス食品グループCSRレポートは、内容と情報量の両面で発展してきたように思う。

経営の変革を概観すると、2013年に行ったグループ本社体制への移行、2015年の壱番屋、2016年のギャバンのグループ化などがあり、企業グループとして順調に発展している様子がうかがえる。CSRの分野では、2013年に「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」という新たなグループ理念を策定し、2015年にはCSR方針を改定し、「お客様」「社員とその家族」「社会」に対する責任を明文化した。これは、近江商人の経営哲学「三方よし」の精神、すなわちサステナブルカンパニーはES(従業員満足)、CS(顧客満足)、CSR(企業の社会的責任)に秀でた会社であるという思想に合致しており、とても共感が持てる。

本年度版ハウス食品グループCSRレポート及びコーポレートガイドにおける、画期的な内容は、以下の3点ではないだろうか。

第一は、「ハウス流CSR」の明確化である。「Creating Smiles & Relationships」という解釈を示し、2013年に策定した新たなグループ理念との関係を明確にした上で、本業である「食」を通じて、社会課題に対応するという同社の姿勢を強く打ち出した観がある。また、「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応を掲載し、今後SDGsを意識したCSR活動を行う旨を記載しており、次年度以降のCSR活動に期待を持たせる内容になっている。

第二は、ダイバーシティへの取組である。ダイバーシティフォーラムにおいて浦上社長が不退転の決意で臨むことを表明したこと、ダイバーシティ推進の専任管轄部署として人材活躍推進課を新設し、女性活躍推進や働き方改革を積極的に進めていること、そして上司と部下の女性社員がペアで受講する「キャリアデザインマネジメント学習会」を開催したことなど、より働きがいのある職場を目指して、積極的に新しい取組を行っている。

第三は、コーポレートガバナンスの向上に努めている点である。同社は、2016年に社外取締役を2名に増員し、今年は報酬等諮問委員会を新設するなど、取締役会において闊達に議論を行うための制度設計をすすめている。

ハウス食品グループは、今年、創業104年を迎える。それは、食品メーカーとして誠実な経営を続け、社会から高い信頼を獲得し続けているからに他ならない。これからも、わが国のみならず、世界におけるサステナブルカンパニーの「お手本」であり続けて欲しい。本年度版のハウス食品グループCSRレポートに掲載された新たな取組は、その基盤になるのではないだろうか。

関西大学
社会安全学部・大学院社会安全研究科
教授・博士(法学)
日本経営倫理学会 常任理事
日本経営倫理士協会 理事
経営倫理実践研究センター 上席研究員

高野 一彦

高野 一彦 Kazuhiko Takano

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